2019/6/5

異次元緩和の見えないリスク・・・リスクフリーなどあり得ない  時事/金融危機
 

■ 無限国債は成立するのか ■


MMT理論が成立する様な状況では「無限国債」が成立するはずです。

1) 政府は赤字国債を大量に発行し続ける
2) 間接的、或いは直接的に中央銀行が国債をファイナンスし続ける
3) 国債の最後の引き受け手の中央銀行は無限に通貨を発行出来るので国債は無限に発行できる
4) 日銀は政府の子会社なのだから日銀の資産である国債は政府の負債と相殺される

ネトウヨの主張を延長すると「無限国債は成立する」となりますが、彼らとて、こんなに都合の良い事が現実に起きるとは信じていないでしょう。(一部の方を除いて)


上のループが成立する為には「インフレ率が十分に低く、金利が抑制されている」事が絶対条件になります。

日銀の国債買い入れは市場を通して行われますが、その過程で日銀は民間に大量の円を供給しますから、円が巷に溢れれれば、通常ならば通貨の価値が減少してインフレが発しします。



■ 日本の低成長が支える異次元緩和 ■


先の記事にも書きましたが、日本の成長率はゼロ近傍に張り付いています。これは少子高齢化の影響が大きいのですが、結果として日本国内の金利を押し下げ、国内での投資機会を減少させます。

国内金利が低下すると、相対的に海外の金利が高くなります。金利3%の米国債は、為替リスクを考えるとあまり魅力的な商品とも思えませんが、それすらも魅力的に見えてしまうのが現在の日本の国内金利です。

こうして、日銀が異次元緩和によって民間に供給した大量のマネーの多くは、海外に流出します。(リスクを取り得る一部のマネーは、日本株や国内の不動産に流れ込みプチバブルを形成しています。)


■ 金融危機が発生すると極端に円高に振れる ■

異次元緩和による円の増加と、円キャリー取引の発生によって円は実力以上に円安になっています。リーマンショック後にアメリカも一気にマネタリーベースを拡大したので、現在の為替水準はもっとドル安円高で良いハズです。

リーマンショック以降、市場がリスクオフになる度に、為替市場は円高に振れますが、円キャリートレードの手じまいで円高バイアスが掛かる所に、市場の関係者の思惑も絡んで、円高が加速します。

■ 次なる金融危機で壊滅的なダメージを受ける日本 ■

仮に、リーマンショック級の金融危機が発生したならば、再び急激な円高が一時的に発生するハズです。為替ヘッジの想定以上に円高が加速すれば、内外金利差など簡単に吹き飛んで、日本の海外投資は大きな含み損を抱える事になります。

私は次なる金融危機で日本の金融機関は危機的状況に陥ると妄想しています。ゆうちょ銀行、農林中金を筆頭に、地銀なども経営危機に陥る可能性が高い。

GPIFのダメージも相当なものでしょう。

■ 株価下落で債務超過に陥る可能性が有る日銀 ■

海外資産を持っていないので安泰と思われる日銀も、国内株の下落で下手をすると債務超過に陥る可能性が指摘されています。日銀は最後の買い手として、日本株を高値掴みしていますから、大幅な下落で含み損が拡大します。

■ 為替市場で円の下落が始まり、インフレが加速する ■

日本国内の金融機関の経営がガタガタになり、日銀も大量の含み損を抱えるとなると、さすがに為替市場で円高を維持する事は不可能になるでしょう。

ここで急激に円安が加速して、1ドル150円を超えて来ると、原油をはじめとした輸入品の価格が上昇して、日本国内のインフレが加速します。


■ フリーランチは存在しないと世界に示す日本 ■

円安を止める為には金利を上げるしか方法がありませんが、財政赤字を積み上げた日本で金利上昇は命取りになります。

この段階にもなれば、国民は銀行も政府も信用できなくなりますから、銀行から預金を引き揚げ様とするハズです。ここで、銀行はシャッターを開ける事が出来なくなります。

多分、事がここまで進む前にIMFが救済に乗り出すハズです・・・。これが異次元緩和の結末だと私は妄想しています。


尤も、次なる金融危機でドルや他国通貨の信用がどれだけ保たれているかは疑問なので、世界中の通貨の価値が等しく棄損すれば、最悪のシナリオは回避出来るかも知れませんが・・・。




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2019/6/5

経済の「天動説」・・・MMT理論  時事/金融危機
 

■ 現代貨幣理論(MMT理論)を簡単にまとめてみる ■

巷を騒がせている?MMT理論なるもの。私などは詳しい説明を読めば読む程、理解不能になってしまいます。ただ、結論を要約すれば次の様になります。

1) 通貨発行権を有する政府は無制限に通貨を発行する事が出来る
2) 通貨は政府の負債であるが、税金と国債によって相殺される
3) 基軸通貨ドルを有するアメリカと、自国通貨建ての国債を国内で保有している日本は
   ある程度の赤字国債を発行しても財政破綻は起こらない

