平成30年度第一回市町村議員特別セミナー
日時 2018年4月12日(木)〜13日(金)
場所 全国市町村国際文化研修所
<要旨>
豊岡の挑戦 豊岡市長 中貝 宗治氏
豊岡市には大学がなく、高校卒業すると帰ってこない。若い人には、「社会的、経済的、文化的に貧しい地方」と「豊かな都市」というイメージがあると考える。年齢、性別純移動率を分析している。10代20代ががくんと減る。そして特に若い女性が帰ってこない(男性の50%は帰ってくるが女性は20%台しか帰ってこない)ことは深刻で、女性対策をしなくてはならない。豊岡では今まで女性が評価されていなかったのではないか等、考えることが大切から始まった。地方創生は人口減少対策である。人口が減少するのは止められないが、それを和らげる事をすることである。人が減るのであれば外から人を連れてくる。観光は大切。豊岡では入込客より宿泊客を重視している。なぜならば宿泊客はよりお金を落としてくれるから。「地方は閉鎖的でチャンスも出番もない。」➡「地方で暮らす価値の創造」をする必要がある。暮らしている人はわかっているからそこで暮らしている。しかし、若い人に向けてやる価値の創造をする必要がある。
移出率、純移出率を調べると豊岡市は宿泊と鞄が多い。この2つの分野を大きく伸ばすという戦略をたてた。城崎温泉…閑散期をインバウンドで埋め、通年雇用の創生になりうる。カバンづくりの学校を作った。
観光=総合コミュニケーション。
ローカル&グローバルシティ・・・小さな世界都市を目指す。人口規模は小さくても世界の人々から尊敬され尊重される街。固有なものが輝く。小さな町でも直接世界とコンタクトできる。世界に通用する「ローカル」を磨く。
1. ローカル&グローバル
@ 受け継いできたものを守り、伝え、引き継ぐ。電線の地中化、城崎夢花火(7/22−8/22毎日)、ベスト温泉タウン城崎。城崎温泉には6年間で40倍の宿泊客。そしてそのほとんどが個人客が占めている。
A 文化、芸術を発信し、創造する。あまり利用されていないホールを改装して劇団に無料で貸している。パフォーミングアーツに特化したレジデンス(住居。 住宅。 高級アパート・マンションなどの名に用いられることが多い)。24時間無料で使用可。条件は未完成でも良いから出来上がった作品の上演等「地域交流プログラム」を実施すること。この施設は赤字だけれど、街全体で元をとっている。城崎国際アーツセンターには世界中から一流アーティストかせ来日している。「永楽館」は2008年に復活させた昔の芝居小屋。今は歌舞伎がこんなに間近で鑑賞できる場所は他にはないと公演チケットは即完売するようになった。イレーヌ・ジャコブはカンヌ国際映画祭の審査員だが来てくれて気に入ってくれたことから更に広がっている。平田オリザさんも気に入ってくれて劇団の本拠地を豊岡へ移してくれている。
B 環境問題の取り組みをしっかりやる。コウノトリプロジェクト…コウノトリは湿地でエサをとる。田に一年中水を張ってもらう。おたまじゃくしがカエルに戻る時期まで水抜きを待ってもらうことでコウノトリのエサのカエルが育つ。農薬を減らす。湿地再生に合わせてコウノトリの羽数も伸びている。小学生が通学する横にコウノトリがいる昔の情景が戻った。2018年バードフェア イギリスで出店する予定。バードウオッチングは商売にもなる。コウノトリが育つ農法=「コウノトリ米」1キロ2000円で香港への輸出を始めた。トップセールスをしている。
※かばんは学校まで作った。若い人がたくさん入って来ている。
※ローカルを突き詰めた先にグローバルがある。
2. 情報発信…秘書広報課に情報戦略係を作った。知られなければ存在しないのと同じ。
豊岡エキシビッション・・・主催している。お招きするのは主にメディア関係者等230名。メディア招聘関係に約300万円かけているが、これによって国内11件、海外17件、豊岡の事を取り上げてくれた。掲載件数の推移は86件まで上がってきた。一心不乱に情報発信をしていれば確実に効果は出てくる。
豊岡に来た人に豊岡を知った理由を聞いた@紹介AロンリープラネットB豊岡が世界に発信しているVISIT KINOSAKI @の紹介が最も多いということは来た人が大切という事。
3. データの収集と分析…地域の稼ぐ力を引き出す事。ローカル&グローバル マーケッティング事業(選ばれる戦略)が必要。KDDと包括協定を結びユーザー行動分析を行っている。
