議員になって初めての決算委員会が10月15日まで続きました。いろいろありましたが、最終日は集約意見の日。
財政問題、談合問題での意見を述べた後、市政全体に関わる重要点として、まず、最近、やたらと多い「○○審議会」など本市の附属機関の問題を指摘。法律や条例に基づかない委員会は違法の可能性もあるのだという指摘には、市の職員はびっくりしたに違いないと思います。これは、同じ「緑・にいがた」の高見優さんがイヌワシ問題でずっと県と争ってきた裁判闘争の成果でもあります。
また、附属機関かどうかの位置付けさえ曖昧な、しかし鳴り物入りで作られている「雇用創出・産業活性化総合戦略会議」について、日本のバブルや不良債権問題に重大な責任を有する金融機関(日本政策投資銀行)の支店長を何の問題意識も無く委員にしたりしていることなどを指摘しながら、徹底的に問題点を明らかにしました。
特に日本政策投資銀行に関連して「政府系金融機関だからといって経済運営が安心できないのは、県財政の破綻を導いた新潟県知事が日銀支店長だったことからも明らか」と述べた下りでは、ちょうど知事選の真っ最中ということもあり、委員のみならず市の職員からも大きく笑い声が漏れ、大ウケでした。
これら附属機関の問題について保守系議員もいつも苦々しく思っており、「中山さん、いいこと言ってくれたね」と「お褒め」いただきました。
またその他昨年度の財政・政策全般について批判を展開、革新系先輩議員も「すげえな。脇で聞いていて、かなわないと思った」と感心。
やりがいのあった総括意見でした。
=====以下、意見のうち当該部分の抜粋要旨
1.審議会・委員会の設置について
2003年度もさまざまな委員会審議会が条例以外の要綱や規則などで作られている。委員会・審議会で広く市民の意見を求めることは、市政と市民の距離を縮める上でも評価できることであるが、しかし無原則に各所管課の恣意的な人選によって委員会が設置される危険があり、問題無しと言えない。
地方自治法第138条の4第3項は、地方公共団体が「法律又は条例の定めるところにより」「審査会、審議会、調査会」などの「機関を置くことができる」と規定している。したがって、これらは法律や条令によって設置することが原則である。法律や条令以外の委員会委員への報酬の支払いについては、特にそれが各地のダム建設など行政上重要な係争課題の場合、しばしば裁判でも争われているほどで、これらの論争を踏まえて、条例外でも設置できると主張する有力な法律学者の学説でも、それは一時的なものや緊急性のあるものに限るという解釈がなされていることに注意すべきであり、たとえ他の自治体でも一般的に行なわれていることであっても、執行部各部署がこの問題について無自覚なまま審議会・委員会を作り続けることは問題である。
少なくとも、委員会・審議会の設置方法や人選方法をめぐる合理的な基本理念や方針を明確にするよう、全体として検討を進めるべきであると考える。
2.雇用創出・産業活性化総合戦略会議のあり方について
附属機関の設置の問題にも関わるが、「雇用創出・産業活性化総合戦略会議」なるものが作られ、さまざまな場でこの戦略会議の提言が引用されるなど、市の今後の経済雇用政策に重要な位置づけがなされているかのように見えるが、この会議自体、先ほど述べた附属機関なのか私的諮問機関なのかも明確ではない、曖昧な会議である。
また、田園型政令市を目指すということを標榜するにも関わらず、戦略会議メンバーに農業関係者が皆無であり、人選方法もまた合理性を欠くものと言える。
さらに、この委員の中には日本政策投資銀行新潟支店長が関わっているが、政府系金融機関だからと言って経済対策に必ずしも有効ではないということは、財政破綻を招いた新潟県知事が日銀支店長だったことからも明らか。
この日本政策投資銀行の前身は日本開発銀行と北海道東北開発公庫だ。このうち日本開発銀行は大企業への長期融資を中心とした業務を行なってきた金融機関であり、中小企業支援とは無関係。政府がこの銀行による「中小企業等への積極支援」の方針を決定した後も、「中小企業『等』」の「等」を理由に、引き続き大規模事業への無原則な投資を続け、その上、現在全国各地で問題になっている経営危機を迎えている多くの第3セクター施設への巨額の無利子融資を続け−その原資はNTT株や郵便貯金、すなわち国民の財産や貯金を湯水のように注ぎ込み続け−、その放漫経営を助長、結果的に巨額債務を抱えての破綻という結果をもたらした金融機関でもある。
また、一方の北海道開発公庫は北海道や新潟を含む東北地方のインフラ整備のための資金供給を行なった機関であり、重厚長大産業に偏重した産業基盤整備事業が巨額の欠損を生みこの公庫自身が破綻してしまった経緯もある。
委員となっている支店長個人の資質をどうこう言うつもりは無いし、この銀行の研究機関には優れた経済学者などもおり、近年は地域経済と結びつこうと、各地で自治体に協力してセミナーや研究報告会などもおこなったり地方銀行との提携を積極的におこなっている姿勢も見受けられるが、しかしそもそもバブル経済やその後の巨額の不良債権問題など、今日の国や自治体が抱えている構造的な財務問題や低迷した経済に重大な責任がある金融機関でもある。
今新潟に必要な、中小地場産業にも目を向けた地域産業の発展という議論をリードするにふさわしいのか、全くもって疑問である。
所管課にこのような問題意識がなかったのか、なければ調査不足だし、あったなら確信犯であり、強く指弾しなければならない。むしろ、農業や中小関連企業や若年労働者の動向にも目配りがきき、これを正確に分析できるような層からも積極的な人選が必要だったと思われる。
また、中間報告の内容については、確かに積極的な議論がなされていることは伺えるものの、「戦略会議」と仰々しい名前を銘打ったことからすると内容は迫力不足であり、それぞれが自分の経験や思いに基づく意見を言っているだけで、科学的根拠やデータ、その分析に基づいた議論とはなっていない。
例えば、この戦略会議の中間報告書の中には「農業は国際化というととたんに保守的になる」という表現がある。確かにそうした側面は否定できないものの、グローバリゼーションの中で、アグリビジネスなどの多国籍企業の世界的な戦略やWTOの自由化路線と、国内農業・地域農業とは、安全・安心な食物や地域産業の保護という点でも対立状況にあり、たとえばヨーロッパにおいても、BSE問題などを契機に、国内農業の育成や子どもたちへの食育の重要性が見直されている。
報告書の一部に見られる安易でお気軽な表現には、こうした問題意識の欠如が感じられ、一面的であると言わざるを得ない。
このような「戦略会議」の提言や報告だけに頼らず、「内発的発展」を真に実現するために、地に足をつけた政策論議の発展を望む。

1