先週、前福島県考古学会会長のS先生が僕の職場を訪ねて来られて、僕が対応したのですが、その折り、仏像の話になりました(というかー、僕が仏像の話にしてしまったのだけど)。
福島県の仏像については、福島県立博物館におられた若林繁先生がかなり調査なされています。県内の古代・中世の仏像については、先生がほとんど目を通され、調査なされておられるとのこと(歴春ふくしま文庫75 若林繁2002年『ふくしまの仏像−平安時代−』歴史春秋社)。
ところが、江戸時代の磨崖仏や線刻仏などについては、まだ未調査の箇所が多いとのことでした。
信夫山に残る江戸時代の仏像や岩谷観音磨崖仏などもきちんと調査・報告されていないし、本宮市白沢の岩角山岩角寺の線刻仏群に至っては未調査のまま。
黒岩満願寺については、昭和54年10月20日から12月5日までの期間、福島県歴史資料館において『黒岩満願寺展』(主催:福島県文化センター・福島県教育委員会 協賛黒岩山満願寺)が開催され、寺に伝わる古文書や文化財などが一堂に展示され図録も作られました(現在品切れ)。
過去においては、福島県の平安時代の仏像や中世の仏像についてはきちんと調査され、文化財として指定されていますが、江戸時代の仏像や磨崖仏、線刻仏についてはきちんとした調査記録がなされていない件数が多いとのことです。
きちんとした調査をするなら、信夫山岩谷観音磨崖仏群だって1年以上かかるし、岩角山岩角寺は2年〜3年では終わらないかもしれません。
ひとつひとつの磨崖仏や線刻仏を、できれば、6×7判か6×9判のカメラで記録したい。これだって大変だ。
でも、今やらないと、どんどん風化してしまう。記録して劣化防止処置をしておきたい。
各自治体は、国庫補助や県費補助を得て計画的に進めてほしい。
一昨日の金曜日、黒岩虚空蔵尊満願寺の尊者さまを拝観しながら、そんなことも考えてしまいました。
磨崖仏さまや線刻仏さま、尊者さまのお姿を拝観していると、なんとかみ仏のお気持ちを将来に伝えて行かなければ、そんな気持ちになるのです。