新潟県が先日、子ども医療費助成の補助を拡大する方針(政令市である新潟市は対象外)を公表しました。
市町村が補助対象を一定条件で拡大する場合、その補助を行なう、というものです。しかし、期間は2年間という中途半端なもので、県の補助に期待して事業を始めてもやがて自主財源でやらざるをえなくなります。
新潟市を対象外としている点も、一見財政力の強い政令市を対象外とすることには合理性があるようにも見えますが、県民人口の1/3を占める新潟市民も県民税を払っているのに、県のサービスを受けられないのも問題と言えます(財政力ある都市がそれに応じた負担をするのは当然としても、受益ゼロと言うのは合理性にかけます)。
実際、先行政令市の多くが県の補助を受けています。
また、そもそもの国の責任があいまいにされたまま自治体がその穴埋めをしている状況も問題です。
そこで、新潟市議会の無所属4名で申し入れを行ないました。政治スタンス・主義主張の異なる4名が共同で申し入れを行なうのは初めてのことです。
===以下申し入れ文
2014年2月18日
新潟市長 篠田昭殿
子ども医療費助成の拡大について緊急の要望と要請
新潟市議会議員
串田修平
栗原 学
中山 均
深谷成信
去る2月6日、新潟県は「各市町村が2人以下の世帯に対する医療費助成を高校卒業までに拡充する場合に補助する」方針を明らかにしました。政令市である新潟市は対象外です。
新潟市はこれまでも子ども支援策を積極的に展開してきましたが、医療費助成に限って見れば、本市は現在でも県内のいくつかの市町村よりは対象が狭く、県の今回の拡大に各市町村が対応した場合、県の補助対象外となっている本市は周辺市町村から取り残される形になります。
一方、新潟市と新潟県、あるいは県内および全国の市町村が互いに医療費助成の補助施策を競い合うかのように見える状況は、子どもを抱える世帯にとっては好ましいことであるとはいえ、国の責任が問われないまま都道府県や市町村がその穴埋めを余儀なくされている状態であると見ることもできます。
また、乳児医療費助成や幼児医療費助成などいわゆる県単医療費助成制度6事業については、本市の政令市移行時の県との協定で、それまで新潟市も受けていた県からの二分の一補助が段階的に引き下げられ、現在は補助の対象外となっています。しかし、多くの先行政令市では道府県の医療費補助の対象となっており、新潟市よりも遅れて政令市となった都市においても、同じ府県において既存の先行政令市がある場合には従前通り補助対象となっています。
政令市の実現に向けて、当時の県との協議において譲歩する部分も必要だった状況は理解できるものの、新潟県の人口の三分の一程度の新潟市民が、それに相応する県民税を納めていながら県のサービスの対象外となっていることは、公正性や平等性の観点からも問題があり、「受益と負担」のバランスも欠くものと言えます。
「新潟州構想」を掲げて本市と新潟県はこれまでもさまざまな協議や議論を重ねてきたものと認識しますが、必要な議論はいわゆる「二重行政」問題だけではなく、県内の「不均衡・不平等行政」についても十分な協議がなされるべきと考えます。また、今回のように、結果として新潟市とそれ以外の市町村のサービスの大きな不均衡が生じる可能性のある施策を県が採る場合、最低限、新潟市とも十分な協議や意見交換がなされるべきと考えます。
そこで私たちは、下記を実現されるよう、申し入れます。
記
1.県の方針を踏まえた上で、医療費助成の拡充へ向けて、ただちに前向きに検討すること。
2.国が子ども医療費助成に責任を持つよう、他の自治体や県とも連携し、本市としても働きかけること。
3.新潟県に対し、以下を申し入れること。
(ア)いわゆる県単医療費助成に関する協定内容の見直しに向けた協議を始めること。
(イ)政令市を除く施策を県が実施する場合、本市とも協議や意見交換を図ること。
以上

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