視察日 2012/7/12(木)午前10時〜
視察項目 2.生活保護不正防止ホットラインについて
「生活保護を受けることは恥ずかしいことではない。不正受給をしている人が居るので肩身が狭い。」
という担当職員の言葉が一番心に残った。
「だから不正受給を防止せにゃぁ、あかん。」という職員の使命感をひしと感じた。
「生活保護適正化ホットライン 設置しました!」
というチラシには
★情報をいただいた方の個人情報については厳守いたします。
★このような疑いのある事例はすぐにご連絡下さい!
市に内緒で仕事をしているらしいけど
生活保護を受けている人を安アパートに住まわせて生活費をほとんどピンハネする貧困ビジネス?
財産を隠して生活保護を受けているらしいよ・・・。
必要のない治療を受けているんじゃない?
暴力団員なのに生活保護を受給しているんじゃない?
市では、生活保護の適正実施に努めています。いただきました情報について調査を行い、不正が認められた場合には保護費の返還を求めたうえで、指導や保護の停・廃止を行います。悪質な場合には、詐欺罪での告訴・告発を行うなど、適正、厳格な対応をいたします。
寝屋川市保健福祉部社会福祉課
と、なっている。
寝屋川市では100人いれば3人は生活保護受給者、という割合で、生活保護についてはあまりふれてはならないものという雰囲気がこれまではあったそうである。
そんな中、平成23年3月議会での議員の一般質問で
「生活保護者がしょっちゅうパチンコをしたり、モーニングを食べたりしているという市民からの苦情がある。市民の声を吸い上げやすい直通電話の設置をしたらどうか。」
という発言があったことに端を発し、
現市長が公に考え方を話したことから見直してはどうかという風が吹いてきた。
個人情報の壁があったが検討の結果、これによってホットラインができた。
平成23年8月開設。
寝屋川市の実態(平成24年5月)
世帯数 107892 人口 24万2696
被保護世帯数 4901
被保護人員 7209
保護率 30.07%・・・・大阪府内6番目
不正受給は5年間さかのぼって返還してもらう。
寝屋川市保護課は、正規職員が48人、再任用職員が5人、非常勤職員26人、アルバイト6人の計85人態勢。査察指導員の仕事分担は細かく分かれている。
現業職(ケースワーカー)は35人だが、高齢者担当現業職(再任用5人)、高齢者担当訪問員(アルバイト4人)。生活保護面接相談員(非常勤5人)、就労自立支援員(非常勤6人)、年金収入資産調査員(非常勤4)、健康相談支援員(非常勤2)、子ども健全育成相談員(非常勤2)、扶養義務実地調査員(非常勤2)、生活保護適正化調査員(非常勤2)、中国残留邦人等支援相談員(1)である。その他、副係長の元には医療経理担当(7)と医療扶助適正化調査員(非常勤2)となっている。
一人のケースワーカーは108のケースを受け持っている。(国の基準は80)
生活保護適正化ホットラインは平成23年8月1日から開設され、生活保護費の不正自給や違法な貧困ビジネス等による被害を防止し、生活保護制度の適正化を図っている。
また、ホットラインでは生活保護制度についての意見、生活保護行政に対する苦情も聞いている。
専用の受付電話とメール、受付で情報を受け付けている。
今までどこに持っていったら良いのかわからなかったと言われる情報の受付を一元化し、すべてホットラインへ集めている。
この制度により、
1. 情報件数が増えた。
2. 組織的に動くようになった。
3. 今までよりも情報に対してきっちりやるようになった。 そうである。
23年8月から24年6月までの情報の受付件数は176件。
このうち、調査対象の情報は111件。生活保護を受けていないのに受けているという方も中にはいるようだとのこと。
1件あたり約4回の調査をしている。
生活保護廃止対象者は23年度8名、24年度は6月までで1名の合計9名。不正受給確定額は累計で1951万2862円。
廃止に伴う効果額は最小限に見積もって753万3308円。
課題は、情報受付件数の約半数が調査中であり、時間のかかり、なかなか解決できない事1である。
当初、嘘の情報が多いのではと懸念したが、情報にはほとんど嘘がなかった。
市民の情報はほとんどが正確であり、貴重だったそうである。
ケースワーカーとしては、「不正はない、適切に対応している。」と思っているので、残念な状況。
ホットラインの電話は9時〜17時半まで。その後は留守電。
市民から批判の声は全くない。
なぜ今までなかったのかという意見はある。市民は安心。
生活保護者は身が引き締まる。
課題は早期解決。人を増やせばよいという問題ではない。なかなか解決できない問題が多い。苦情の多いパチンコ、風俗、キャパクラというのは現場を押さえなくてはならないので難しい。
包丁をちらつかせながら「殺したろうか。」とか「刺すぞー。」と言われるのは日常茶飯事との事だ。 難しい問題を担当職員が前向きに日々取り組んでいる姿が伝わり、頭が下がった。
詳しい資料いただいたので茅ヶ崎市にも照らし合わせて検討したいと思う。
<ホットライン事業予算について>
平成23年度は8カ月分約440万円。
(内訳は報酬・旅費・印刷製本費・電話料・庁用器具費)
国のセーフティーネット補助金を使っているので電話の開設費用以外は市の持ち出しはゼロで実施出来ている。
しかし、来年度からはこの補助金の動向は不透明。
以上 ,寝屋川市視察報告 その2でした。

0