今週は、火曜日が休みだったので、福島県文化センターの福島県歴史資料館に行ってきました。
僕の古巣ですが、現在ここで、
「歴史に学ぶ!ふくしまの記憶−人と木のかかわり−」展が開催されています。
素晴らしい展示でした。
文化財科学と考古学と歴史学をコラボした、「縄文時代から近世にかけて、人は樹木とどのように関わってきたのか」というテーマを、見事に展示していました。
森林という自然に生かされてきた人々の歴史が表現されていました。
文化財科学では、自然科学的な視点からのアプローチが画期的でした。
テーマを担当されたМちゃん、ほんとうにご苦労様でした♪
で、
僕は、今回は、歴史資料館とともに、ぜひ観察して記録に取りたいものがあったのです。
それが、
福島県文化センターの裏側で、福島市営の所窪団地のそばにあるモミの巨木なのです。
上の写真のように、素晴らしい巨木です。
所窪団地に至る道の半分近くを占拠する、太い樹幹です。
見事な太さの根元ですね〜
元気な枝振りです。
ここは、信夫山のふもとですが、
信夫山では、モミは目にすることができません。
モミは、、、
僕は、双葉郡楢葉町で育ったので分かりますが、
モミは、福島県では、浜通りに多く見られます。
浜通りには、海岸沿いの丘陵にシキミ−モミ群集、
そして、木戸川や新田川、宇多川のような、阿武隈山地の東側を刻んで流れる河川の渓谷に、モミ−イヌブナ群集、そういったモミの群集を見ることができるのです。
シキミ−モミ群集そしてモミ−イヌブナ群集は、中間温帯林と言われます。
仙台市の青葉山は、中間温帯林としてのモミ林の北限と言われています。
中間温帯林とは、スダジイやタブなどが卓越する照葉樹林帯とクリやコナラ・クヌギなどが卓越する落葉広葉樹林帯の間にある樹林帯なのです。
では、なぜ、ここ信夫山のふもとに、このようなモミの巨木が残っているのでしょうか???
信夫山周辺は、現在、コナラ・クヌギなどが卓越する落葉広葉樹林です。
現在、中間温帯林を指標する樹木の卓越は認められません。
不思議です。
ただ、ひとつ気にかかるのは、
信夫山には、照葉樹であるシラカシの局地的林分が認められます。
なぜ、信夫山にシラカシの林分が残っているのか???
もしかすると、これが、モミ巨木の存在のヒントになるかもしれません。
もしかすると、昔の信夫山は、シラカシなどの照葉樹とコナラ・クヌギなどの落葉樹との混交林だったのかもしれない。
かつての信夫山は、阿武隈川をさかのぼる中間温帯林の限界域だった時期があったのかもしれない。
だとすれば、その当時の遺存樹木としてのモミが残っていても不思議でない、、
あくまで想像ですが、可能性のひとつとして頭の片隅に残しておきたいです。
素晴らしいモミの巨木、
樹齢は、200年以上でしょうか、、
中心市街地の近くにありながら、今まで、伐採されることもなく保存されてきたモミ、
信夫山の、そして福島市の植生史、自然史を謎解く、貴重な樹木です。
昔の福島市の森林の姿を残しているのかもしれない、、
そんな素晴らしい巨木、
このモミの巨木を、ぜひ、福島市の指定巨樹として、これからも保存してほしいと願います。
何とか、保存してほしいですね。