11月になり、山々が色づき始めると、僕は、浜通りの照葉樹観察を始める。
夏緑樹が青々と繁っている季節では、夏緑樹と照葉樹の区別がつきにくいが、紅葉が始まると、より区別し易くなり、ベストシーズンに入るというわけ。
大分前に、僕のブログで、スダジイラインの話をしたが、今日は、故郷楢葉町に残るスダジイの巨木をご紹介しよう。
このスダジイは、楢葉町の北田字寺脇というところの民家の敷地内にそびえ立っている。この巨木の存在については、楢葉町歴史資料館のU学芸員に教えていただいた。
場所は、木戸川左岸にほど近く、すぐそばを常磐線が通っている。
スダジイ巨木の勇姿。右側のお宅が持ち主。屋敷門がある、古い農家で、北〜西側にかけて屋敷林(いぐね)が巡るが、杉の他にタブノキやシロダモ、ヤブツバキ、アカガシなどが混植されている。左側の納屋と比較しても、その大きさがわかって頂けよう。
丸い樹冠と、独特の枝ぶり。近くに寄ると、全貌を一枚の写真におさめるのは不可能な程、樹冠は幅広い。
スダジイの根元。かなりの太さだ。今度幹周りの長さを測っておこう。推定樹齢300年以上はたっていると思う。あるいは500年近くかと推定。いわき市沼の内賢沼のスダジイが推定樹齢500年ということで、太さは、こちらの方が太いので、推定樹齢500年でもいいかもしれない。
幹の上部を見上げたところ。独特の樹肌。何となくセクシーでなやましい枝ぶり。この巨木に恋心をいだきそうである。実際恋心をいだいて、毎週通った。
スダジイの葉裏は、写真のように黄金色に光って見える。これが魅力的。
楢葉町は、群落としてのスダジイ自生地は2箇所、井出地区と波倉地区に見られるが、1本の樹としてこれほどの大きさのものは、ここだけ。
何とか天然記念物にしたいと思っている。
一度、皆さんにご覧になっていただきたい巨木である。