新潟市は入札改革の一環として「電子入札システム」の導入を決定し、そのための開発費を12月議会の補正予算で計上しました。
これに関連し、畑は違っても同じコンピュータシステムである医療情報システムの開発に関わってきたひとりとして、問題点などを指摘しながら意見を述べました。これには先輩委員たちも「すばらしい意見だった」と感心。
以降、電子入札やコンピュータシステムの開発関連案件の前には事前に担当課も説明に来てくれるようになりました。
以下、その意見の要旨です。
========
■補正予算に関連して、電子入札システム開発について
本来電子入札は、従来、書類・郵便等でおこなわれてきた、入札に伴う発注情報の周知をはじめ、資格審査確認申請から入札結果公表に至るまでの一連の工程を電子化するもので、さらに認証および公証システム、セキュリティ関係の機能を有するものである。
この単純な業務のシステム化に1億5千万を要し、その後も相当額の保守費用を要すると想定され、当初相当額の費用を要する根拠とされた既存財務会計システムとのオンライン上の接続もなく、仕様の概要を見ても相当額を要する市独自の具体的なカスタマイズ方針なども乏しく、用途も一般競争入札のみとなっており、率直に言って高額である印象を否めない。
私の経験から考えて、同額程度の医療情報関係システムが処理している業務や端末の台数等と比較してもあまりに高額であると判断せざるを得ない。
また、相当額が支払われると想定される認証・公証システム及びセキュリティ関係の費用について、この種のシステムの安全性については、例えば患者さんの医療情報や市民の財産などに関する個人情報と異なり、ただちに人間の生死やプライバシーの侵害に関わる情報とは性格が異なり、落札後は情報が公開されるもので、セキュリティのハードルは先に挙げたシステムほどの堅牢さは要しないものと考える。
電子自治体が叫ばれる一方で、関係企業にとっては自治体が巨大で魅力的な市場となりつつある今日、市としてこの種のコンピュータシステムに対して適切な対応、見積もりに対する評価が可能な体制が整備されることを望む。その意味で、今回の開発契約は電子入札だけにとどまらず、今後の自治体業務の電子化の流れの中で、市として十分な対応が望まれるものと考える。
そこで、本予算が執行されるとすれば、以下の要件を満たすことを要望する。
1)これまで他の政府機関・自治体等への納入実績のある業者から選定するとすれば、開発経験や資産があるはずであり、より安価に提供できるはずだという当然の疑問に答えるような納得できる説明がなされること
2)一般競争入札工事以外への対象の拡大や財務会計システム等との連動など、今後想定される機能の拡張への対応、また、将来、システム更新などの際に仮に別の業者になった場合でも他社のシステムにも円滑にデータ移行ができることなど、柔軟なシステム及びデータ構成とすること
3)この種の新しいシステムは実際に稼動した後に不十分な点や改良すべき点などが明らかになることが予想され、初期に想定される業務上必要なシステム改修等について、業者は誠意を持って市からの交渉に応ずることを約束させること
4)契約後納期までの期間にも、コンピュータ開発の領域では特にハードウエア関係の進歩は目覚しく、契約時に想定した機器と同等もしくはより高性能のものをより安価に用意できる事態が生じた際、市は必要な手続きの上、より効果的な予算の執行に努め、業者側も誠意を持って応ずること
========

1