2009年、副市長を全国公募した。副市長は2名。1名は市の職員。1名は民間から。公務員はどうしてもコスト意識、戦略は民間より低い。また、世の中の変化に敏感に反応することも苦手。それらを補ってくれる人、監督は市長、副市長はコーチ。優れたコーチを求め市長が訴えた。共同通信などを通じて全国発信した。その結果1371名が応募し1/1371で副市長が決まった。
また、インバウンドができる人材が市役所の職員にいなかったので楽天トラベルに人材派遣の打診をした。大交流課を設置しJNTO、海外向けのFB用の情報を出す海外戦略担当の外国人を採用した。企業人は様々な企業から派遣してもらった。「目標値もなく、データもなくあなた方は仕事をしていたのですか?」等、良い意味で生意気な若い企業人が入って来て、プロセスの中で職員が鍛えられ、育ってきた。
4. ローカル&グローバル コミュニケーション教育
@ ふるさと教育
A 英語習得(幼・保〜中・高まで)英語習得できるように独自の教育制度を設けている。
B 演劇の授業…小学校6年と中学校1年で演劇的手法を用いたコミュニケーション教育を実施している。
C 県立専門大学4年制の誘致…観光マネジメント科と文化マネジメント科を設置予定。
D 保護者から子への卒業式での賞状渡しをしている。
「卒業おめでとう。飛んでけ 豊岡市民一同」・・・「あなたが帰りたくなる日を目指して私たちもこのまちで頑張ります。」というメッセージを伝えている。
※フランス人は特に20日間ぐらい旅行をする。行き先は着いてから決めたりするので、周りと繋がったほうがお互いを紹介したりされたりして得。
※コウノトリ米は1キロ2000円。(国内では1150円くらい)玄米30キロで農家には10700円。移送費やPR費等がかかるが、今後、転作奨励金はなくなる。価格競争はしない。さらに良い米を作る事を目指している。
※アーティスト、クリエーターの移住促進計画を進めている➡まちのセンスがよくなる。まちが面白くなる。➡若い人に来てもらえるのではないか。
※多様性のある街の中で女性は大切。豊岡は女性に選ばれないまちなのではないか?(若い人で豊岡に戻ってくるのは男性50%、女性26%)➡女性に選ばれる街にしたい。
〇豊岡市のHPは英語、フランス語、中国語、韓国語でかかれている。また、プロモーションビデオの上映がいくつかあったがとても良くできていた。豊岡市に観光で行きたくなった。
観光立国と地方創生〜インバウンドが切り開く地域の未来
一般社団法人 日本インバウンド連合会理事長 中村好明氏
<要旨>
今、シドニーの物価は日本の約3倍。ペットボトルの水1本450円。この25年間に日本はほとんど変わっていない。ヨーロッパは3倍になっている。
観光で売るものは暮らし。シドニーは、夕食はドレスアップして外食する=ライフスタイル。
文化のクオリティを上げていかない限り観光立国はない。
戦略とは「既に起こっている未来を体系的に探す事」Strategy体系的にとは、しらみつぶしに徹底的にという事。
2014年10月1日からなんでも免税になった。ドン・キホーテの売り上げは戦略的にやってきた結果、大幅に伸ばすことができた。
シティプライド形成事業には公共哲学 Pablic Philosophyが必要。「米仕事」と「花仕事」が循環して持続可能の社会となる。「米仕事」とは、自分の田んぼを耕すことに代表される自分が食べるための経済活動。「花仕事」は社会への奉仕。村の橋、用水路の浚渫、祭りの準備などの事。
まちづくりの5者
@ 若者
A ばか者
B よそ者
C 切れ者
D ほんもの
地域のファンを国内外に創る・・・一人一人がファンづくりをする。
国際交流人口をあげる。国際関係人口をあげる。国際関係人口が特に大切。この2つをさらに上げる。➡リピーター化する。個人手配の個人客をどう増やすかが大切。
例)「指宿の玉手箱」電車が通ると手を振る=地域との連携
アテネ五輪の夢の跡・・・ギリシャの経済破たんの引き金になった。滅ばない日本、ほろばない地域を創る。
In-bound=日本に集まってくる人、モノ、カネ、情報のベクトルのすべて。日本の中に向かってくるもの。
訪日観光、MICE(国際会議)、留学、就労、移民、越境EC、株式、不動産、事業投資等すべてのベクトルの事。金産業の総合政策。世界から呼びこんでくること。
観光<旅(たび)
観光とは、トラベル&ツーリズム。国境を超えて様々な目的で活動する全部。
レジャー+ビジネス出張+MICE+VFR(友人、親族訪問)
MICEには東京オリンピック、パラリンピック、国際会議、ワールドカップなど
観光の概念は「たび」とすべき。
「たび」とは、度々(たびたび)、〜するたび、再び(ふたたび)
「たびとは家を離れて何かをする機会。可能性」
