昨日のWBC決勝戦。私はたまたま仕事でデイサービスの現場で見させてもらったのですが、認知症がかなり進んでいる女性が熱心にテレビに見入っているのが印象的でした。また、日本の優勝が決まった時、街頭テレビの前で見ていた女性が泣きながら「やっぱりイチローなんですね」と言っていたのも、妙に説得力がありました。
さて、打海文三さんの作品で'08年に出された「覇者と覇者 歓喜、慚愧、紙吹雪」を読みました。
内戦が起こっている近未来の日本。戦争孤児からなる軍隊を率いる海人は、相次ぐ戦争で大量の難民が発生する中で、いかに治安をよくし、難民を定着させるかに力を注ぎます。やがて和平のプロセスが見えてきて、海人が属する常陸軍、対立する奥州軍や国際旅団などが、唯一内乱に関与しなかった北海道軍の指導で和平のテーブルにつこうとしますが‥‥‥。
この本も最初の数ページを読んだだけで、最後まで読むのを諦めてしまいました。上のあらすじも、巻末に掲載されている池上冬樹さんの解説から引用させていただいたものです。この作品と3部作をなす「裸者と裸者」「愚者と愚者」と同じく、戦争に次ぐ戦争、リアリティのない人物像、稚拙な会話といったものについていけませんでした。多くの事実を混乱させることなく書き上げていく手腕はすごいと思いますが、書いている内容についていけない私とは相性が悪かったと言わざるをえません。
本作は打海さんの遺作で、未完となっています。そういった点で興味を惹かれる方にはオススメです。

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