2019/12/6

13兆円の補正予算・・・「財政規律」は死語か?  時事/金融危機
 
■ 13兆円の補正予算 ■

安倍政権は13兆円の補正予算を決めた様です。

消費税率引き上げ後に消費は顕著に落ち込んでいますし、世界経済の先行きも不透明です。さらには台風や大雨による被災地の復興予算や、防災関連の対策も必要です。

私個人としては、このタイミングでの補正予算の決定は評価します。

■ 「桜を見る会」の失点を挽回する ■

予算規模が大きくなった背景には「桜を見る会」問題の失点を挽回する目的が大きいでしょう。自民党内でも安倍首相への不満は高まりつつありますから、大型補正予算で求心力を回復したい。

自民党の各議員は、支持者にどれだけ利権を斡旋できるかが支持率アップや再選の鍵となりますから、補正予算の規模が大きくなる事に不満を持つ議員は居ません。

■ マイナス金利の時代に「財政規律」という言葉は死語なのか? ■

国債をゼロ金利やマイナス金利で発行できる現在の日本では、国債を発行すると政府が儲かるという不思議な状況が発生しています。

建築国債の様な長期国債は10年毎に借り換える決まりですが、借り換えに際して金利が消えてしまいます。

この様な状況にあって、国債発行を抑制するインセンティブが働かなくなります。要は「財政規律」が非常に緩くなる。

国債残高はどんどん膨らんで行きますが、金利コストが増えないので、赤字国債の増発を繰り返す事で、財政がファイナンス出来てしまいます。

■ ゼロ金利を維持しているのは資金需要の枯渇か、それとも日銀の異次元緩和か ■

国債金利がゼロやマイナスになっているのは日銀の異次元緩和の効果ですが、それが維持出来ているのは日本国内の金利が下がり切っているから。

金融機関はゼロ金利の国債を償還時まで持っていても設けが出ませんが、日銀に購入価格より高く売れば利益が出ます。今の所、日本国債のリスクはゼロですから、微々たる金額ながらもリスクフリーで利益の出せる貴重な取引です。

ゼロ金利やマイナス金利の国債が市場で消化できるカラクリは、日銀が必ず高値で買ってくれるという「信頼」の上に成り立っています。

一方で、国債ディラーは金融機関の花形職種では無くなっています。淡々と国債を購入して日銀に売却するだけの暇な職業となっています。

■ 超過準備が支える日銀の国債購入 ■

日銀の異次元緩和は通貨を大量に発行している印象を受けますが、実は民間の銀行の日銀当座預金の役割も大きい。いわゆる「ブタ積み」と呼ばれる資金ですが、これも国債購入に充てられている。だから、日銀は「ゼロ金利、マイナス金利」と言いながら、一部の日銀当座預金に「利付け」しています。金融機関は、ここからも微々たるながらもリスクフリーで利益を得ています。

こうして、日銀の当座預金に超過準備が積みあがっているので、市中に大量の通貨がバラまかれる事がなく、市中金利を抑制しているともいえます。

■ 異次元緩和のバランスが崩れる事はあるのか ■

非常に微妙なバランスにおいて成り立っている異次元緩和ですが、限界は在るのでしょうか。MMTではありませんが、金利がゼロ以下に固定される限り、「無限国債」が可能になり、国債残高を膨らめながらも財政の維持が可能となります。

既に政権に財政規律を守る意思は薄れていますから、政治的な人気取の為に補正予算が常態化したり、赤字国債の発行が増大する可能性は低くはありません。

ここで問題となるのが、為替です。世界が「日本の財政は異常だ」とか「財政ファイナンスはケシカラン」と見なせば為替市場で円が売られ円安が加速します。1ドル200円とか240円になれば輸入物価が上昇して国内でインフレが発生します。

インフレは金利を引き上げますから、国債にも当然金利上昇圧力が掛かります。何故ならゼロ金利の国債を保有していては金融機関の含み損が拡大してしまうからです。

インフレが進行しても預金金利が上昇しなければ、人々は預金を引き出して現物や株や土地でお金の価値を保存しようとします。或いは、海外投資で金利を稼ごうと預金を引き出します。これでは銀行の経営が成り立ちません。当然、ゼロ金利の国債など買わない。

■ 目下の所、怖いのは円高 ■

長期的に見れば、異常に拡大した財政赤字の悪影響で円安が加速する事は十分にあり得ますが、FRBやECBなども似たり寄ったりの状況とあれば、円だけが売られる心配は当面は在りません。

それよりも、現在は円高の心配が必要です。国内でろくな金利が稼げない金融機関は資金を海外で運用しています。仮にリーマンショックの様な経済危機が起きると、海外の市場価格も暴落するので、海外の資金は一気に国内に還流します。この時、円が買われて円高が加速しますから、海外資産の実質的価値はさらに失われます。金融機関は危機が発生した途端、われ先に資金を国内に還流するでしょう。遅れれば遅れる程、為替差損が膨らむからです。

当然、円キャリートレードの手じまいも円高を加速します。

この様な状況でゆうちょ銀行やメガバンク、そして多くの地銀が損失を膨らめると、金融機関の破綻問題が発生します。リーマンショック後のアメリカや、バブル崩壊後の日本の様に、必ずや公的資金を金融機関の投入する事になるでしょう。(そうしないと金融ステムが破壊される)

面白いのは、国内に還流した資金は、リスクゼロの日銀当座預金や、日本国債に向かうという事。これらの資金が、国債金利を抑制するので、政府は国債を大量に発行して、銀行に資金注入をする事が可能になります。

その後も、国内の景気対策などで大型予算が組まれ、国債発行残高はどんどん膨らんで行きます。

・・・・・ここら辺で、流石に「日本国債って本当に大丈夫なの」という不安が生じて来るハズです。

■ 中東で戦争が発生して原油価格が高騰するとヤバイ ■

私は次なる世界的な金融危機とセットで中東で戦争が発生すると妄想しています。そうなると原油価格が一気に跳ね上がります。

石油ショックの時の欧米同様に、日本でも「不景気とインフレが同時に進行する=スタグフレーション」が発生するでしょう。(これ、全世界的にそうなる)

「日本は不景気だから物価は上がらない(金利は上がらない)」という幻想が吹き飛ぶ瞬間です。こうなると、低金利の国債を大量に保有する事は金融機関には出来なくなります。

しかし、この様な状況は世界中で発生します。ジャンク債どころでは無く、米国債ですらジャンク債と化すのです。

リーマンショック以降の金融緩和で各国の国債金利は下がり切っていますから、「世界中で国債の信用不安」が発生します。これは「通貨の信用不安」に直結します。


・・・・リーマンショック直後にもドルの信用に疑問が持たれましたが・・・「紙の通貨」の時代が終わる時が来るのかも知れません。


なんおとなく、そんな未来が予見できるから「最後の大盤振る舞い」を財務省が始めた・・・・。そんな妄想が膨らむ今日この頃です。




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