2020/2/10
フロントシングルという選択・・・人生初SRAM 自転車/マラソン
■ ビフォー & アフター ■

ヤフオクで新品を23000円で落札したLEMONDのクロモリバイク、ZURICH。レイノルズの最高峰のパイプ853を使用した、男気のあるレーシングバイクです。
取り合えず走れる様にする為に、手持ちのBASSOのバイクからコンポ一式を移植して組み上げたのが上の写真。
ヘッドパーツ タンゲ
コンポ カンパニョーロ コーラス
ステム デダチャイ 100mm
サドル フィジーク
シートポスト リッチー
ハンドル リッチー
ホイール カンパニョーロ ユーラス
その後、販売当時の姿に拘ってホイールをRolf Primaに変更します。当時はVector compという重さ2Kgに迫るアルミエアロホイルでしたが、今回はVigor αのステルス仕様。重さも1500gちょっとです。

そして、新なコンポで先週組み上げたのがこちら・・・・。
どこが変わったのか、多分分からいと思います。
■ メイド・イン・USA に拘りました。 ■

クランク ROTOR MTB用 3Dクランク
チェーンリング WOLF TOOTH 42t ナロー&ワイド

リアディレラー SRAM FORCE x1
スプロケ SHIMANO ULTEGRA 11S 11-28T
ホイール Rolf Prima VIGOR α ステルス

シフター SRAM RED 11T
ステム THOMSON 120mm
ハンドル RITCHEY

ブレーキ SRAM FORCE
まあ、ロードバイクがお好きで無い型には、どでも良い事なのですが、出来るだけ 「MADE in USA」に拘りました。
■ フロント・シングルという選択肢 ■

今回の目玉は「フロント・シングル」。
通常、ロードバイクは前2速、後ろ11速の合計22速のギアーを持ちます。しかし、実際には同じギアー比が存在するので、14速程度のギアーとなります。
ロードバイクのリアーの変速数は年々多段化し、現在は11速が主流。しかす、カンパニューロとスラムは既に12速に突入しており、クランクメーカーのROTORは13速のシステムを発売しています。
この「多段化」によって出て来た発想が「フロントのディレラー要らなくない?」という「フロント・シングル」。
実はロードバイクのフロントディレラーって「トラブル・メーカー」で変速に際してチェーンが落ちる事が頻繁に起こります。デコボコ道でフロントを変速したり、リアがファイナルローに入っているのにフロントをインナーに落としたり、坂道でペダルにパワーが掛かっている時にインナーに入れたり、或いはフロントインナーでリアーをトップにしてしまったり・・・まあ、様々なシーンでチェーン落ちが発生します。
だいたい、フロントのインナーギアーの内側にチェンが落ちて、クランクとフレームの間に挟まってフレームが傷だらけになります。カーボンバイクだと、車体のダメージも、精神的ダメージも小さくは有りません。チェーン落ちを防止する為にチェーンキャッチャーを付けても・・・落ちる時には落ちる。
実は私、この所、立て続けにチェーン落ちに見舞われております。(何故かリアですが・・・)。そして、先日はRolfのリアーのスポーク2本が折れました。千葉の山の中で・・・。元々14本しか無いスポークが2本折れると、リムが歪んでブレーキに当たる為、走行不能になります。(残った12本の極細のスポークに命を預ける気にはなれませんが・・・)
そこで「フロントシングル」の出番です。
フロントシングルはロードバイクより悪路を走るMTBで発達した技術です。MTBは悪路でチェーン落ちのリスクが高いので、いっその事、フロント変速を止めてしまえという発想が生まれて来ます。しかし、ただフロントディレラーを取り去っただけでは、チェーン落ちは防げません。現に私の魔改造MTBはフロントシングルですが、フロントチェーンが落ちまくったのでフロントディレラーを付けたままにしています。単にチェーン落ち防止の為に。
■ ナロー ワイド という技術 ■

そこで誰が考えたのかは知りませんが、フロントギアーの歯を、「薄い歯」と「厚い歯」を交互にする事で、チェーン落ちを防ぐ技術が「ナロー&ワイド」。
本来はMTB用の技術でしたが、悪路を走るシクロクロスやグラベルロードの普及によって、ロードバイク系の車体にもフロントシングルが使われる様になります。
そして、とうとう、プロのロードレースの世界でもフロントシングルを採用するチームが現れました。アイルランドのAqua Blue Sportというチームです。

