今日出張の機内で航空会社の機関誌を読んでいた。そこに朝青龍の出世物語の背景について書かれていた。
内容は、美談に仕立て上げられていてそのまま鵜呑みにはできないとは思うが、苦労して相撲界の頂点に立ったのは、異論はないだろう。
その朝青龍は、相撲ファンに決して受けは良くない。態度が傲慢で、傍若無人だという理由が多い。人権派には外国人であるという理由を挙げる人もいるが、曙などはそれほど嫌われてはいなかったことを考えると正鵠を射ているとはいえない。
やはり、強すぎる人間を嫌うのだろう。過去の力士で強かったと言えば、私の記憶では大鵬、北の湖、千代の富士。
大鵬:優勝32回、勝率0.838、優勝率0.463(優勝回数/在籍場所数)
千代の富士:優勝31回、勝率0.705 優勝率0.382(優勝回数/在籍場所数)
北の湖:優勝24回、勝率0.730 優勝率0.307(優勝回数/在籍場所数)
大鵬は、みたのは晩年であったがそれでも強かった。有名な言葉で「巨人、大鵬、卵焼き」は、強さの憧れの象徴だった。千代の富士は、鋼鉄の肉体でけがから復活しての大横綱になった。そして、北の湖は強すぎて「江川、ピーマン、北の湖」と嫌われたらしい。(私は記憶にない)
3人の横綱ともに怪我に泣かされており、所謂絶頂期は無敵といいほど強かった。そして、対照的なのがその人気である。
日系ロシア人の大鵬は、人気者であった。これは、ライバル柏戸の存在も大きかったのではないか。その柏戸は、歴代横綱との比較でも7割の勝率を誇りながら優勝は5回に留まっている。
千代の富士は、小兵でありながらソップ型の究極ともいえる肉体を武器に人気があった。千代の富士も少しふてぶてしさが有ったが、小さな躰というハンデが打ち消していたといえよう。
北の湖については、エピソードから知れるところの彼の人格からすると、全くの誤解による不人気であった。土俵上では鬼という表現があるようなストイックな姿が太々しくその強さゆえにイヤミに映ったのかかなり嫌われた。北の湖は、千代の富士とは対照的にあんこ型の理想の体型に相撲技も優れていた。
朝青龍の不人気は、北の湖に状況に似通っている。外国人力士が嫌われる場合は、今まではワザもなく躰の大きさのみで勝ち進む場合であったと個人的には思っている。現在のように日本人力士が大きくなかった時にはそれは顕著だったと思う。実際、単に躰の大きいだけで勝ち進む力士の取り組みは面白みがない。つまり、ファンの望む勝負ではないのである。舞の海人気などは、心技体いいますがやはり日本人は技が好きと思う。これは、柔道の「柔よく剛を制す」が好まれることでも判る。
しかし、朝青龍は多彩な技も持っているし、現在では彼より大型の力士は多く存在する。それなのに嫌われている。それは、やはり敵役のような態度だろう。TV越しには演じているとしか見えないほどの見事な意地悪な態度である。
北の湖は、横綱時代から福祉活動を積極的に行っており、彼を知る人は悪く言う人はいなかったそうである。朝青龍もモンゴルでは色々と活動しているようであり、北の湖のような人格者で有ることを望んで人気の面でも横綱と言えるようになって欲しい。
現在朝青龍は、TV番組では引っ張りだこであるが、番組出演数と一般人気には大きく隔たりがある。まるで、韓流ブームをマスコミが煽ったが、韓流ドラマの低視聴率による一般人気との乖離と似通っているようにも思える。
相撲好きとしては、朝青龍を応援したい。でも、もう少し横綱らしい振る舞いもお願いしたいのも本音である。
でも、やっぱり一番は先代の貴乃花なんだよなあ。北の富士戦のフロントスープレックスは、貴乃花の勝ちと今でも信じている私です。
人気blogランキングへ、ポチッと押して下さいお願いします

0