東京交響楽団の首席オーボエ奏者、荒絵理子さんによれば、オーボエは「草笛楽器」で、オーケストラの要、とのこと。あわてて読めば、草笛がオーケストラの要、ということになりそうで、ドキドキしながら掲載のThe Nikkei Magazine4月号を読みました。
記事では、オーボエは「葦の茎に細工を施し、2枚重ね合わせて、そのわずかなすき間に高圧の空気を吹き込む。音を安定して出すことが難しい、草笛の原理といえば分かりやすいか」と説明している。荒さんなのか、記者なのか判然とはしないが、草笛をリード楽器の原点ととらえ、音の出し方の難しさにも言及していることは、草笛の存在がオーボエの演奏者からはしっかりと認められていることを意味しているわけで、とても嬉しい気持ちでした。
また、リードは手作りで、練習の倍ぐらいの時間を取られるという。演奏家である限りリードを作り続けなければならず、オーボエは、永遠の「不完全楽器」とのこと。楽器を作りながら演奏を続けるわけである。草笛が葉っぱとの闘いあるいは協働であることとも一致するものであり、葉っぱも「不完全楽器」といえよう。
このような音の不安定な、不完全楽器でありながら、オーケストラの基準になる音を出すのがオーボエであり、重要場面でソロで主旋律を吹くのがオーボエである。正に、オーケストラの要なのだという。
The Nikkei Magazine 4月号
草笛の系譜に属する楽器はいずれも不完全楽器でありながら、電子楽器なみの精度を求められているとのこと。オーボエの胴体を取り巻く数多くのキーやヒンジはそのための装置ということであろうか。
葉っぱにはこのような仕掛けがなく、ただ、奏者に奏法の完全さを要求するのみ、ということになるのでしょうか?

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