明治150年にあたる 明治になって変わったこと
@ こよみを変えた。太陽の暦に替えた。しかし、日本以外のアジアは月の暦。「春節」
A 1878(明治11)年。自治の考え方をいったん壊した。大区小区制。もともと地方自治体はそれまで約7万あった。➡明治に15000にした。その後昭和の大合併、平成の大合併と地方自治体を減らしてきた。昔の自治の歴史を知るべき。自分の住んでいる町はどんな町で名前だったのか。
B 神仏分離令
※Philosophyとは、本当の事を探す学問。我が町の事を知ることは重要。観光立国とは哲学立国でもある。
Civic Prideとは、地域みずからの固有のライフスタイルを再発見し、よみがえらせ、磨き、高め、広め、引き継ぐこと
何がお金になるのか。先ず、Visino理念(意識)があって➡価値となり➡お金となる。
ふるさと納税(GCF)(TCF)活用をしてほしい。今まではお礼の品でチョイスだったが、使い道でチョイスへ変わってきている。使い道でチョイスにすればどんな街にも可能性がある。ふるさとを磨くことにTCFを活用してほしい。
人口は減っているのではない。もとに戻っているのだ。
納税者人口が減っている。この先しばらく、当分の間は増えることはない。
観光立国&地方創生の成功条件
前提は「地域住民全員が我が国の主権者であり、我が町の主権者であるという自覚を持ち、良い納税者になる事。」1円でもたくさん稼ぎ、1円でも多く税金を納めるという自覚が大切。
固有のライフスタイルを磨く➡稼ぐ力、儲かる仕組み➡雇用創出
泊まる理由を作ればお金は落ちる。泊まる理由は具体的に考える。夜のスーパー、ジャズライブ、英語が通じる小さな店等
東京オリンピック後、しばらくは不況が続いた。今回は以前のような不況が続くことはないと思う。
東京オリンピックに向けて準備しなくてはならない事
@ フードデイバーシティ(食の多様性)ベジ、ハラール対応。全人口の約3割は食のアレルギー、宗教など食に対して食べられないもの等がある。ビーガン等、それらの人に対応できる食の準備が必要。ベジ対応大豆唐揚げなど。
A スポーツ振興・・・来た時にそのスポーツをやっていると交流ができる。そのための準備をしておく。その種目のスポーツ愛好家を作っておくことは大切。その後の交流につながる。
B 英語。コミュニケーションが取れることは重要。
観光・地域振興の在り方を考える〜観光は地域を元気にできるか〜
立教大学環境学部教授 東 徹氏
<要旨>
氏は観光ADRセンター所長でもある。※観光ADRセンターについて・・・・ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、民事の法的紛争を裁判以外の手段で解決する方法。第三者の調整により、当事者同士が解決内容を合意する「調停」と、当事者が解決内容を第三者の判断に委ねる「仲裁」などがあるが、今回、同センターが行うのは「調停」になる。「観光に関するトラブルは日常的に多く発生しているはずだが、金額が軽微なことが多いこともあり、ほとんどの場合、正式な法的手段によらず、“泣き寝入り”や“ゴネ得”で片付けられているのが現状ではないか」(同大学)。 旅館・ホテルや旅行会社など観光関係事業者と消費者との間のトラブルが対象。事業者、消費者双方から相談を受け付ける。ただ、事業者同士のトラブルは対象としない。
受け付けた相談は後日、弁護士が電話または面談で確認。調停になじむ案件であれば、調停申し立てを行ってもらう。申し立て費用は税込み5250円。相談のみは無料となる。
時間と金がかかりすぎるといわれる裁判に変わる紛争解決の手法として、多くの需要が見込まれている。(2012年5月19日 環境経済新聞より引用)
ADRとは、訴訟によらない問題解決の手続きである。
立教大学は1946年からホテル講座を始めた。日本の観光学の先駆けとなった。箱根の富士屋ホテル、日光の金谷ホテルなどの寄附から始まった。
観光とは、光を見る「光を示す」ことである。住む人が地域の光をよりよく自覚する⇒誇り、愛着が強くなる。そして、訪れる人にとっても地域の光をよりよく感じさせることである。⇒この経験価値である。
住んでよし、訪れてよしの地域づくり。⇒これが観光立国基本法に書かれている。
住んでいる人たち自身が自分たちの街の魅力をまず知ることから始まる。
満足度とお得意さんになってリピーターになることは全く違う。
住んでいる人がまず光を見る。まちを知ることが出発点である。
観光とは、経験の価値である。
住民が幸せになれない観光をやって何が良いんだ?