通貨発行権は中央銀行が有していますが、中央銀行を政府の子会社だと考えれば、政府が通貨発行権を有していると言えます。建前上は中央銀行は政府から独立しており、無制限に通貨を発行する事を禁じています。しかし、現代の不換紙幣は「単なる紙切れ」なので、中央銀行がその気になれば、いくらでも紙幣を印刷する事は可能です。

中央銀行の発行する通貨は「中央銀行の負債」ですが、これを政府通貨と考えるならば「政府の負債」となります。この政府の負債にバランスするのが、国民の税金と国債となります。

■ 基軸通貨国のメリット ■

基軸通貨であるドルは、世界中の国が欲しがるので、ジャンジャン刷る事が出来ます。そして、ドルに準じる信用力が有り、さらに金利が付く米国債も人気が有りますから、アメリカはある程度安定して米国債をジャンジャン発行出来ます。アメリカはドルを大量に発行する一方で、米国債によってドルを世界から吸収する事でドルという負債を消滅させているのです。

■ 自国内で国債が消化されていた日本 ■

一方、日本は異次元緩和の前までは、国内の金融機関が国債を大量に保有する事で、円という政府の負債を消滅させていました。これを支えていたのは、日本国民の預金です。日本人は銀行預金を通して間接的に国債を保有していたのです。

■ 「異次元緩和」は「財政ファイナンス」に他ならない ■

しかし、国債の発行量が増え続ける中で、国民の金融資産で国債を消化する事が不可能になって来ました。国債の需給関係が崩れると、国債金利が上昇して、国債発行コストが急激に拡大します。そうなる前に、財務省と日銀は「異次元緩和」という「隠れ財政ファイナンス」を開始します。

多くの経済学者は「財政ファイナンスを行うと通貨の信用が棄損して、国債金利が上昇する」と予想していましたが、日本の金利は上がるどころか、下がり続け、ついにはマイナスになってしまいました。

日銀が日本国債市場で「池のクジラ」となって市場を支配した為に、日本国債市場の市場原理が働かなくなった為に起きた現象です。ゼロ金利の国債でも、日銀が高く買ってくれるので、国債の需要が維持出来ているのです。

■ マイナス金利によって減り始めた日本の国債負担 ■

ゼロ金利国債は大量に発行しても金利負担はゼロです。マイナス金利国債に至っては、発行すればするだけ利益が絵られます。

マイナス金利国債の利益は、借り換え債で顕著に表れます。金利2%の国債をマイナス金利の国債で借り換えれば、金利負担は消えて無くなります。仮に新規発行国債の増加が無ければ、国債残高は徐々に減り始める事になります。

■ 日銀の国債保有に限界はあるのか ■

「異次元緩和」の成功はMMT理論支持者や、ネトウヨ界隈を喜ばせています。彼らは、現在の日本の様な状況において「政府の財政赤字には制約が無い」と主張し始めます。

彼らの主張は次の通りです。

1)日銀は政府の子会社である
2)日銀の保有する国債(資産)は、政府の資産である
3)政府の負債である国債と、日銀の資産である国債は相殺される
4)日銀が国債を引き受け続ければ、政府はいくらでも国債を発行できる

一瞬正しい主張の様に思えてしまいますが、この主張では「円の価値」が抜け落ちています。国債という資産に価値を与えているのは、円という通貨の負債です。仮に日銀の国債引き受けによって政府が無限に国債を発行出来るのならば、その過程で円も無限に発行され、円の価値はゼロに近付いて行きます。

この事から、日銀の国債引き受け量に限界が存在し、国債の発行量もその制約を受ける事が分かります。

MMT理論的には無限に発行できる通貨ですが、現実の世界では「通貨の価値を極端に棄損しない範囲」という制約を受けます。だから、日銀も財務省もFRBも、そして良識的な著名な経済学者もMMT理論を「異端」として退けます。この事は良識のあるMMT理論支持者は当然理解しています。

■ MMT理論が成立する条件 ■


日本は現在、限定的にMMT理論的な状況が成立しています。政府の国債発行残高が拡大しているにも関わらず、国債金利はゼロ以下に抑えられています。

「国債金利<成長率」の条件において、財政破綻は起こらず、将来世代の負担も拡大しないとされています。

これ、端的に言ってしまえば「上限金利を設定した金融抑圧政策」で、インフレ率よりも低い金利によって、国民の資産が見えない形(インフレ税)によって国家に吸収されているだけです。

