ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズの第二弾、'98年作品「コフィン・ダンサー」を読みました。
武器を違法に取引きして巨万の富を気付いたハンセンは、ある深夜飛行場が閉鎖した後に秘密裏に飛行機を飛ばし、違法取引きを証明する物を飛行機から海に落として飛行場に帰って来ます。しかし、ある航空会社のパイロット3人、夫婦と同僚はそれを目撃していました。夫は飛行機の操縦時に飛行機に仕掛けられた爆弾で殺されます。そして残った証人2人をコフィン・ダンサーと呼ばれる殺し屋から守るため、全身マヒの犯罪学者ライムは協力を養成されます。コフィン・ダンサーは人の裏をかくのが得意で、姿は変幻自在、すぐれた頭脳を持ち、今だに正体は分かりません。市警が用意した隠れ家は容易にダンサーに発見され、2人はライムの家に連れて来られます。そして次の隠れ家へ2人を案内するバンクスは2人の要求に負け、飛行場の会社の事務所に2人を連れていきますが、これもダンサーに尾行されていて、銃撃戦になります。この時、ライムの手足となって働くサックスはダンサーを狙撃するチャンスがあったにもかかわらず、躊躇してしまい、この後ずっとこのことが彼女の心に重くのしかかります。何とか次の隠れ家に2人を送り届けますが、同僚のパイロットが射殺されます。そして最後に残った証人である女性は、会社の浮沈がかかっている臓器輸送を自ら操縦することをライムに認めさせ、離陸しますが、その飛行機には5000フィート以下の高度になると爆発する爆薬が仕掛けられていることが分かり、絶体絶命のピンチに陥ります。そこでライムが考え出した作戦とは‥‥。
他のリンカーン・ライム・シリーズよりは、3人の証人をコフィン・ダンサーから守るという単純な話になっていて、読みやすいと思います。犯人は性格異常者ではなく、冷静な頭の切れる殺し屋ですが、やはり冷徹に殺人を行うというのは、異常者なのでしょう。この本も他のリンカーン・ライム・シリーズと同じく、どんでん返しが用意されています。その点でも楽しめるでしょう。一番緊迫するのは女性パイロットが爆弾を積みながら着陸するシーンで(といっても5000フィート以下の高さになると爆発するのに、一体どこに着陸するのでしょうか?)まさに手に汗握るシーンとなっています。
それにしても次々と面白い小説を絶えることなく書き続けることのできるジェフリー・ディーヴァーには頭が下がります。スティーヴン・キングもそうですが、プロットの複雑さではジェフリー・ディーヴァーには適わないでしょう。文句無しにオススメの一冊です。

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