「このまちの観光を良くしたかったら○○をやる。」⇒はあ?っという感じ。もしもそうしてその先に何があるのか?観光とは何かを変えてやるものではない。
良くお客様第一主義というけれど、この本来の意味は従業員家族を養わなくてはならない、従業員家族が大事だからお客様第一主義となる。それと同じで、観光はこのまちがよりよくなるために観光を利用しようという考え方が本来の考え方。
「観光資源というものはいたるところに眠っている。それを観光対象にする仕方に問題がある」
あらゆるものが観光対象となる。エコツーリズム、グリーンツーリズム(農村観光)、生活文化観光、ヘルス・ツーリズム、医療観光、産業観光、ジオ・パーク(ジオパークは、地球・大地を意味するジオ(Geo)と公園を意味するパーク(Park)とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所)、シーニックバイウェイ(道路そのものを観光資源として活用するという新しい視点で、行政、住民、利用者、NPOが一体となり、地域の沿道景観や自然環境の保全・整備に取り組む活動)、被災地ツアー?(語り部ツアー?)・・・あらゆるものが観光・集客資源になりうる。人も観光資源である。
地域の多様性と威厳の偏在が観光魅力である。どこでも同じだと観光資源とならない。
観光にとって「意味の付与」は大変重要。今あるものに意味を付与することによって観光対象となっている。例としてアニメの聖地⇒聖地巡礼(観光)の対象となっている。・・・住んでいる人とっては意味が共有できない場合が多い。なぜ来るのか意味が分からないことがある。
意味がある。後からくっつけている。アニメの舞台・・・意味が分かる人だけが楽しめる。意味をくっつけて地域資源を観光対象化することは重要。
潜在的利用価値(ポテンシャル)の発見は重要。観光資源には@観光利用の可能性を持った地域資源Aすでに観光利用の対象となっている資源がある。@を利用価値の顕在化(具体化)して市場に提供する商品化をしなくてはならない。
観光とは旅行を伴う地産地消でもある。一般的な生産物の流通とは逆で、消費者が場所的・時間的へだたりを克服して便益が生産される場所・時期に近づいていくことである。
この時期、この地域にいるからこそ出会えるモノ・コトがもたらす効用を享受する、この時期、ここにいる意味が観光にとって大事である。=いまだけ、ここだけ、あなただけが享受できる価値=観光。
観光=経験価値・・・思い出に残る出来事。地域で出会ったモノ・コト・人⇒体験が感動と共感となれば情緒を伴ったエピソードとして記憶に残る。
「観光業」という業種はない。地域にお金を落とすではなく、地域にお金を回す仕組みとならなるべき。
住民は受益者としての満足感と参画している満足感の2つがあるのが観光=住民がまちづくりの担い手である。
住民は受益者として側面だけではなく、この町に住んでいてよかった。このまちの役に立っているんだという満足感が得られることが観光。観光は分かち合いでもある。
地域らしさを見直し誇りを取り戻すことが観光。
地域の素晴らしさを他から来た人と分かち合う。収益も分かち合う。人を多く分かち合う仕組み、巻き込む仕組み=自分の街は自分たちで作ろうという運動であり、まちづくりである。
人口減少は交流人口で補おうという事でもある。
行政で任せておけないから市民で立ち上がろうというのが「まちづくり」である。このゆびとまれの人となることが大切。
外からの力で地域を豊かにしてもらおうというのは多くが失敗した。誘致企業を呼んでくる。補助金を取ってきて何かをつくる等の外来型開発は失敗してきた。域外から、資本、技術、経営ノウハウに優れた企業を誘致し、大規模な開発を行い、地域振興を図ろうとする地域開発の多くが失敗してきた。これら、外来型開発の問題点として
@外来資本の系列内取引により、地元企業との産業連関を構成しにくい。
A事業利益が域外へ漏出しやすく、地域に対する経済効果が小さい。
B大規模開発による環境破壊を引き起こす。
C環境や自もち雇用等の面で地域社会に対する責任の観念が薄い。
D地域の意志によるコントロールが難しい。
持続可能な資源利用を!・・・・資源は観光に使えるかもしれないけれど他にも使えるかもしれない。過去に100年以上続いた産業はあっただろうか?⇒ない。いま、たまたま観光をバトンとして受け取った。50年後の事は50年後の人に任せよ。偶然の産物である。地域の大事な宝物を次の世代に繋ごう。持続すべきは地域なのだ。観光も含めた多様な可能性を将来に向けて維持する事が大切。
