関山植物観察トレッキングも、終盤にさしかかり、
いよいよ下りコースとなりました。
下りは、車道を降りてゆきます。
しかし、車道と言っても、かなり急で、勾配がきついカーブがあったりして、普通自動車では登れません。おそらく。
四輪駆動のパジェロミニかジムニーでやっと登れる道です。
おそらく、満願寺祭礼の日などには、四駆の軽トラあたりで荷物積んで頂上に登るのでしょうね。
信仰の山、関山をいただく、地元、白河市関辺地区には、県の重要無形民俗文化財「関辺のさんじもさ」という踊りが伝えられています。僕が「まほろん」在職中に、民俗文化の研修で、関辺のさんじもさ踊りの皆さんをお招きし、県文化財保護審議会委員で民俗芸能研究の第一人者であられる懸田弘訓先生を講師に、公開実演していただいたことがありました。
そのような、昔からの信仰を大事にする地元関辺地区では、関山満願寺を、今でも大切にお祭りされていると思います。
関山の尾根から、白河の関に向かう途中の旗宿方面を眺めました。
路傍に、クサノオウ Chelidonium majus L. var. asiaticum (Hara) Ohwi です。
黄色いお花が美しい、ごく普通に自生するケシ科の植物ですが、僕の大好きなお花のひとつです。
でも、草に21種類のアルカロイド(有毒)を含みます。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、
「植物体を傷つけると多種にわたる有毒アルカロイド成分を含む黄色い乳液を流し、これが皮膚に触れると炎症を起す。皮膚の弱い人は植物体そのものも触れるとかぶれる危険がある。」
「本種に含まれるアルカロイド成分の1つ、ケリドリン (Chelidonine) にはモルヒネに似た中枢神経抑制作用がある。もっともその効果はモルヒネよりはるかに弱い。ちなみにケリドリンの名の由来は本種の属名である。このほかプロトピン (protopine) やベルベリン (berberine) 、サンギナリン (sanguinarine) 、ケリジメリン、ケレリトリン、リンゴ酸などが含まれる。」
だそうです。
ケシ科のお花って、美しいお花が多いですけど、触らずに、眺めるだけにいたしましょうね。
下山路にも、シャガのお花が咲いていました。
上品なお花ですねー!!!
I先生が、一生懸命シダを調べておられます。
「何というシダですかー?」
と尋ねると、
「イワシロイノデじゃないかなー」
ということでした。
イワシロイノデ Polystichum ovatopaleaceum (Kodama) Kurata var. coraiense (Christ) Kurata は、オシダ科イノデ属のシダです。
イノデの仲間は、アスカイノデ、アイアスカイノデ、サカゲイノデなどなどを観察したことがありますが、イワシロイノデについて、現物をもってご示教いただいたのは初めてです。嬉しくなりました!!!
I先生、ありがとうございました。
イノデの仲間は、小羽片の形だけでなく、葉軸下部の鱗片の形や付き方なども観察する必要があるので、覚えるまで時間がかかります。
それに、ハイブリッドも存在するそうなので、観察回数をこなして、慣れが必要になりますね。
だけど、面白いです。
ベニバナツクバネウツギ Abelia spathulata var. sanguinea が、路傍の林縁にたくさん咲いていました。
先ほどの登山道では、風が強くて、なかなか落ち着いて写真撮れなかったのですが、今度はゆっくり撮ることができました。
ベニバナウツギにツクバネの形容詞が付いた由来は、花の基部の萼片の形が、羽子板遊びの「つき羽根」に似ているところに由来しています。
この仲間は、ツクバネウツギ、キバナウツギ、タキネウツギなどの種類があります。
関山にタキネウツギ(大滝根山を標識地としている)がないかなー、なんて探してみましたが、見つかりませんでした。
ベニバナツクバネウツギのお花は、目が覚めるような紅色でした。
初めてお目にかかるツツジ!!!
感動いたしましたよ。
アブラツツジ Enkianthus subsessilis subsp. subsessilis です。
ツツジ科のドウダンツツジ属だそうです。
そういえば、ベルフラワーが垂れ下がっていますね。
アブラツツジの名の由来は、
葉の下面に、油を塗ったようなつやがあるため、だそうです。
可愛いベルフラワーです。
アブラツツジは、楢葉町の木戸川渓谷にも自生しているそうですが、お花の頃に見たことがないので、今回初めてお花に出会えて、感動いたしました。
皆さんで、ヤマザクラの葉を観察しながら、議論しています。
トレッキング途中も、先生方は、問題や疑問のある植物を手にしては、議論しながら歩くので、予定より時間が過ぎてしまいました。
F大学のK先生が観察していた藤に、トンボの抜け殻が付いていました。
何トンボでしょうねー。
ようやく、関山駐車場に到着して、皆さん一息入れています。
お疲れ様でしたー!!!!!
旅館でいただいたお弁当を広げて、昼食タイム。
かなりボリュームのある、美味しいお弁当でした。
山登りの後は、お腹すくので、あっという間に食べてしまいました。
一応、植物研究会の関山観察会は、ここで解散。
I会長先生が、
「秋にいわき市の勿来で開催する研究会で、また、お会いいたしましょう」
と、ご挨拶されました。
ここで、今回の観察会で先生方に教えていただいたり、僕でも確認できた植物の種類についてまとめておきます。順不同です
木本類
モミ、アカマツ、スギ、ハナイカダ、オトコヨウゾメ、コアジサイ、アワブキ、ヤマツツジ、ヌルデ、ミツバウツギ、カマツカ、ミヤマガマズミ、シラキ、アブラツツジ、ツノハシバミ、クリ、オオモミジ、ツクバネ、ベニバナツクバネウツギ、クサアジサイ、アオキ、コシアブラ、アオハダ、オオウラジロノキ、カスミザクラ、ブナ、アカシデ、コナラ、リョウブ、メグスリノキ、カツラ、ケヤキ、ヤシャブシ、ウワミズザクラ、ホオノキ、クロモジ、ウリカエデ、ウリハダカエデ、フジ、ウリノキ
草本類
ラショウモンカズラ、タチシオデ、トウゴクサイシン、コメガヤ、トリガタハンショウヅル、トンボソウ、カシワバハグマ、トウゴクサバノオ、ウワバミソウ、エンレイソウ、ウバユリ、ホウチャクソウ、トチバニンジン、タチガシワ、トリアシショウマ、ユキザサ、チゴユリ、ホガエリガヤ、オオバショウマ、ヤマブキソウ、セリバヤマブキソウ、オヤリハグマ、キランソウ、オドリコソウ、ユキノシタ、ツボスミレ、シャガ、ヤマユリ、マキノスミレ、マムシグサ
シダ類
ゲジゲジシダ、ミゾシダ、ゼンマイ、オシダ、イワシロイノデ、ジュウモンジシダ、イヌシダ
以上の他にも、様々な植物がございましたが、メモには至りませんでした。
素人質問を繰り返す僕に、懇切に教えて下さった先生方、
本当にありがとうございました。
この後、全員で移動して、表郷金山にある、ビャッコイ自生地観察に向かいました。