本来、国債は将来の税収によって支払わるとされますが、時間軸を敢えて無視するならば、現在の日本国債は国民の金利獲得機会の喪失(=金利負担)によって支えられているとも言えます。

■ 超金利は国内の投資意欲を削ぐ ■

MMT理論支持者や、ネトウヨの方達は、何故か「得だけしたい」というお花畑左翼と同じメンタルを持っている様です。現に、アメリカのMMT支持者達は、民主党支持者が多い。彼らはMMTが成り立つならば、ベシシックインカムが実現して、誰もが豊かな社会が実現できると主張し始めるでしょう。

しかし、MMT的な政策には副作用があります。「インフレ税」は国民資産をこっそりと搾取しますがこの影響は緩慢です。

一方、国債金利は金利体系の基本となっていますから、国債金利が低下し過ぎると、市場金利も不当に抑圧されます。一見、借り手に有利なので、投資が活発化すると錯覚されますが、お金を貸す側からすれば、リスクに見合った金利が得られない事になります。

金利が下がり過ぎてしまった日本では、中小企業が銀行から融資を受けたくても、銀行は低い金利では貸したがりません。一方、大企業は社債発行が低金利で可能になるので、銀行を充てにしなくなります。こうして、極端な金利低下は銀行の利益機会を減らす事で、金融仲介機能としての銀行の機能低下を招き、地域経済を中心の停滞が加速します。


■ 低金利によって国外へ逃避するマネー ■


国内の低金利が一定水準を超えると、お金は金利を求めて海外に流出します。年金積立金が外国債や海外株式で運用されたり、ゆうちょ銀行の資金が海外で運用されたり、投資信託を投資手老人の資金が海外に流出します。

預金者や投資信託の保有者からすれば「国内金利よりも高い金利が得られるのでお得」となりますが、本来は日本国内で運用されて経済を活性化せたハズのお金が、海外で運用されてしまうのですから、日本経済的にはマイナスとなります。

日本の長期停滞の主要因は少子高齢化による社会の不活性化ですが、極端な低金利は国内経済にさらなる低下要因をもたらします。

■ インフレ率の上昇を恐れる日銀と財務省 ■

私個人としては、日本の人口動態は悪すぎるので、MMT理論的な財政政策は仕方の無い事だと考えています。人口動態の最悪期の今後20年程を、成長と引き換えに財政ファイナンスで乗り切るのは悪い手ではありません。

しかし、その為には成長率(インフレ率)はゼロ近傍に抑え込まれる必要が在ります。日本の成長率は普通にゼロ近傍なので問題が有りませんが、外的要因でインフレ率が上昇する可能性が有ります。

それは円安の加速によるコストプッシュインフレです。異次元緩和の初期に、インフレ率が上昇し始めましたが、これは円安の加速によって原油価格が上昇した為に発生しました。アベノミクスへの期待もありましたし、安倍政権初期のバラマキの影響もあって、名目成長率も上昇していたので、金利に上昇圧力が掛かっていまいた。そこで財務省は「消費税増税」を実行して、景気に水を差します。


その後、消費税増税は先送りされていますが、これは「機動的なインフレ率抑制手段の温存」と考えると合理的です。

増税延期によって安倍政権は政権基盤をさらに盤石とし、一方で財務省と日銀は金利抑制手段を温存出来る・・・まさにウィン・ウィンの関係です。

■ 消費税増税は先送りされる可能性が有る ■


消費税増税分を見越して、安倍政権は幼児教育の無償かや、高等教育の学費の一部無償化など、様々なバラマキ製作を予定しています。財務省的には、安倍政権に先にアメを与えているので、消費税増税は実行するべきと考えているでしょう。それで無ければ財源が確保出来ません。

ただ、財務省が増税延期を認める可能性はゼロではありません。株価を見るまでも無く、世界経済に暗雲が広がり始めています。このタイミングで消費税を増税すると、日本経済に深刻なダメージを及ぼし、税収が極端に低下する可能性は高い。

そこで、MMT的に良好な国債発行状況を利用して、消費税増税を見送る事も考えられます。


中東情勢によっては、消費税増税は原油価格上昇時に温存しておく可能性も在ります。


■ MMT理論は経済学の「天動説」に見える ■


MMT理論は、限定的な条件によって成立しますが、しかし、これは貨幣というものの機能や成因の都合の良い所しか見ていません。

例えば、実際にアメリカのMMTを大々的に実施すれば、即座に為替相場が混乱するでしょうし、日銀が異次元緩和をさらに拡大すれば、資金は日本の実態経済を潤す前に、世界の金融市場でバブルを拡大し、やがてそれは崩壊を起こして、世界経済に深刻な影響をもたらします。