しかし、選手たちにはフロントシングルは不評で、チームも解散しています。ほんの少しのギアー選択のミスが勝敗を分けるプロのチームで、ギアの選択肢が狭いフロントシングルは圧倒的に不利なのです。
しかし、ホビーライダーの多くは、1秒を争う様な走り方はしません。特に、平地中心に走る人や、ヒルクライムに特化した人は、ギーアの多くを持て余しています。そこで、ロードバイクでもフロントシングルを採用する人がチラホラと現れる様になります。
ただ、「ギアの選択肢が少ない」という制約は残りますから、重いギアーか、或いは軽いギアーか、はたまた「スムースなギアの繋がり」を捨てる必要が有ります。
■ ギア選択が難しい ■
11速、或いは12速だけしかギアの選択肢の無いフロントシングルでは、フロントとリアの歯数によって、全く異なった乗り物になります。
フロント2段と同じギアー幅を選択出来る様にする為には、MTBの様にリアのギアをワイド化するしか在りません。SRAMなどは11T-36Tとか、或いはもっと広いギアーのスプロケを販売しています。しかし、変速段数が11速、或いは12速では、ギアーの歯数の間隔が広がってしまいますから、細かな変速調整が出来なくなります。「もう少し軽く」とか「もう少し重く」という時に選ぶギアが無い。
そこで、今回はリアーをシマノの11T-28Tにして、フロントを42Tにしてみました。
トップ側のギア比が3.82、ロ-側が1.5という構成です。
トップ側の3.82はコンパクトクランクの50-13Tにほぼ等しい。ホビーライダーは下りで高速を出さない限りは11Tや12Tは使いません。
一方ロー側の1.50は、コンパクトクランクの34-23Tに相当します。ホビーライダーは激坂では34-32T(ギア比1.06)などという乙女ギアを求める人も居ますから、1.50というギア比は、10%を超える坂道では「男気」溢れる選択となります。
尤も、私はギア比3.0のピストに乗って房総に山を登っていますから、1.50は「ちょっと重いけどダンシングで激坂はOK」って感じ。勿論、登りでスピードを求めるヒルクライマーでは問題が生じますが、「峠は足を着かずに登れれば良い」派なので、問題無い。
■ ダンシングが帰って来た ■
実は一昨年からコンパクトクランク(50-34t)や、セミコンパクトクランク(52-36T)を使い始めていまいた。やはり、年齢的に思いギアは坂道で辛い。省エネモードのシッティングで坂道を登るには、コンパクト系のクランクは楽ちんです。一方、ダンシングの出番は減りました。
しかし、フロントシングルで1.50というファイナルローのギアー比では、8〜9%以上の坂道は基本ダンシングとなります。ちょっとした坂道での加速のシーンでも、ダンシングの出番です。
今回は10%越えが連続し、しかも直登気味の麻綿原高原を老川十字路側から登ってみましたが、フロント変速をしないと、登ると下りが交互に表れる尾根筋の様なコースではギアチェンジが超楽ちんでした。そして、結構荒れた路面でギアチェンジしても、チェーンは落ちる気配すら在りませんでした。
というか、ダンシング、楽しい!!
久々に「自転車に乗ていて楽しい」と感じました。
■ SRAMのダブルタップも楽しい ■
実は今回、人生初のSRAMコンポでしたが、「ダブルタップ、超楽しい」です。
ダブルタップは一つの変速レバーで、シフトアップもシフトダウンもする構造。深く押し込めばシフトダウン。軽く叩けばシフトアップ。
未だ、慣れていないのでシフトミスも多いのですが、同じレバーなので修正は楽です。特にシフトアップは「チョンチョン」って感じで超楽。
私、シマノのブレークレバー全体をグニュリと捻るシフトダウン操作ってどうしても好きになれません。だからカンパを使って来たのですが、SRAMのダブルタップの操作感も悪く在りません。
そして、リアの機械式変速もスパスパと気持ち良く決まります。
最近、自転車に乗る時に「如何に効率的にペダリングするか・・・」なんて考える事が多かったのですが、フロントシングルで「効率」を捨て去ると、自転車に乗る楽しみが戻って来ます。「気合でダンシングだぁーーー」・・・これこそが、子供の時から乗り続けて来た自転車の楽しみの本質だったのかも知れません。

