今回、僕が湯川渓谷を遡上したのは、
湯川の野性的な流れの変化と、木々の変化、そして紅葉の変化をじっくり眺めながら、ゆっくりと歩くことが目的でした。
以前に、5月のアヅマシャクナゲの花が咲く季節に、何度か途中までは遡上しましたが、
紅葉の時期に渓谷を歩くことは、木々の種類によって色づきの具合が異なる紅葉を眺めながら渓谷を覆う森の姿を実感できるので、とても楽しいです。
八幡滝から「くろがね小屋」にかけては、まさに渓谷ウオッチャーにとっては格別に素敵なコースでした。
ミズナラ・ブナ・様々なカエデ・ダケカンバ・さまざまなシデ・マルバマンサク・コシアブラなどが織りなす紅葉の渓を歩くことの幸せを、心から満喫しました。
ルートは、鎖場のへつりあり、鎖場の急登あり、ロープをつかんでの川渡りありで、
路そのものも岩がゴツゴツしていたりで、変化に富んでいて面白いです。
渓を歩く過程を、ほんとうに楽しめました。
僕なりに気に入った渓谷の姿を撮影した写真は、
そんなに面白いものではないと思いますが、
僕の湯川渓谷のメモリアルとして、ご笑覧いただければ幸いです。
屏風岩から渓谷遡上ルートに戻って写しました。
こういう風景が好きなんです。
黄色や赤が織りなす深い渓の底に、湯川の流れをかいま見ます。
鎖場のへつり。
数年前は怖いと思ったけど、今回は何とも思いませんでした。
でも、油断大敵。
良く見ると、新しい鎖に付け替えられていました。
久しぶりですね。
でも、紅葉の八幡滝を見るのは初めてです。
八幡滝周辺は、カエデの紅葉が目立ちます。
八幡滝から霧降の滝まで遡行し、僧悟台に至るルートは、廃道になっているとのことですが、最近登った人から聞いたら、ちゃんと歩けるそうです。ただし、単独行は危ないかもね。
八幡滝から上は、何箇所か、川を渡る場面がありますが、そういう所から渓を眺めると、格別ですね。
流れの際に、ミズナラの古木やコシアブラを見ることができました。
安山岩の岩肌が艶やかで、なやましい感じ。

チドリノキの黄葉が、とても輝いていました。
ここの鎖場は、足下が滑りやすい。
油断すると、真下の川にドホン!!!
でも、スリルを楽しめました。
鎖場を通り終えて、対岸の斜面を眺めると、
黄色や黄緑の樹冠が折り重なるような景色。
素晴らしい!!!
湯川の流れの幅も、細くなってきました。
小さな滝を見つけました。
振り返ると、不思議な形の岩峰。
「天狗岩」と言うそうです。
小さな滝の近くは、黄葉の疎林。
アカシデや、ケヤキ、
そろそろダケカンバも混ざっているようです。
とっても明るい遡行路の雰囲気は、楽しいですね。
川を渡る場所。
きわめて原始的な渡渉ルート。
滑らないように、、
気をつけて、、、
対岸に渡り終えて、
谷間を眺めました。
渓流の流れるさまを見つめていると、
以前、渓流釣りをしていて、イワナやヤマメを求めて、
流れに毛針を振り込んでいた頃のことを思い出します。
その頃も、ウエダーを履いて、こんな渓流を遡行していました。
そうか!!!
僕も以前は谷川に足を踏み入れて、遡行していたんだー!!!
あの頃は、手にカメラではなく、フライロッドを握っていた。
もしかすると、あの頃の感覚を思い出せば、三階滝から八幡滝まで、流れを遡行できるかもしれないね、、、
来年、チャレンジしてみよう。
急な登りの鎖場です。
写真ではゆるやかに見えますが、実際登ってみると、急傾斜。
でも、鎖につかまり、足場を確保して登れば、何ということはありません。
綺麗だなあー!!!
小さいけど、深くて澄み切った流れの落ち込みです。
流れと荒い岩肌と木々の黄葉が素敵な渓の風景。
ここは、たしか「荒竜岩」です。
このような渓の遡行路をしばらく歩きます。
森とお友達になれるように、ゆっくり歩きました。
木々に語りかけるのも楽しい。
ここでも、
落ち葉が、森のお話をしてくれました。
ミズナラ、ブナ、ウリハダカエデ、コミネカエデ、アカシデ、などなどの仲間たちのお話でした。
黄色い色は、葉緑素(クロロフィル)が先に分解されて、カロチノイドが残ったため。
日当たりが良くないと、うまくアントシアンが生成できないので、黄葉のまま落葉します。
「天狗の庭」という湿地に出ました。
「くろがね小屋」も、もうすぐです。
楽しい往路でした。
続きますね。