〜中島中学の彫刻清掃〜
中島公園で開校した中島中学には、公園に因んだ作品
を含め多くの美術作品がある。
彫刻清掃に先立ち、それらを纏めた資料が配布された。
「中島ギャラリーPart1」からPart9まで整理されている。
その中で唯一、誰もが自由に見れるのが
Part1の「協力の像」である。

中島中学校南東側の角にある。
どこからでも自由に見ることが出来る「協力の像」。
1964年、中島中学が移転新築された年に建立された。
移転前の同校は、現在の札幌パークホテルの位置にあり、
文字通り中島公園の中島中学だった。

8月2日午前中、夏にしては肌寒い日だった。
この日、中島中学の生徒達は「協力の像」の清掃を行った。
協力したのは、彫刻清掃について豊富な経験のある
「札幌彫刻美術館友の会(友の会)」。

実はこの像、半世紀前の中島中学生徒会の総意で2,200人
の生徒が廃品回収で資金を集め制作されたものである。
廃品を提供した人を加えると一万人を超える人々が
「協力の像」制作に関係したかもしれない。
清掃は高圧洗浄機と手洗いから始める。
生徒の思いを形にしたのは当時の美術教師、坂坦道氏。
札幌のシンボルとして有名な羊が丘にある「クラーク像」
の作者と言った方が分かり易いかもしれない。
友の会会員の指導で高圧洗浄機を操作する生徒。
資金集め廃品回収したのは校舎移転前、まだ中島公園
に隣接していた1962年頃。時がたつのは早いものだ。
今は60代になってしまった元中島中学生が、見違えるように
綺麗になった「協力の像」を見て喜んでくれるだろう。
高圧洗浄機で水を吹き付けると素早く汚れが落ちる。
半世紀前の1964年、中島中学生徒会の総意で、皆で協力して作った像が、いつでも誰もが見られる位置にある意義は大きいと思う。

ところで「札幌まちあるき博物館」のM先生(北大)も
ポロクルに乗って駆けつけてくれた。忙しいのにありがとう。
「細かいところは歯ブラシを使って清掃」と説明。
説明にもあったが、彫刻清掃で大切なことが二つある。
ひとつは怪我をしないこと。
もうひとつは彫刻を疵つけないことである。 その為には
「ゴシゴシよりナゼナゼ」の気持ちで磨くことが大切だ。
さっそく、中学生が歯ブラシを使ってやってみる。
その点、歯ブラシは彫刻清掃具として最適である。
歯茎などの柔らかいものを磨く歯ブラシだから、
彫刻を疵付ける心配がない。
黒く汚れた所は、細かくなぜて丁寧に清掃する。
高圧洗浄機を使うと面白いように汚れが落ちるが、
細かい所にシツッコイ汚れが残りなかなか落ちない。
彫刻の材質に合った洗剤をつけた歯ブラシが有効。
狭い範囲を小刻みに動かして汚れを落とすのがコツ
と言われている。
文字通り協力して「協力の像」を清掃する。
中島中学の生徒と札幌彫刻美術館友の会が協力して
「協力の像」を綺麗にしている。
世代の違う人たちの協力は特に大切と思う。
人の一生は限られている。
すべでは次世代に引き継がれて行くものと思う。
最後にもう一度高圧洗浄機で洗剤等を洗い流す。
洗剤も使って汚れを落としているので、
洗い落とす必要がある。
再び、高圧洗浄機の登場で作業は完結する。
先輩達が48年前に作った像を、後輩が清掃する。
大変、有意義な半日と思う。参加の皆様お疲れ様。
(当日、学校より配布された資料を参考にして書きました)

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