森崎東監督・共同脚本の'03年作品『ニワトリはハダシだ』をスカパーの日本映画専門チャンネルで再見ました。
「舞鶴港」の字幕。知的障害児のサブは15才を迎え、同居する潜水夫の「父」(原田芳雄)とともに初潜りに向かいます。ウンコをしわすれ、船の上でするサブ。途中で汽船に乗る「母」(倍賞美津子)と妹のサルに出会う二人。サブは潜りますが、小便をしたくなり、すぐに浮上します。大阪府警からは橘が県警に特命派遣されてきます。姿を消したサブは、田んぼで妹といなくなったヒナを探していました。兄妹心中の歌を歌う二人。
サブの誕生日に「父」はいつも通りにコロッケを買い、怒ったサブはそれを踏みつぶします。ケーキを持ってやってきた「母」と妹でしたが、父が不機嫌なのに怒った「母」は妹と帰ってしまい、サブも怒って家を出ます。
「京都」の字幕。サブが通っている施設の先生ナオコは、警部で父の桜井(石橋蓮司)に呼ばれて京都の実家に行き、そこで母が父と離婚を決意したと聞いて喜びますが、一緒に住みたいと言うナオコに母は実家の灰原の家に戻ると言い、菩薩のような子供たちと一緒にいれば道が開けるとナオコに言います。兄妹心中の歌を歌いながら酔いつぶれるナオコ。
検察庁の裏金作りがスクープされ、検事の朽木(柄本明)が検事次長の灰原を告発しているニュースが流れます。それをもみ消そうとしている桜井。橘はロシア船に乗っているロシア女性に聞き取りをし、ロシア船に中古車が持ち込まれ、それが検察庁の裏金につながりがあることを掴みます。車の持ち込み現場にいて、ナンバーを外していたサブは、これまで持ち込まれた中古車のナンバーを全て暗記していて、橘は盗難車のナンバーとそれが全て一致することを知ります。暴力団の重山(笑福亭松之助)は自分の盗まれたベンツのありかをサブに尋ね、「ホフマン窯跡」に行きますが、ロシア人・赤気のカーンは隠してあったベンツで逃げ去ります。ナオコはサブのために「父」に「母」との復縁を頼みますが、サブと妹は重山組に連れ去られます。サブらは警察に連れていかれ、そこで警部の丹波はサブを少年院送りにしようとしますが、人権侵害だと判断した橘は秘かにサブと妹を逃がし、丹波から暴行を受けます。サブらの居所を聞くために重山の元へ出向いた「父」は逆に暴行を受け、灰原が次期の検事長に決まり、これからは自由に商売ができると言う重山は「父」をロシア船に捨てます。そこにあったベンツから中古車取引の出収表を見つける橘とナオコ。目を覚ました「父」が「母」を追って泳ぎ着いた「旧海軍燃料基地」では、サブのハーモニカに合わせて「母」や祖母が踊り、「父」は「母」にもっと堂々と生きろと言われます。
施設の祭りで作業所を作ろうとナオコに言われるサブ。朽木は桜井に明日テレビ出演して検察庁の汚職を暴露すると言いますが、朽木は翌日別件で逮捕され、灰原は無事検察長に任命されます。汚職の証拠となる情報を握るサブを少年院送りにしろと桜井に命じる灰原。その様子を見ていたナオコは、ベンツを桜井に引き渡すのを止めてベンツで逃げ出し、橘はそれを追います。ボートで逃げたサブと妹は途中で櫓を落としてしまい、発電所の取水口に吸い込まれそうになりますが、すんでの所で「父」に助けられます。重山に脅されてベンツのありかの施設にやって来た「母」でしたが、ベンツは事前に「父」によって海中に沈められていました。重機で施設を壊す重山の手下。そこへやって来た桜井は重山らを現行犯逮捕し、ナオコに汚職の立件をすることを誓います。
後日、サブは海中に潜り、ベンツの中から中古車取引の出納表を手に入れ、橘に引き渡すのでした。
原田芳雄を中心として、「庶民」の生活の熱っぽさがよく表されていた点で、森崎監督作品らしさがよく出ていたと思いました。知的障害児たちに混じって、出演者たちが踊るシーンも印象的でした。

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