このたび、徳本寺住職早坂様から、アンコール・ワットを称える詩が送られて参りました。ご紹介申し上げます。
浄土なれ アンコール・ワット
ああ 風がやみ 真昼のほてり 残る石段 登れば
ああ 暮れなずむ 空に浮かぶ まどかなる 白い月
壁にもたれて
盲人がつまび爪弾く トローの音色よ
胸に切ない
歌は何を語る あの月に届けと
愚かな時を 憎まずに
愛しい人を 忘れずに
今は 浄土なれ アンコール・ワット
今は 浄土なれ アンコール・ワット
ああ 雲が行く 夕陽を追って そび聳える塔は 長い影
ああ 眠れ森 もはやどんな 足音さえも 怖れずに
壁の微笑み
幾百年たた湛え クメールの乙女
ひび割れた歴史
何度巡るのか かび黴臭き回廊
はかない夢を あきらめず
尽きせぬ愛を 惜しみなく
今は 浄土なれ アンコール・ワット
今は 浄土なれ アンコール・ワット
1999.5.26 by B.Hayasaka

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