昨日、報道機関向けに以下の資料を公表。一部の新聞が報道しています。

↑ナカヤマの調査報告を報じる朝日新聞新潟版(2006/6/22)
(以下、調査報告要旨)=============
報道機関各位 2006年6月21日
シンドラー社エレベータのトラブルについての独自調査報告
新潟市議 中山均
問い合わせ:nakayama@jca.apc.org
同社のエレベータが複数の本市施設に18基あり、いくつかのエレベータでトラブルが発生していたことはすでに新潟市より公表されていますが、同社のエレベータおよび保守点検業務にさらに問題点がいくつか明らかになったので、報告します。
1.総合福祉会館のトラブル31件は全て同社管理期間
今回高校生の死亡した事件のあった東京都港区のマンションのエレベータについて同社は「1年以上当社の保守点検を受けていなかった」とし、事故原因は保守点検の不備にあるとする姿勢を示した。
しかし、同社エレベータのうち、本市で最もトラブルの多かった総合福祉会館のものについても昨年まで同社が保守点検業務をおこなっており、公表された31件のトラブルは全て同社の保守管理期間中のものであったし、原因が特定されないものもある。本市の経験からも、上記のような主張は根拠が無いと指摘しておく必要がある。また、先週末(17日)トラブルのあった新潟テルサのエレベータも同社の保守管理下にある。
※なお、一般的には、他社の保守点検の場合でも、もともとの納入業者が点検に必要なマニュアルなどを示し、適切に引き継ぐ責任がある。他社の管理中にトラブルが発生したからと言ってただちに納入業者の責任が免れるわけではない。本市においても保守管理を別途分けて入札する動きがある(総合福祉会館は2004年より入札、本年からはエスイーシ社が受注)が、適切な業務引継ぎや管理マニュアルの明確化などを求める必要がある。
2.定期点検直後のトラブルも多発している
今回の東京のマンションの事故では、事故8日前の定期点検で「異常なし」と報告されていた(ただし同社以外の業者によるものであるが、それが同社の責任を免れるものではないことは上記で指摘した通り)。
これと同様、本市総合福祉会館のトラブルを見ても、定期保守点検で特記すべき異常が検出されなかったあと、わずか2日後、4日後、5日後といった間隔でもトラブルが発生している。
先週末(17日)トラブルのあった新潟テルサでも、事件を受けて緊急点検を受け異常無しとされたばかりであったはずである。
これらの事実からは、同社の機器に構造的欠陥があるか、同社の点検方式・技術では欠陥や不備を検出することが不可能ではないかと疑わざるを得ないことになる。今回の一連の緊急点検における「異常無し」という判断の信用性にも疑問が残る。
3.他社のエレベータと比較して
本庁舎および分館のエレベータを管理している管財課からの聞き取および資料によれば、年1回程度のトラブルはあるものの、いずれも軽微で原因が特定でき、容易に復旧できるものがほとんどであり、やはりシンドラー社の機器や点検技術に問題があることを疑わざるを得ないと言える。
4.保守点検業務委託の問題
新潟テルサと総合福祉会館では同社エレベータを同じ3台設置している。機種等が異なることによるのかもしれないが、年間保守管理費が前者約160万円余(随意契約により1998年度〜2002年度まで約270万円、2003年度〜2005年度まで約208万円、2006年度約160万円)、後者が60万円余(2004年度より入札、約140万円の予定価格に対し同社が約64万円で落札。現在はほぼ同額でエスイーシ社が受注)という金額であり、工事等の案件と比較しても競争性・透明性と品質確保という両方の観点で疑問も残る。
5.同社の管理体制の問題
本市18基のうち16基は今も同社の保守管理を受けているが、同社は新潟県全体に新潟営業所が一箇所のみでわずか2人体制。2人で県内数十基と言われるエレベータを管理していることを考えると、管理体制だけでなく2人の労働実態も厳しいものがあると推測される。
なお、現在、新潟営業所への電話連絡はできない状態となっており、東京本社へ転送される状態で、技術面の問い合わせについてもすぐに返答できるような状態になっていない。

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