前日の南相馬市に続き、3月26日は郡山市の各地を回りました。
郡山市は原発から60キロほど離れていますが、いわき市のなどよりも高い空間線量が観測される場所が少なくありません。
朝一番、前夜にKさんが紹介してくれた「
ペップキッズ」という施設を訪問しました。
郡山市は空間線量が高く、子どもへの影響を心配して外遊びを控える傾向があり、事故後子どもたちの肥満傾向も明らかになっています。
そうした不安や問題に対する対策として市が運営している施設です。
↑スーパーの倉庫だった建物を改造したもの 開館時間(朝10時)前から入館待ちで長蛇の列が並びます。それだけ多くの人たちが野外の遊びに不安を感じているのということもありますが、施設の遊具や遊び場がおもしろいものばかりなので、単純に楽しみに来ている人たちもいるそうです。
子どもだけでは入れず、大人1人に2名まで子どもを連れて入ることができます。
↑写真撮影は制限されていたので1枚だけですが、施設内は広く、いろんな遊具や場が豊富にあり、大勢が遊んでいます。 たくさんの子どもたちと親たちが建物の中でにぎやかに楽しく遊んでいる風景を見て、遊具が楽しみという側面もあるとはいえ、多くの市民が子どもを安心して外で遊ばせられない、という郡山市の日常の現実をあらためて実感しました。
そのあと、郡山市のNPO「
安全・安心・アクション郡山(3a)」という団体の事務所を訪問。
県外から届けられた野菜の販売、食材の自主持ち込み検査、甲状腺エコー検査の自己負担分の補助などにも取り組み(財源は生協組織である
パルシステムの事業)、定期的に利用者の皆さんが集まり、座談会を通して情報交換や相談などをしています。
↑中山の奥が3aの代表の野口時子さん、手前が同行の栗原市議。
春休み中ということもあり、子どもたちを県外へ保養に出しているお母さんたちも少なくありませんでした。
子どもたちの県外への保養は、それぞれが自主的にさまざまな情報の中から自分の希望や条件にあったものを選んでいるという状況。どのくらいの子どもたちが関わっているか全体像は把握できませんが、クラスの親同士の会話の中でひょんなことで「ああお宅も」ということも少なくないそうです。
塾などの問題もあり、保養に出そうと思ってもなかなか行けない、部活などを休めないことから子どもたち自身が希望しない、というケースもあります。
また、特別支援学級、養護学校の子どもたちは希望があってもハードルが高い、おなじ未成年でも高校生や大学生を対象としたものは少なく、そのニーズに対応できていない現状も話されました。
これについては、小中学生の保養に、高校生や大学生が引率ボランティアで付いていく、というようなアイディアも話されました。
民間レベルでこれらすべてを賄うことは困難で、やはり公的機関のサポートやその役割分担なども今後の課題です。
朝訪れたペップキッズについては、今後市内4か所に同様の施設の建設計画が進められており、
こうした行政の施策に対しては「(ペップキッズのような施設は)無いよりはあった方がいい」ものの、「保養などにも予算を付けるべき」「学校現場では放射能対策で窓を閉め切っている事が多く、エアコンの設置なども進めて欲しい」などの厳しい意見も出されました。
午後は郡山市議会に行き、駒崎ゆき子市議から郡山で取り組まれている「疎開裁判」の経緯を聴き取り。
「疎開裁判」はまだ結果が出ていないので、ここではコメントを省略しておきたいと思いますが、一緒にお会いした駒崎さんの支援者の女性(美容院経営)からは、市民の中には、なかなか表には出せない声や不安がたくさんあるということを、美容院に来られるお客様との話の中で実感している、という話を伺いました。
そのあと、「緑の党」所属の蛇石郁子市議・滝田はるな市議と面談
↑向かって左端が蛇石市議、右端が滝田市議、真中が今回同行した青年H君。今後新潟の保養活動の中で積極的に動いていく決意を持つ青年です。 両市議とは、保養プロジェクトに関するH君の構想も含め、福島県側と新潟側での課題や実現可能性について議論し、具体的な模索検討を始めることとしました。
2日間で見聞した情報をもとに、今後の活動に活かしたいと思います。
関係者の皆さまにこの場をお借りして御礼申し上げます。

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