MMT理論は、この様なグローバルな経済の循環を無視して、国内の限定された領域で話を進める傾向が強い。

これは、地球の周りを星々が回っていると信じた「天動説」の発想に近い。理解の及ぶ範囲で、限定的な条件で成立する法則だけを見て、妄想を膨らめているだけ・・・。


今は成功しているかに見える日銀の異次元緩和(財政ファイナンス)ですが、仮に再び金融危機が発生した場合、その原因は「極端な金融緩和」に有るとされるでしょう。

そうおなれば異次元緩和の継続も難しくなり、反動として日本国債の金利が急上昇する事も起こり得る。

日銀と財務省は利口ですから、その辺の匙加減を考慮して、MMT理論に否定的な訳ですが・・・トランプがMMT理論を本気で支持し始めたら、多分、金融資本家達によってパージされる事でしょう。


■ 悪魔の囁き ■

元IMFのチーフエコノミストのブランシャールが「日本は財政赤字を拡大すべき」と発言して注目を集めています。

「現在の日本の環境では、プライマリーバランス赤字を継続し、おそらくはプライマリーバランス赤字を拡大し、国債の増加を受け入れることが求められています。プライマリーバランス赤字は、需要と産出を支え、金融政策への負担を和らげ、将来の経済成長を促進するものです。要するに、プライマリーバランス赤字によるコストは小さく、高水準の国債によるリスクは低いのです」



一部の人達がこの発言に大喜びしていますが・・・・これって「MMT的に通貨にどれだけ耐性が有るのか、日本で試してみようじゃないか」と言っているに等しい。まさに悪魔の囁きです。


■ 現代の通貨は、過去の通貨よりも耐性が高い ■

MMT理論に否定的な事を書いて来ましたが、その根拠は、過去に通貨の大量発行がろくな結果
をもたらさなという実例が多く存在するから。

ただ、多くの場合、その原因は「戦争」にある事が多く、生産を伴わない政府支出の拡大が、財政を崩壊させ、通貨価値を棄損してきました。特に、敗戦した側は、第一次世界大戦のドイツを例に取るまでも無く、悲惨な結果に終わっています。

現在でも、政局の不安定な国家などで通貨危機は日常茶飯事で発生していますが、先進国の通貨は、はぼ安定しています。これは、世界から大きな戦争が無くなった事の影響も大きいでしょう。極端に財政にストレスを掛ける事態が起こらなくなった。

一方で、現在の日本の様に、長期停滞による財政の緩やかな悪化が、通貨にジワジワとストレス掛けています。尤も、先進国の多くが長期停滞の状況にある中、リーマンショック後は金融緩和を拡大していますから、相対的に先進国の通貨は「悪い中で安定」しています。

MMT理論が広く知られる事で、日本の財政赤字拡大に国債市場が耐性を高めた事も確かでしょうし、国民も妄信的な緊縮財政信仰から目覚めつつあります。これは、財政赤字が拡大した日本で、財政の機動性を確保する意味で有意義です。

ただ、国民の多くがMMT理論信者になると、政府への財政拡大圧力が極端に高まり、現在のモラトリアムが継続出来なくなります。その危険銓を抑制する為にも、MMT理論が限定的な条件でしか成り立たない事を、国民の多くが正しく理解するべきですが・・・無理ですよね・・・。特にネトウヨは聞く耳を持たないですから。


■ MMT理論が広がった裏にチラつく通貨マフィアの影 ■

リーマンショック後の各中央銀行の金融緩和に出口は最初から存在しないというのが私の主張です。金融正常化の過程(金利上昇の過程)で、必ず金融緩和バブルは崩壊します。

FRBは日銀とECBのバックアップで、どうにか利上げを続けて来ましたが、そろそろ限界です。日銀やECBに至っては、出口すら見えません。

2013年4月に日銀が異次元緩和をスタートさせて6年が経過していますが、インフレも目標は幸運にも達成されていません。しかし、今後、中東で戦争が起こるなどして、意図せぬインフレが発生する可能性は低くはありません。

その時に、インフレ率が上昇したから緩和を中止しろとの圧力が高まると、金融市場が一気に吹っ飛びます。そこで、各中央銀行がインフレ進行時に急激に金融緩和を縮小しない為の布石が、昨今のMMT理論の広がりなのだと、私は妄想しています。

ネトウヨ言論が異次元緩和の露払いの役割を担わされていたとするならば、MMT理論の広がり来るべき危機への伏線では無いか・・・・やはり最後は陰謀論で締めないとね。
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