先日、新潟市の市税収入データから「じわり進む貧困化」を報告しましたが、さらにデータを整理し報告します。
当初、「所得」(収入から控除分を差し引いたもの)で比較しましたが、それだとかなりさまざまな要因が影響するので、単純に「収入」の階層別動向を調べました。
また、主たる収入もさまざまありますが、これも比較をシンプルにするため「給与所得」者のみでとりあえず評価しました。
小泉前首相は、国会での「格差」議論の際、「現役引退や年金生活者など高齢者の増加が統計上の格差に影響している」旨の答弁をして格差社会を否定しようとしましたが、「現役」である給与所得者のみで動向を調査すればより明確な実態が判明すると考えました。
以下は、給与所得者の課税状況調べの収入階層別人数の割合の動向をグラフ化したもので、サミットを共同で迎えようと連携している大政令都市の横浜の状況と比較したものです。いずれも、本年までの5年間の推移です。
↓これが横浜市の状況
↓こっちが新潟市の状況です。
すぐにはっきりわかることは、やはり横浜は新潟よりも全体に高収入・富裕層の割合が多いことです。ま、これは当然で仕方ないかな。
さらに、新潟の状況を経年的に見ると、年収300万円以下の人の割合が、年に数%とはいえ、確実に増加していることがよりはっきり見えます。また、1000万以上の高収入層、700万以上の比較的高収入の割合が少しづつ減少していることもわかります。
「年収300万以下の時代を生きる」という本が数年前ベストセラーになりましたが、新潟で見る限り、それはすでに給与所得者の実に4割以上となっているのです。その書物の「年収300万以下」という衝撃的な数字は、今や半数近くの人にとって悪い意味で「ごく普通の」数字になってしまっているのです。このグラフからは、さらにこの傾向が拡大していくと推計する必要があると言えます。
前回述べたように、新潟市の場合、このデータで見る限り、「格差拡大」と言うよりは、やはりゆっくりとであるとはいえ、じわり「貧困化」が進んでいると見るべきです。また、大都市と地方都市の「格差」が拡大している、とあらためて見ることができます。
「政令市」へ向けてお祭りムードの本市。しかし、ここで垣間見えるような現役世代の「貧困化」は、現役世代に支えられている高齢者や子供たちの生活実態にも直接影響します。こうしたデータ分析こそ、本来、地域の福祉・労働・経済政策の基礎になるはず。新潟市は今、「総合計画」も策定しようとしていますが、こうした市民生活の現状にも細かく目を向けていく必要があると言えます。

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