今日は、いよいよ木戸川ダムのダムサイト、そして乙次郎へ通じる林道へと登ります。
ダムサイトの手前にも、このような素晴らしいモミ−イヌブナ林が残されていました。
ダムサイトから眺めた湖。
湛水線は、木が伐採してあるのではっきり分かります。
水量が減っているとはいえ、急峻なV字谷に湛水しているので、相当深く水没しています。
ダム湖の西端は、楢葉町と川内村の境あたりまで行っています。
ダムの諸元は、重力式コンクリートダムで,堤高93.5m,堤頂長350.0m,堤体積501 千m3,総貯水容量18 470 千m3,有効貯水容量12 770 千m3です。
県発注の木戸川ダム建設を巡る汚職事件で、佐藤前福島県知事が刑事裁判を受けております。
ある意味、木戸川流域の自然を壊したことと県政汚職という二つの汚点を残してしまったのですね。
隣町の富岡川渓谷にも滝川ダムが建設されています。ほとんど完成状態。
富岡川渓谷も、自然が素晴らしい渓谷でした。
しかし、その姿はダム湖の底、、、
もう、ダムはいりません。
ダムサイトから眺めた、下流の渓谷全景です。
スケールの大きなV字谷が刻まれている様子がわかりますね。
それに、渓谷流域の自然度の高さも。
山稜斜面は、広くコナラ(ミズナラ?)が優占しております。
流れに沿ってはイヌブナが繁茂しています。
モミが点在し、典型的な中間温帯林。
この豊かな中間温帯林にはぐくまれたフロラとファウナの生態系も、素晴らしく豊かで、活気にあふれたものであろうと思われます。
こわごわと、ダム直下の流れを覗いてみました。
本当に深い谷。
恐怖感を感じます。
このような谷の深さゆえに、渓谷部の気温・湿度がある程度維持され、それがフロラ・ファウナを育てています。
ダム建設にともなって、山奥の乙次郎集落に通じる林道も整備され、舗装道路となりました。
道路建設で分断されたモミ林。
道路の上にはコナラ(ミズナラ?)優占林が残されていました。
ちょうど、森の断面を見るようです。
低木、亜高木、高木と、森林断面の標本ですね。
林道は、このように延びています。
写真で見るとこんな感じですが、実際現地を歩くと、素晴らしいです!!!
林道沿いに見る林相は、木戸川に流れ込む沢によって形づくられた複雑な地形とも相俟って、低木、亜高木、高木の種類がとても多いのです。
名もない沢筋の奥にも美しい森が。。。
ここのカエデの赤は、とっても鮮やかでした。
現地で見た感激は、写真以上です。
時間があれば、斜面を登ってカエデの種類を確かめたかった。
木戸川渓谷には、ヒナウチワカエデが自生しているのです。
福島県RDBでは、確か希少種です。
木戸川渓谷は、ダム建設に伴う道路整備によって、新緑や紅葉の季節の観光として、メジャーになりつつありますが、フロラ、ファウナのエコ・コンテンツの豊かさは素晴らしいものがあります。
僕は、どうしても植物相(フロラ)に目が行ってしまいますが、渓流に棲む淡水魚、両生類、渓谷に棲む爬虫類、鳥類、昆虫などの動物相(ファウナ)には、まだまだ調べるべきものがあるのではないでしょうか。
もしかすると、冬虫夏草などもありそうですね。
一度、福島生き物探検隊の皆様にもお出でいただいて、広野町の温泉「岩沢荘」あたりにご宿泊いただいて、集中観察会などを開催できればと思っています。
一日目は木戸川渓谷探検、
夜は「岩沢荘」で学際ミーティング(よーするに懇親会)、
二日目は井出川渓谷探検、
そして、浜通り(阿武隈山地東縁)渓谷自然を保全するための意識高揚に役立てることができればと考えています。
いかがでしょうか。提案させていただきます(笑)
考えただけで、楽しみになっちゃいましたー!!!
ご検討を!!!!!