決算審議での市税収入に関して独自に担当課から取り寄せた資料を分析したところ、非常に興味深い事実があらためて判明しました。
市内の納税者の所得各階層分布がどのように推移してきているか、過去5年間の動向を解析。
まだ十分には分析しきれてはいませんが、200万以下の低所得者層の割合は2001年以来、一貫して増加。200万から700万の中所得者層、700万超の高所得者層の割合は低下しています。
つまり、大ざっぱに見ると、新潟の場合、大都市など一部金持ち層の拡大という現象も顕著ではなく、高所得、中所得からより低い所得へと流れている、「貧困化」が進んでいると見ることができます。
1%から数%の変化で、単年度ごとで見ると大きな変化とは言えませんが、一貫した傾向があり、合併の影響はあるものの、2001年から昨年までで見ると、例えば低所得者層は約5%以上増加しています(注、ただし以上データは給与所得者のみ。他の所得区分は別途分析予定)。
この各所得階層別データの資料の存在に言及しながら質疑した委員会終了後、共産党の議員が「そんな資料があるのか。そういうのが欲しくて探していた」と声をかけてきてくれました。
この資料は、もともと税担当課が国の求めに応じて作成しているものですが、委員会の前に上記のような僕の分析概要について、僕の見当違いだと困るので、市税担当課に一応コメントを求めたら、「はあ、確かに低所得者層が増えていますねえ」と少しびっくりした様子。
これとは別に、財政の担当課職員も、僕が解析する前の時点では「まあおそらく最近底打ちで盛り返しているのでは(つまり、低所得者層はとどまって、少なくなってきているのでは、とうこと)」とタカをくくっていましたが、はずれです。マクロの統計上の「景気」しか見ていないのでは、と(鬼の首を取ったように!)言いたいです。
揚げ足を取るようで申し訳ないですが、担当課は国の求めに応じ淡々と資料をまとめ、報告しているのみで、市民の所得動向の最も基礎的な資料について、その分析を十分にやってはいないのです。
この資料こそ、新潟市の産業・経済・労働政策、さらには福祉政策の基本中の基本であるはず。
税の担当課がそれを分析することが難しいのだとしたら、他の適切な部署できちんと解析し、政策の基礎データとすべきではないかとの質問に、「確かに苦労して作成している資料ですので、御指摘の趣旨で生かして生きたい」と言明。
それにしても、逆に言えば、こうした詳細な分析無しに、市の経済動向が「分析」され、政策が展開されてきたと言えます。ある意味、びっくりの驚きと言わなければなりません。
下図は給与所得者の所得階層概要の近年推移(市の資料からナカヤマ作成)。見にくくてすみません。「H17」分は合併分が加算されています。
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