「住民の満足」と「観光客の満足」をどう両立するかが大事。住んでいる人がどうぞウェルカムと言えない観光ではダメ。住んでいる人が良いと思わないものには人は来ない。「よく来たね。見て行って、見て行って」でなければ人は来ない。
「我々のまちはこんなまちで、外の人にもそれを発信したいよね。」…原点。
観光は価値を約束する事でもある。こんなことがあるよ。こんなこともできるよ等。
まちづくりは住民が主体であり、観光集客による地域の活性化はまちづくりの課題の一つであり、住民の満足、誇り、愛着を生み出すことこそ優先課題である。そしてさらに他者の目を意識するまちづくりであり、訪れる人との交流を重視しなくてはならない。人も観光資源である。
民泊には二つの側面がある。@手軽で安価な宿泊施設()宿泊供給が不足する問題にも対応する。A日本の暮らしにふれる、交流を楽しむ・・宿泊=目的、定見としての価値⇒これは地方にとって大きなチャンスとなる。
ありきたりの観光では満足しない観光客も出てきた。⇒もっと深く知りたい、住民と交流したい。⇒地域にってはチャンスである。
民泊については@健全なビジネスとして成立するA住民の生活環境を悪化させない。B訪日観光客のニーズに応える魅力ある宿泊コンテンツとして成立する事の3点が必要である。
観光は経験価値を生み出す。=観光だけでは終わらない関係性の構築が出来る。観光によって地域の恵みや持ち味、そこで培われ、鍛えられた知恵や技に呈する共感を生み出す⇒地域のファンやサポーターの増加⇒観光は「ゆかり・きずな人口」を増やす。このことによって観光は住民の住民に対する誇りや愛着を育む。
地域を訪れる意味・泊まる理由を造り出すことが重要。
京菓子老舗女将のとっておきの話
笹屋伊織 女将 京都観光おもてなし大使 田丸 みゆき氏
• 京都人は物をいただく時には3回は断る。断りながらコミュニケーションをとる文化がある。
• 感謝を忘れず・・・朝起きて、今日会う人の顔を想像する。こないだあって時はどうだったか?会った時には、些細なことで良いから御礼からはいる。
• 心を残すお見送り・・・京都人だとわかっているが、京都人でないと全く振り返らない。見えなくなるまでお見送りをする。是非振り返ってほしい。
• お菓子の前に「京」がつく理由
1. 神社仏閣のお祭りや供養などに使われる。
2. 皇室を中心とした公家社会の贈答、儀式用
3. 茶道発祥の地
4. 最高級の原材料の宝庫
丹波大納言大豆、近江米、阿波の和三盆糖、吉野葛、寒天
五感の芸術 @視覚 色や形を目で楽しむ。季節は先取り。清少納言(996-1025)枕草子では「すさまじきもの 3月4月の紅梅の着物」梅花は2月だから3月は遅い。季節は先取りする文化。
A嗅覚・・・香を楽しむ。奥ゆかしい日本の文化。移り香・・香料は使ってない。たとえば桜餅は桜の葉っぱからの移り香を楽しむ。奥ゆかしい香り文化。
B触覚…歯触り、舌触りを楽しむ。C味覚 D菓銘を聞いて楽しむ。
「菓銘」は文化。鶴の形のお菓子「寿ぎ」(ことほぎ)アジサイの花びらは4枚であることから紫陽花のお菓子は「よひらの花」・・・菓銘を聞いて楽しむのも京菓子の魅力。 「東風(こち)」は梅の花を代表する菓銘。・・・菅原道真(845-903)東風吹かば 匂いおこせよ梅の花 あるじ無しとて 春を忘るな
竜田川はもみじのお菓子の事 ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに水くくるとは (在原業平825-880)・・・菓銘も楽しんでほしい。
最近は竜田川=もみじとわかるお客さんが少なくなってきたこともあってわかりやすい前に変わってきている。
• 日本のお菓子には祈りが込められている
柏餅・・・柏の葉は武家には植えられていた。柏の葉は新芽が出るまで落ちない。武家では戦で主が亡くなった後、跡継ぎがいなければその家は取り壊しとなった。柏餅、ちまきは、子供の成長と子孫繁栄を願うお菓子。お米一粒にも神様が宿っている。小豆は赤い豆なので厄除け。
おもてなしとはお役立ち・・❶ケチにならない。「自分の利益ばかりは結局は損」情報のケチ、能力のケチ、ご縁のケチ。❷お名前をお呼びする。

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