一切経山から眼下に紺碧の魔女の瞳を眺め、下山してから鎌沼湖畔に向かいました。
酸ケ平から鎌沼湖畔、そして姥ケ原を歩くと、僕は、一切経山とは違ったイメージをいつも抱くのです。
というか、鎌沼湖畔から姥ケ原にかけての風景に、今から二万年以上も前の後期旧石器時代すなわち氷河時代の原風景を連想してしまい、そのことが僕が登山に夢中になるきっかけとなったのです。それは平成12年7月のことでした。思い出せば12年前のことでした。
今から二万年前は、考古学的には後期旧石器時代、自然史的には氷河時代の最終氷期最寒冷期で、その頃の気温は現在よりも7℃〜8℃も低く、今の福島市街地周辺が浄土平や鎌沼湖畔から姥ケ原にかけての気候と考えていただければいいのです。
なので、二万年前は、福島盆地周辺の丘陵に、現在の鎌沼湖畔から姥ケ原にかけて見られる植生が広がっていたものと考えられます。とっても寒いけど乾燥気候なので丘陵にはミヤコザサが広く繁茂し、エゾマツ・トウヒ・グイマツ・チョウセンゴヨウなどの亜寒帯針葉樹の疎林が分布していたのではないかと思います。
現在の鎌沼湖畔から姥ケ原にかけてはチシマザサが広く繁茂し、オオシラビソ・コメツガ・キタゴヨウマツの疎林が分布していますが、チシマザサは多雪地帯に適応する種類で、それが二万年前とは違うところです。
今から二万年前の風景が直接推定できるのが仙台市の富沢遺跡。仙台市地底の森ミュージアムに行けば、その頃の風景が復元されていますが、それは現在の鎌沼湖畔から姥ケ原にかけての風景に良く似ています。
話が長くなってしまいましたが、とにかく鎌沼湖畔から姥ケ原にかけてを歩くと、氷河時代の原風景に思いを寄せることができて、とっても楽しくなってしまいます〜。そんなロマンが感じられるのです♪
酸ケ平の草紅葉
クロマメノキの紅葉も美しいです。
振り返って、今登って来た一切経山を眺めました。
前大巓にはナナカマドやカエデの紅葉が点在していました。
青空に映えています。
チシマザサ原にオオシラビソそして美しいナナカマドの紅葉。
前大巓山麓から鎌沼北岸にかけては、広くチシマザサ原で、素晴らしい青空の下、木道を歩く気分が最高です。
鎌沼西岸のオオシラビソ疎林。この風景に氷河時代を感じてしまいます♪