高山の原生林を守る会第105回自然観察会「達沢不動滝と原生林コース観察会」の報告も、いよいよフィナーレとなりました。
今日は、戊辰の道から母成峠に至る山道観察の様子をお伝えいたします。
戊辰の道は、慶応4年(1868年)の母成峠の戦いで、東軍(会津藩・二本松藩軍)を破った西軍(薩摩・長州・土佐)が猪苗代方面に攻勢をかける際に、母成峠から達沢に向けて下ってきた山道なのです。
「猪苗代町の名所旧跡」の看板には「西軍(新政府軍)」となっておりますが、慶応4年のこの段階では明治政府は成立しておらず、正確には(薩摩・長州・土佐軍)としなければなりません。
僕も観察会資料に(新政府軍)と書いて、後に間違いに気づきました。ここで改めて訂正しておきたいと思います。
また、西軍を官軍と呼ぶことも間違っています。錦の御旗は、薩摩藩が勝手に作り上げたものです。天皇から下賜されたものではないのです。すなわち西軍は、徳川幕府を打倒して自分たちの勢力が天下を取ろうとした単なるクーデター軍なのです。
そういったことを、ここで参加者の皆さんにご説明いたしました。
いよいよ、戊辰の道を登り始めました。道は渓谷の斜面をつづら折りに登る細い山道で、斜面には、ミズナラやカエデが繁っております。
やっとブナに出会えました。
ここで、標高は900mに近くなっています。
渓谷の斜面で湿度が高く、ブナの棲息に適しているのでしょうか?
幹事のSMさんが、詳しくブナの説明をして下さいました。
渓谷の斜面を登りきると、上はフラットな面になっており、人工林が広がっております。
杉林の中で、ミヤマウズラの白い花に出会えました。
このミヤマウズラは、8月14日の下見の時に見つけており、その時はまだ蕾でした。
今日は、可愛らしい花を咲かせていました。
SMさんは、ミヤマウズラの花を真面目に写真撮影するのが初めてとのことで、三脚を低く設置し、真剣に撮影を始めました。
SMさんが這いつくばってミヤマウズラの写真を近接撮影しているところに、カメラを持参した方々も集まってきました。
蚊も集まってきたような感じ。
猪苗代町から参加された「磐梯山の力」のOTさんご夫妻は、夕方から仕事があるとのことで、ここで戻られました。ご参加ありがとうございます。またの機械にお会いいたしましょう。楽しみにしております。
森を抜けて母成峠近くで景色が開けてきました。
うわあ!!! いきなり青空です。
暑くなったー。
遠くに安達太良の船明神を眺めます。
皆さん開けた場所に出て、ほっとしたように安達太良連峰を眺めておりますね。
幹事のOKさんと、神奈川県から参加された3人の方は、帰りの新幹線の時刻に間に合うように、ここで戻られました。ご参加ありがとうございました。機会がございましたらまた観察会に参加されてください。ご苦労様でした。
開拓された畑と集落の端の道を歩いていると、トリカブトに出会えました。このトリカブトは、8月14日の下見の時には咲き始めで、今日は随所に咲いていました。
幹事のSMさんにお聞きしたら、葉に比較的深い切れ込みがあり、ヤマトリカブトの可能性が高いとのことでした。
8月下旬で、もうトリカブトが咲き始めたのですねー。今年は開花が早いのでしょうか。それとも、標高が高いせいでしょうか。
母成峠の戦いで戦死した東軍犠牲者の慰霊碑です。会津松平家の子孫である松平勇雄福島県知事の名で建立されていました。
僕が「ここの戦いで薩長軍は東軍犠牲者の遺体を埋葬することを厳しく禁じた。このような戦死者を野ざらしにするようなひどい扱いをした薩長軍のことを、絶対に忘れてはならない」とお話ししたら、
「許すことはできても忘れない」とおっしゃったご婦人がおられました。僕たち観察会のメンバーとは別にこられた方ですが、名言と思いました。
薩長軍は、後に、白虎隊の自決メンバーのご遺体をも埋葬を禁じて野ざらしにしていたのです。軍人にあらざるべき非道な行為ですね。現在で言えば、戦争犯罪行為ですよ。このことも決して絶対に忘れてはなりません。
いよいよ折り返し地点の母成峠です。空は晴れ渡り、暑いけれど空気は澄み切って、峠からは、遠く吾妻連峰を眺めることができました。
峠を引き返して母成グリーンラインを歩いていると。路傍にエゾシロネの群落を見つけ、皆さんで観察いたしました。
エゾシロネの花です。白く小さい花が輪になって咲いている。素朴で美しい花ですよね。
母成グリーンラインを外れて、戊辰の道に戻ったところで、ツルニンジンに出会えました。花数の多い良い株です。
SMさんのお話しでは「ツルニンジンはスズメバチによる虫媒花」とのこと。花に見とれていてスズメバチに襲われないように注意する必要がありますね。
この時点で予定時間をオーバーして午後3時30分過ぎ。
この後まっすぐ達沢の駐車場に向かいました。
達沢の駐車場で、クリさんと分かれました。クリさんはこれから裏磐梯に向かい、エゾミソハギをご覧になられるとのこと。ご苦労様でしたー!!!
達沢駐車場を午後4時30分に出発して、終点の四季の里入り口駐車場に午後5時30分に到着し、簡単に反省会を行い、解散いたしました。
皆さん、本当にご苦労さまでしたー!!!