今日は、とっても寒い一日。
福島ではしとしとと、氷雨が降っていました。
福島の県文化センターも植栽モミジなどが紅葉。
そして、
阿武隈山地東縁を刻んで流れる浜通り渓谷の紅葉も、11月中旬以降になりますと、終盤にさしかかります。
浜通りには、宇多川、真野川、上真野川、新田川、請戸川、高瀬川、熊川、富岡川、井出川、木戸川、浅見川、大久川、好間川、夏井川、鮫川などの河川が渓谷を刻んで流れており、それぞれに独特の渓谷美を楽しむことができます。
地質学的に申しますと、宇多川から大久川までの河川は、阿武隈山地東縁の畑川破砕帯から双葉断層(岩沼−久ノ浜構造線)にかけての間が、新生代新第三紀以降、下刻作用が強くはたらき、あのように深いV字谷が形成されたのです。
最も強く渓谷が刻まれたのは、双葉断層(逆断層)以西の隆起運動や、氷河時代に海水面が著しく低下したことにより河川の下刻作用が強くはたらいた時期と推定されます。
すなわち、造山運動(逆断層)や気候変動(氷河期)による河川のはたらきの結果なのですね。
こういう渓谷でも、地球規模の自然史(ジオ・ヒストリー)を観察できるところが面白いです!!!
ところで、上記河川渓谷の紅葉の見頃ですが、、、
鮫川渓谷などは11月20日過ぎが紅葉の見頃ですが、相双地区の渓谷は11月10日前後がピークと思われます。年によって、多少のずれはありますけどね。
上にご紹介いたしました河川の渓谷は、ダム建設が行われた場所以外は豊かな自然が残っており、これからは何としてでも守って行きたいエコ・エリアです。
今日は、そんな中から、過日行くことができました葛尾村から浪江町にかけて流れる高瀬川渓谷についてご紹介いたしましょう。
大堀相馬焼きの里で有名な浪江町の大堀地区から高瀬川沿いの道を走りますと、小丸地区から、垂直の崖が切り立った、花崗岩の回廊のような渓谷が続くようになります。
花崗岩の岩が剥き出しの崖となっており、崖上の紅葉が美しいのです。
流れの幅が狭く、いかに硬い岩盤を刻んで渓谷ができたかが分かります。
ゆえに、このような流れの淵は、ものすごく深いのです。
花崗岩の岩場は地味が大変痩せており、尾根にはアカマツが自生しており、崖面には低木の紅葉が目立ちます。
木戸川渓谷とはひと味ちがった風景です。
高瀬川沿いの道は、田村市都路町の古道と、双葉郡葛尾村の落合に通じます。
以下、高瀬川渓谷の紅葉を、お楽しみ下さい。
途中、広いトイレ付きのパーキングエリアがあり、そこがベストな展望台となっておりまして、そから眺めた渓谷の風景です。
さらに上流部に行くと、斜面が中間温帯林に覆われた谷となってきました。
崖際のカエデがとっても鮮やかでした。
ここまでが、高瀬川本流の渓谷です。
やがて、古道発電所入口に到着し、そこから、葛尾村落合に通じる道に折れました。
この道は、高瀬川の支流である葛尾川に沿って走ります。
葛尾村内に入りますと、流れも穏やかになりますが、カエデの紅葉のみが残った落葉樹の森の見事さと出会うことができました。
カエデ以外の葉は落ち、林床には落ち葉が積もっています。
巨岩が転がる流れの雰囲気が素敵です。
林床が明るい落ち葉のカーペットで、疎林的な木立の合間に見えるカエデの美しさは格別です。
高瀬川本流では、荒々しく深い渓谷を見てきたので、このような穏やかな上流部の流れを見ると、何故か心が和らぎますね。
木立の合間から眺めるモミジの輝き。
葛尾川の清流に映える赤いもみじ。
至福の時を過ごしました。
これで、今年僕が体験した浜通り渓谷の紅葉シリーズは擱筆いたします。
ただ、今後、取材ができたならば、ご報告いたしますね。