24日に続き、瓦礫視察の2日目は女川町へ。
女川のある石巻地区では、一日目の仙台市と比べると、自治体の規模の違いか、まだ町の中の民有地に瓦礫の山があります。これらは確かに早く何とかすべきです。
女川の仮置き場では、瓦礫の徹底的な分別のラインを設置し、最終的には手作業で振り分けています。
↑仮置場に設置されている分別処理用のプラント
↑最終的には手作業で分別。ガラス張りの中で作業しています
また、ラインの各ステップ・場所で空間線量を調査、そしてコンテナは密封型で、コンテナの出発時にもコンテナの両脇で空間線量を計測。−これらの過剰なまでの空間線量測定はやり過ぎではないかなあ、コストに比較してあまり意味無いんじゃないかと感じました。
一方、精密な放射能(核種と量)測定は月1回程度。その具体的なサンプル方法や量などは時間の余裕が無くまだ確認できていません。
宮城県の担当幹部に「仙台の事例などを見れば、やはり域内(ブロック内・県内含む)処理も現実的だし、地元経済や雇用の観点から見ても意義があるではないか」と聞いたところ、
「基本的にはおっしゃる通り」とした上で、近々新たに5基の仮設焼却施設を設置する予定とのこと。しかし、それでも「広域処理要望量の1/3」とのことです。−ということは、宮城県が計画している施設の3倍の施設を、国が責任を持って建設すれば計算上はクリアできることになります。ことは単純ではないかもしれませんが。
仮設焼却施設や埋立施設(もちろん、それらも十分な安全確保が前提)の設置のハードルとなっているのが、女川などの地形の特徴で平地が少ないこと(仙台は広大な仙台平野がある)だそうです。
確かに、女川町内・石巻地区内で考えれば候補地の選定は難しいかもしれません。でも、国交省や林野庁、農林省など、現在瓦礫処理を主導している環境省以外の複数の省庁が協力して、国が責任を持って仮置施設や仮設焼却施設の建設やその調整を進めることで、今よりは状況が改善する可能性もあると感じます。
一日目の仙台方式がうまく行ったのは、説明職員の方によれば
@津波の被害には遭ったが、都市機能・市の中枢機能が維持され、司令塔が存続できた
Aしかも政令市だったので、産廃業者の許認可権も持っており、廃棄物の処理の状況や課題について精通していた
B広大な仙台平野があり、用地を確保できた
等の利点が挙げられます。
確かに女川町はこれらの利点を持っていないかもしれません。
しかし、政権民主党も掲げていた「地方分権・地方主権」の理念で言う「補完主義」(一義的に基礎自治体が行政を担い、それで担いきれないことを都道府県や国が担う)の考えで言えば、町の力では困難なことは明らかなのだから、上記のような条件を確保できるよう、国がその責務・役割を果たし、域内・ブロック内・県内の自治体や用地を調整して処理を進めるような施策が必要なのではないかと思います。
そうした意味でも、自治体同士の広域処理協定を傍観者のように脇から応援するのではなく、国自身が積極的にイニシアチブを取っていくような姿勢が求められていると思います。
また、女川で拝見したビデオなどで「道の両端に1kmも続く瓦礫の山」が強調されていましたが、しかし広域処理はそのうちの可燃物のみが対象で、多くて全体の2割程度と推計されます。同行した議員の中には「しっかり分別や検査もやっている。万全で安心した」と言う人もいましたが、「しっかり」さは伝わるものの、しかし広域処理で「道の両端に1kmも続く瓦礫の山」そのもの全体を解決できないことは明らかです。結局広域処理の「絶対的な必要性」は残念ながら感じることはできませんでした。
瓦礫の山の撤去のためには、例えば女川で言えば選別ラインを増強し、そこに人員も積極的に雇用する、といった対策の方がメインになるのではないかと感じます。それも被災した基礎自治体単独では困難ですので、国の出番です。
現地で日々奮闘されておられる方、関係者の皆さまに心から敬意を表し、そした町の中の仮置場に隣接して暮らす方々の状況にも想いを馳せつつ、取り急ぎ2日目の報告とします。
写真は公開可能なものを確認次第掲載します。

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