■ダークシティ■ 初っ端からこの異様な緊張感は何ごと? 記憶喪失ってだけで緊迫感出せるもんだなあ、と思ってるうちに「なあんだ、『マトリックス』より先に全部こっちがやってたんだ」と。サイコパワーにニョキニョキ変形する街に、禿人間に扮したムカデ×ナマコ型創造主たちに(本来形の出番がほんの3ショットだけなのが残念)。マトリックスに真似させなかった独自要素として、体に渦巻を描かれて殺されてる売春婦! そんな猟奇殺人ミステリーと広大宇宙空間SFとのミスマッチがとてつもなく格調高いムードを醸し出す。映像美麗にしてこれ傑作ですよ、間違いなく。
■ケイナ■ ブッたまげました! オープニング、宇宙船事故のジェットコースターシーンでCGの威力をまざまざと。同じフルCGでも『ファイナルファンタジー』(ムシ系1参照)に比べると人物がはっきりデフォルメされてるので比較的アニメ観賞のノリを強要されたが、それでもクリーチャーどものリアルさ多彩さったらない。しかしなんでだろうな、色彩が妙にストイックですねえ。だいたい茶色か青が基調で、せっかくのぶっ飛び映像が全体おとなしく無難にまとまっちゃった。ほんと、返す返すも原色戦略の欠如が惜しかったですよ。
■アイス・プラネット■ いやあ、良いですってば、これ。なんで知名度いまいちなんだろ。俺が宇宙に甘い、というかCGに弱いだけなのかな。でもスピード感あるし効果音や音楽も。主眼の氷風景にいたってはのめり込んでますねェ。前半の宇宙船風景も過激に定石押さえてたので全体隙無し。これでモンスター度が高ければ最高だったのだが。(質には文句なし、ただ出演時間がね)
■マトリックス■ ビジュアルはいいがハナシがどうも……。無理してラブロマンスくっつけてる欲張りぶりもどうも……。人の吹っ飛びかたが物理法則に反しているのもどうも……(脳内空間だからいいのか……)。モンスター度は低いがチョイ出の造形が素晴らしいのでまあ……ってほんとのところ、封切り時に映画館で観た印象よりずっと上でした。やっぱりビジュアル勝負系の映画は真っ暗な地下室でひとりDVDにかぎる、てことでしょうか。しかし後からやってるんだから、『ダークシティ』をハッキリ超えてほしかったよなあ。
■マトリックス リローデッド■ カーチェイスはスゴイの一言だがモンスター度がさらに下がっちゃいましたか。でもAランク。なんだかんだいってもこの三部作、基本的に高品位きわまりないですわ。
■マトリックス レボリューションズ■ モンスター度は上がったけれど、というかもうおなかいっぱいってほど堪能させてもらったけど(いや実際、モンスターメインの映画でもないのにニョロニョロバリバリバトル模様であんないっぱい出してくださって感謝しております)どうも御都合主義が迫り出しすぎて……。トリニティがきっちり死んでくれたのが唯一の救いだが。あの女、オノヨーコ似だと思いませんか?
■ビデオドローム■ ナンセンス系2参照。
■スパイキッズ3-D ゲームオーバー■ コメディ系2参照。
■魔界覇王■ アクション不足は否めないが、ゲームキャラクターの実在化というのは単純ながらあまり類例なさそうなので。さんざん閉鎖空間の隠れんぼが続いたあげく一転、終わり方がけっこう静かなインパクトあったように記憶しておりますが。
■イベント・ホライゾン■ なんだかようわからん世界だったな。普通のホラー映画を宇宙で試してみたってこと? 博士みたいなのが憑依されたってことか何なのか不完全燃焼気味だけど、『スフィア』(コンタクト系1参照)と記憶がごっちゃになってるんですよね(なんかこっちでも球体が出てきたし)。こっちの場合、まあ宇宙船そのものをモンスターと認知したということでお願いします。
■天使のたまご■ たまにはアニメも入れてみましょ(超厳選でいきますが)。さてこれ、奇っ怪なアニメでしたよね。静かだし。台詞ほとんどないし。結局最後、いい意味で意味わからないし。水の描写と音楽がやたら美しいし(CDも持ってます。環境音楽寸前)。まあモンスター未遂系でしょうかね。たまご割られちゃって出現できなかったので。
■イグジステンズ■ 双頭トカゲが出てきたときは嬉しかったんですが、後が続かん。クローネンバーグって相変わらず生ぬるいですねぇ。『マトリックス』みたいにビジュアルで勝負できる場合は別として、「現実と虚構(ゲーム空間)の区別がつかなくなる」系モチーフって陳腐かつ退屈きわまりないことが、こういう映画観てるとほんとつくづくわかりますよ。

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