8月に現地を訪れ(→
記事はこちら)、先日広島地裁で工事差し止め判決が下りました。
御世話になった「いろは」宿のおかみさんも涙流して宮崎駿監督に電話しているシーンがニュースで流されました。
ほっと胸をなでおろしましたが、判決文では「景観は公共の財産」であり、守るべきもの、とされましたました。それはその通りなのですが、少し複雑な気持ちです。
というのも、これまで、今回とは逆に、原発や空港建設なども「公共の利益」とされ、そこで暮らす住民の暮らしが破壊されてきた歴史をこの目で見てきたからです。
「公共」とは何か、考えさせられます。鞆の浦の景観が「公共の財産」と言うなら、公共によってもっと積極的にそれは守られるべきです。現在、現地であの町並みを守っている主体は、NPOなど住民たちです。彼らは私財を投じて歴史建造物を守っています。それでも追いつかず、住民たちの中には、先祖から受け継いだ家屋を生活のため取り壊し、立て直す家もあります。そういう取り壊しを、住民たちは涙を流しながら見ているのです。
住民の取り組みを行政がサポートし、また、古い町並みを維持するために現代的な生活や衛生水準から考えてあまりにも不便な生活が強いられるとしたら、そのサポートもしていくべきです。それでこそ「公共の財産」と言えるでしょう。
関係者の皆さん、お疲れ様でした。

6