2006/12/2

秋月夜に  実相寺昭雄監督

今夜は空気が澄んで、冴え冴えとした月が出ている。今夜(12月1日)、北とぴあ・さくらホールで、当初、実相寺昭雄監督が演出を手がける予定だった、ハイドンの歌劇『月の世界』の演奏を聴いた。
私と実相寺監督との最初の出会いは、1985年の小澤征爾指揮『ヴォツェック』。その時、すでに監督はウルトラマン、ウルトラセブンで一世を風靡し、映画や音楽番組の世界でも活躍しておられた。私は帰国したての無名の歌手だった。けれども尊大なところなどかけらもなく、飄々としているかに見えて、天文学的な計算をしているかのようなプロ魂、オペラコンチェルタントの未来を切り拓く確かな手腕に、大きな手ごたえを感じた。こちらもうかうかしてはいられないと、全力を尽くした。あれからもう20年以上の長い付き合いになる。今年、体調を崩され、大手術の後、8月に退院して、来年7月の『魔笛』も演出して頂くはずであった。しかし、11月29日深夜、監督は逝ってしまった。まだ69歳だった。
『月の世界』の上演が12月1日・2日。それと同じ12月1日が通夜、明日2日が告別式になってしまった。オペラコンチェルタンテの草分けともいえる監督に、病から回復してこれからまだまだ活躍してほしかった。
「悪い冗談はやめてくださいよ」と言えたらどんなによいか。本当に残念だ。
實相寺家の菩提寺は、湯島の麟祥院(りんしょういん) 。湯島天神や監督が好きだった路地裏も多い場所。ひよっこりと、どこかの横丁から、「やあ、待たせたね」と現れそうな気がしてならない。
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添付写真=実相寺昭雄監督(上野にて)と2005年『魔笛』(東京二期会)公演
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