十和田湖方面に行くついでに、念願の大湯環状列石を拝観することができました。
秋田県鹿角市の十和田大湯にある、縄文時代後期の環状列石で、20年以上ぶりの訪問でした。
国の特別史跡に指定されています。
僕が初めて大湯環状列石を見学したのは、昭和46年7月、高校の史学部の研修旅行で訪れた時です。あの頃は、まだ史跡整備が完全ではなく、環状列石や日時計状組石に直接触れるくらいに立ち入ることができました。
あの時は、いわき市の平駅から夜行列車に乗り、岩手県の好摩駅から花輪線に乗り換え、花輪駅からバスに乗って大湯環状列石に辿り着きました。今考えるとすごい列車の長旅でしたが、高校生だったので疲れは感じませんでした。
大湯環状列石から十和田湖に向かい、そこで一泊してから岩手県の平泉に向かい、平泉で一泊して中尊寺や毛越寺を見学して帰宅したことを覚えています。
研修旅行の翌週に、雫石上空で全日空機と自衛隊機の衝突・墜落事故があったことも記憶しています。
さて、
現在の環状列石は立ち入り制限のロープが張られ、そこからの拝観となっています。
300oズームレンズを持参して来て良かったです。
大湯環状列石は、万座と野中堂の二つの環状列石があります。
環状列石とは、文字通り大きな円形に石や配石を並べた遺構で、ストーンサークルとも言われています。
しばらくは、万座環状列石の写真をご覧いただきます。
石が円形の帯状に並べられている雰囲気が感じられると思います。
茅葺の建物は、発掘調査によって環状列石の外周から確認された建物跡を復元したものです。
お立ち台のような展望台の上から環状列石を俯瞰できました。
よく見ると、環状列石は、外帯と内帯の二重の円で構成され、さらに外帯の外周に建物が並んでいます。
スケールの大きな環状列石ですね〜
造られた時代は縄文時代後期の前半です。今から4000年前〜3500年前のあたりと思ってください。
縄文土器編年では、大湯式期(関東地方の堀之内2式期)頃です。
何のためにこのようなストーンサークルを造ったのでしょうか?
縄文時代では、古くから集落の竪穴住居や建物を円形に配列することが行われていました。
円は、構造物配列の基本だったのでしょうか。
そして、石を組むということ、すなわち配石や列石は、当時のお墓や祭祀と関わって来ます。
ここ大湯の台地は、一般的な集落とは異なる、墓地とかお祀りの場所だった可能性が高いです。
なぜこの場所に?、、
当時の人々は、ここをパワースポットと感じたのでしょうか?
環状をなす石の列も、実は、いくつもの配石によって構成されていることが確認されました。
万座環状列石では109基の配石遺構が確認されています。
さらに、日時計のような組石も確認されています。
中心に立石を置き、周囲に放射状の組石そして円形組の縁石をまわす、日時計を連想させる組石です。
何かのシンボル的な遺構だと思います。
日時計のような組石は、野中堂環状列石でも確認されています。
中央に立石はありませんが、このような円形組石も気になりますね。
何なのでしょうね〜?
とにかく謎は尽きませんが、ここにいるだけで、環状列石を見ているだけで幸せな気持ちになれました。
暑いのも我慢出来ます。
やはりパワースポットなのでしょうか。
万座環状列石の近くでは、このようなシンプルな方形または円形の、小型環状列石も確認されています。
万座から野中堂に移動する途中、遺跡の北東方向に黒又山を眺めることができました。
綺麗な三角形に見える山です。
大湯環状列石との関連の可能性を指摘する研究者もおられるとのことです。
福島市の立子山みたいな感じです。
ここが野中堂環状列石です。
やはり二重の円で構成された環状列石です。
内帯の環状列石、、
拝観していて、銀河系を想像してしまいました。
内帯と外帯との間にあります日時計状組石です。
野中堂環状列石の中心から日時計を通り、万座環状列石の中心を結ぶ線の延長上が、夏至の日没方向だそうです。
二重円の環状列石を見て銀河系をイメージしたのも、まんざら偶然ではないのかもしれませんね。
縄文人の知識の豊かさに驚きました。
高校の研修旅行の時は、日時計状組石に近づいて撮影できましたが、今回は近づけなかったので、ズームアップで撮影しました。
大湯環状列石を含む東北地方北半から北海道にかけての縄文時代遺跡群については、現在、ユネスコの世界遺産登録を目指しています。
なんとか登録されることを祈ります。
遺跡の近くにあります「大湯ストーンサークル館」に立ち寄りました。
受付の料金皿には、大湯式の入組帯状文が刻まれていました。
大湯式土器の数々、
魅力的な入組帯状文を眺めることができました。
数多くの出土資料が展示されていました。
涼しい館内で、一息つくことができました。
一日いても飽きない資料館です♪
大湯温泉街の道路に、このような案内板が、、
縄文文化の郷なのですね。
縄文人も温泉に入れたのでしょうか?
道の駅の前にも、世界遺産を目指す旗が並んでいました。
地元の意気込みを感じます。
道の駅おおゆ
店内には、縄文文化関連グッズが販売されています。
縄文クッキーも並んでいました。
何か、「まほろんショップ」を思い出しました。
鹿角市のスクールバス、
バスの後ろにも大湯環状列石のコマーシャルが描かれていました。
さすがですね♪
久しぶりの大湯環状列石、
今回はゆっくりと、心おきなく見学することができました。