郭公山は、登山口からピークまで、急な登りがなく、杜を楽しみながらゆっくりと歩くのには最適なコースです。
ある程度急な山登りを期待されている方には物足りないかもしれませんが、杜の自然をゆっくりと楽しむ方にはうってつけです。
なにしろ、ゆったりした雰囲気で中間温帯林の多様な植生を楽しめるのですから。
杜を楽しむための観察ポイントは数限りなくあります!!!
ここの杜は、新緑の季節と、秋の紅葉シーズンから冬にかけてがベストです。
新緑の季節には、スプリングエフェメラルズの花々も楽しめますし、
紅葉シーズンから冬にかけては、図鑑を片手に落葉樹の葉・冬芽・樹肌などを観察したり、どのような樹木がどのような地形に優占しているかとか、林相を観察するにも最適です。それに、数多くの野鳥とも出会えます。
そういった意味で、郭公山登山道は、中間温帯林学習コースとして、これからも永久に保全してゆきたいなと願っています。
林床のあちこちに自生しているシキミです。
常緑の低木です。
4月頃に黄白色でスパイシーな香りの花を咲かせますが、有毒植物なのです。
シキミ−モミ群集のシキミで、浜通り全体としては普通に見ることができますが、開発などで自生個体数が減少しつつあり、これからは大事にしたい低木ですね。
コースも最後の痩せ尾根にさしかかります。
本当に馬の背状の尾根ですね。
落ち葉の絨毯に、モミが優占しておりますが、コナラ、イヌシデなども散見できます。
ヒナウチワカエデの落葉に出会いました。
ここのミヤマシキミは、すでに来年の花芽をつけていました。
総状花序となっていますね。
ピークに到着いたしました。
標高447.8mです。
ピークから東側には、広く展望が開けています。
毎年初日の出をここで迎えられる方もいるのです。
太平洋と木戸川河口方面を眺めました。
ばあちゃんが入所しているリリー園も手に取るようにわかります。
楢葉町役場とコミュニティセンター、そして竜田の町並みです。
東京電力第二原子力発電所が一望できます。
本当に原発の間近に我々は住んでいるのですね。
ピークで一息ついてから、下山いたしました。
再び、モミが林立する馬の背をゆっくりと歩きます。
クマシデです。
クマシデの樹肌には、みみず腫れのような模様が入ります。
黄葉したクマシデの落葉です。
いつまでも佇んでいたくなるような、紅葉とモミのハーモニー。
明るい林床が素敵です。
冬なんかは、登山用の魔法瓶に熱いコーヒーなど入れて持参し、こんなところでゆっくりといただきたいですね。
何か、ヨーロッパは南ドイツあたりの「黒い森」(シュヴァルツヴァルト)あたりにいるような感じ。
赤ずきんちゃんとか白雪姫とか、小人さんとか、オオカミさんあたりが現れそうなロケーションですよね。
僕には見えないけど、杜の中には、妖精さんもいっぱいいるのだろうなー???
杜の王者、モミの古木です。
おそらく、夜になると妖精さんが集まるシンボルツリーかもしれませんね。
山に入る時に出会った守り神のアカシデの古木。
「またいらっしゃい」
と見送りしていただいているような感じでした。
イヌブナの黄葉です。
まだまだ若い亜高木でしたが、葉を間近で見ることができて嬉しかったです。
下山終了。
やっと登山口まで戻りました。
郭公山北側の渓谷も、素敵な紅葉です。
黄色や茜色に彩られたカエデ。
銘水「郭公水」です。
楢葉町内外から、多くの方が水を汲みに来ます。
山歩きして乾いた喉を潤すには最高の天然水(ミネラルウォーター)ですね。
今回は、素晴らしい紅葉季の郭公山トレッキングでした。
観察ポイントも、お伝えできないほど数多くありました。
そして、守り神のアカシデ古木、老神が宿るイヌシデの古木、杜の王者モミの古木にも久しぶりにお会いできて嬉しかったです。
また来ますね!!!