2019/3/18

郵便貯金の役割とその終焉・・・財政投融資から国債購入、そしてウォール街のサイフ  時事/金融危機
 

■ 途上国日本に必要だった郵便貯金 ■

ゆうちょ銀行の前身は「郵便貯金」です。日本の郵便貯金は1875年にスタートしますが、これはイギリスのシステムを模倣してものです。

国際郵便条約でユニバーサル・サービスが義務付けられている「郵便事業」ですが、それ故に全国津々浦々に郵便局が設置されています。銀行などの金融機関の無い地域でも、郵便局は必ず有ります。

郵便局で預金(貯金)を集めれば、辺境の地で死蔵されてしまう資金を集めて有効に活用できると、誰かが考え付いたのです。

日本が未だ途上国だった時代、国債購入や財政投融資という形で日本のインフラ整備に郵便貯金の果たした役割は大きかった。

■ 所得の再分配としての郵便貯金 ■

郵便貯金による国債の購入や財政投融資には「所得の再分配」の機能が有りました。「所得再分配」は国が国民から税金を徴収して、それをインフラ整備や社会保障として支出する過程で、貧しい人や、貧しい地方に税金が分配されるシステムです。

郵便貯金はこれを補完するシステムでも有ります。地方は所得が低いので税収は高く有りません。しかし、自給自足的な生活を営む地域では、支出も少なくて住みます。結果、所得が低いながらも、お金が余ります。このお金を郵便貯金によって吸い上げて税収の足りない分を補えば、これも「所得の再分配」の一種となります。

同様に支出の少ない高齢者が郵便貯金を溜め込めば、この資金も「再分配」されます。

■ 分割されずに民営化された、ゆうちょ銀行 ■

最盛期には350兆円程積み上がった郵政マネーに目を付けたのがアメリカです。レーガン政権時代に「郵政民営化」を日本に要求したのです。

当時の郵便貯金は実質的に日本で一番大きな銀行でしたが、一方で民間の銀行の業務を圧迫しない用に、貯金の運用は国債購入か財政投融資に限られていました。当然、海外への投資など出来ません。

郵貯マネーにアメリカ国債を買わせたり、ウォール街に投資させる為には、郵便局を民営化させる事が必用でした。しかし、郵便局(郵便貯金)は実質的に日本最大の金融機関ですから、本来ならば分割して民営化する必要が有ります。国鉄も電電公社も分社化されて民営化されました。

しかし、郵便局は民営化してゆうちょ銀行となっても分割されていません。それどころか、親会社である日本郵政の株式を国が保有する事で、半公営の体裁を残してままで民営化されました。国民の多くは「ゆうちょ銀行は国が保証してくれる」と思っていますから、民営化後も資金流出は起こらなかった。

一方で、民営化後もゆうちょ銀行には一般の貸し出し業務は許されていません。建前は民間銀行の業務を圧迫しない事とされますが、結果的にゆうちょ銀行は、対米リスク投資の道を選ばされる事になります。

■ 日銀は米国債を買えないが、ゆうちょマネーならば買える ■

ゆうちょ銀行発足と当時、その運用の大半は日本国債でした。しかし、日銀の異次元緩和で日本国債の金利はゼロになってからは、その資金を「投資」で運用する事を余儀なくされます。

実は民主党政権時代に、前原氏が「日銀に米国債を直接買わせる事を検討する」という発言をした事が有ります。しかし、これは明らかに日銀法違反で、前原氏も発言を直ぐに撤回します。

当時はリーマンショック後の混乱期でしたから、アメリカ国債を安定して発行する事がアメリカの課題でした。そこで、代案として実行されたのが異次元緩和です。

白川総裁時代は、日本国債の主な購入者は銀行でした。国内の実質金利がゼロになる中で、少額でも利付けされた国債購入は、ゼロリスクで確実に金利が稼げたのです。さらに、日銀の当座預金にも利付けして、当座預金に民間銀行の資金をブタ積させました。この資金も国債購入に当てられていました。

これでは、日本の資金が銀行と日銀を介して日本国内で循環してしまうので、金融資本家達には面白くありません。そこで、日銀に異次元緩和を実施させ、日本国債の金利をゼロにする事で、国債市場から銀行やゆうちょ銀行や、年金資金を締め出す事にしたのでしょう。(妄想)

財政ファイナンスと受け取られない為に、日銀は市場から国債を購入しますが、金融機関は購入た新発国債を直ぐに日銀に売却してしまいますから、日銀の直接購入と何ら変わりません。

■ 金利がゼロに張り付いた時点で負け ■

自由な金融市場を持つ世界において、お金は国境を越えて金利の高い国に流れて行きます。

日本の短期金利はゼロに張り付いていますが、これは国内に資金需要が無い事と同義と言えます。しかし、実際に国内に資金需要が無いかと言えば、そんな事は有りません。金利を払ってもお金を借りたい人は沢山居ますし、企業も沢山有ります。

しかし、金融機関はこれらの人や企業に融資する事が出来ません。何故なら、リスクに対して金利が低すぎるから。

では何故、こんなにも日本の金利が下がってしまったかと言えば、日銀は量的緩和や異次元緩和必用以上に金利を低く誘導しているからに他なりません。

こうして、国内で得られる金利が実際以上に「みすぼらしく」なってしまうと、それよりもマシな金利の付く海外に資金が流出します。結果的に国内に回るべき資金が海外で運用されるので、国内の成長は妨げられます。

発達して金融市場を持つ世界では、金利がゼロに張り付いた時点で「負け」なのです。


日本の長期低迷の主要因は確かに「少子高齢化」や「労働人口の減少」ですが、それを助長しているのがゼロ金利である事に日本人はもっと自覚的であるべきです。

尤も、異次元緩和がこれほど長期化してしまうと、日銀が緩和縮小を匂わせただけで世界の市場が震撼します。日本国債の暴落は国内の金融機関の経営に影響しますから、空気が読める日本の金融機関は海外投資を手仕舞いして、足並みを揃えて日本国債購入に踏み切るでしょう。(外資は売り浴びせるのでしょう)

FRBの利上げペースが鈍化(或いは既に利上げ出来ない)する状況にあって、日銀が異次元緩和を縮小する訳には行かないのです・・・収穫祭までは・・・。


<追記>

安倍首相と会談した黒田総裁は「未だ、二の手、三の手が有る」と発言した様ですが、実際には日銀の日本国債購入額はステルス的に減らされています。市場バランスを維持する為に、日銀が購入出来る国債の額には限度があるからです。ですから、異次元緩和を拡大する方法で、日本国債の買い入れ額を増やす方法は考え難い。

一方で異次元緩和の出口を求める声も高まっています。銀行は金融危機の足音が近づいている海外投資を手仕舞いして、資金を国内に戻したハズですが、リスク・ゼロの日本国債と日銀当座預金の利付けがゼロ金利では、それすらも出来ません。

ゆうちょ銀行の限度額が半ば強引に2600万円に引き上げられる背景には、出口戦略の地均しの目的があるのかも知れません。日銀の資産圧縮の為の受け皿にするのか・・。


まあ、ここは陰謀論ブログですから、三の手辺りは「日銀の米国債購入」なんて大技を期待してしまうのですが・・・。

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