俺は、400戦無敗のサムライだったはず。しかし。世界は、移り変わり続けるのだ。
400戦無敗に、信じられない事が起こったのは夏の日だった。
何の話かって。つけ麺の話です。とあるつけ麺屋では1.2kgの麺を頼めるのです。大食い界の400戦無敗、青い目のサムライと呼ばれる(嘘)私は、迷わず1.2kgを頼む。
400戦無敗の私にとっては、おやつのようなもの。そう思っていた。
だけど。途中で苦しくなったんです。お腹一杯。まだ麺がたっぷり残っている。食べなきゃ。何故なら私は400戦無敗。残すなんて事はあってはならない。でも苦しい。
ああ、食べる事は喜びであり、楽しみであり、生きる事と同じはず。しかし、しかし。己の胃腸の限界を越えてなお食べようとする時、それは苦行の様を呈するのである。
「なんで俺こんな事してんだろ・・?」減らない麺を前に思う。そして遂にあの400戦無敗の男に、タオルが投入されたのだった・・・。ドキュメンタリー番組でいうと、スロー再生になって、投げ込まれたタオルがゆっくりとマットに落ちる場面だ。
カン、カン、カン。試合終了のゴングが鳴る。巨木が朽ち果てるように、男はマットに沈む。400戦無敗はもう無敗ではない。大盛り頼んで残す「なら最初から普通盛りにしろよ!」 というありがちな客になってしまったのである。
ううう。大食いを自負していのに、屈辱的な出来事だった。味は美味しかったんですが・・。
これからは大食いじゃなくてラーメン評論家になります。

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