2012/8/9

広島原爆の被害に、福島を重ねるNHKの悪意・・・ドキュメンタリーを信用して良いのか?  福島原発事故
 

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NHK特集 2012.08.06 「黒い雨 〜活(い)かされなかった被爆者調査〜 」より

■ 「黒い雨」の調査データが見つかった ■

「黒い雨 〜活(い)かされなかった被爆者調査〜 」というNHKの番組を紹介頂きました。

TVを先日、廃家電回収車に出してしまたので、
NHKオンデマンドで見てみました。

番組の内容は凡そ以下の通りです。


1) 黒い雨を浴びたかどうかの調査資料が放射線影響研究所に残っていた
2) 調査された資料の内、11250人が黒い雨を浴びていた
3) 黒い雨の調査資料は存在しないとされていた
4) 黒い雨を浴びた人の中でも、癌や白血病で亡くなった方が居る
5) 黒い雨のデータが無い為に、黒い雨を浴びて健康被害を生じた事は立証されていなかった

6) 従来、原爆病の認定は爆心地からの半径2Km、線量100(mSv)までを基準としていた
7) 黒い雨による残留放射線による被曝線量は10〜30mSVと推測されてきた
8) 測定値は、原爆投下後、1ヶ月後のデータを下にしている
9) 原爆投下から測定までの間に台風による洪水等で、放射線物質が洗い流れた

11) 黒い雨を浴びた人の中に、脱毛や出血斑、腹痛や嘔吐など急性放射線障害の症状が出ている
10)当時赤ん坊で、母親の背中で黒い雨を浴びた男性は、その後、白血球の低下や身体的不調に苦しんだ
12) 爆心地から5Km近く離れて被曝した女性は、投下直後に市の中心部の実家に戻り、
    脱毛など急性放射線障害の症状を呈している

13)当時調査に当たったABCC(原爆傷害調査委員会)は残留放射線の影響は無視出来るとしてきた
14) アメリカ原子力委員会も1950年代〜1960年代に欠けて、残留放射線の影響を無視し続けた
15)1955年の原子力委員会の幹部の手紙には「広島と長崎の被害について、誤解を招く恐れのある根拠の希薄な報告を押さえ込まなければならない」と書かれている

16) 誤解の恐れのある報告とは、広島のABCCに勤務していたC.ウッドベリー博士の報告書を指すと思われる。
17) 原爆投下の一ヵ月後、巨大な台風が広島を直撃したが、ほとんどの調査はその後行われたので、放射性物質の測定値は実際の線量よりも低くなったと指摘している。

18) ウッドベリー博士はその後ABCCを去っている


■ 「黒い雨」には当然、高いレベルの残留放射線が含まれていた ■


A) 以上の点から、黒い雨の放射線量が、従来推測されていた10〜30mSvよりも遥かに高い事が推測されます。

B) 脱毛などの急性障害を発症している事から、黒い雨による被曝線量は短期的に1000(mSv)=1(Sv)を超えていたと推測される

C) 黒い雨には、短時間で崩壊して強い放射線を放つ放射性物質が含まれていた事は容易に想像出来る

D) アメリカは1950年代〜1970年代にかけて、核武装と原発建設の為に、残留放射線の影響を無視してきた。原発は核兵器の材料であるプルトニウムを生成するのに不可欠であった。

E) 日本政府は、黒い雨の放射線の影響を認めると、従来のABCCや、アメリカ原子力委員会の見解に逆らう事になり、なおかつ、原爆症の認定患者が大幅に増える為、黒い雨の影響を認めて来なかった。

ここまでは、番組は間違ってはいません。
但し、残留放射線量の推定値を示していないので、視聴者は黒い雨による被爆量を、番組内で提示された10〜30mSvと誤解します。この数値には、時間単位も抜けているので、1瞬の被曝量なのか、1ヶ月なのか、1年なのかが判断出来ません。

黒い雨を浴びて、急性障害を起された方の被爆量は、少なくとも1ヶ月の積算値で1000(mSv)程度であると推測されます。

この点に関して、「黒い雨」の被害を隠蔽してきた政府の責任は重いと言えます。

ただ、アメリカ原子力研究所が「残留放射線の影響は無視出来る」との考えを示していた時代に、日本政府だけが「残留放射線も危険である」という見解を示す事は、現実的に不可能です。


■ 原子力委員会の動きに呼応したかに見えるICRPの表現 ■

原子力委員会の姿勢に呼応する様に、放射線防護委員会(ICRP)も放射線の防護基準の扱いを緩和してきた歴史がある事も事実です。被曝の原則に対する表現が変化しているのです。

1954年・・・「可能な最低限のレベルに」(to the lowest possible level)
1956年・・・「実行できるだけ低く」(as low as practicable)
1965年・・・「容易に達成できるだけ低く」(as low as readily achievable)
1958年      「経済的および社会的考慮も計算に入れて」という字句も加えられた
1973年・・・「合理的に達成できるだけ低く」(as low as reasonably Achievable)

さらに、1965年まではICRPの基準線量緩和されています。
一般人に対する集団線線量は作業者の1/10とされるので以下の様に変化しています。

1958年・・・0.5(rem/30年)=5(mSv/30年)
1965年・・・0.5(rem/年) =5(mSv/年)
1977年・・・5(mSv/年)  単位がremからSvに変更された
1985年・・・1(mSv/年)

注目すべきは、ゴルバチョフがソ連の書記長となり、米ソの核軍縮が始まった1985年に基準値が強化されている点です。

これは、核軍縮によって低下する核の抑止力を、放射線の影響を過大評価する事で補完したとも受け止められます。

この間、1973年にはアメリカでスリーマイル島の原発事故があり、反原発の気運が米国内で高まっていた事も、基準値の厳格化に影響したと思われます。

いずれにしても、ICRPの防護基準は、米ソが核軍拡を続けた1980年代前半までは、基準が緩和され続けています。これは、核兵器の原料のプルトニウムの製造に、原子力発電所を利用してきた事に起因すると思われます。

■ 「黒い雨」の放射線レベルは、ICRPの防護基準の1000倍? ■

NHKのこの番組が視聴者の誤解を招き易いのは、黒い雨の放射線レベルに具体的に言及していない事です。

1) 番組の序盤で黒い雨の放射線レベルは10〜30(mSv)と推定されると表現
2) 脱毛や出血斑などの急性障害は、1000(mSv)以上の、短時間での被曝で発生
3) 急性被曝の線量にNHKは言及していない

これでは視聴者は、10〜30(mSv)よりも高い放射線がどの程度か判断できません。


さて、現在世界が放射線の防護基準としてういる数値は1(mSv/年)です。
これは単純比較しても、1000(mSv)の1/1000です。

現在福島では内部被曝を含めて50(mSv/年)を暫定的な基準値としている様ですが、これも1000(mSv)に比べれば1/20の数値です。


現在の日本人は、どうしてもこの番組を見ながら、福島原発事故を連想してしまいます。
そして、線量の差などは知る由も無い一般の方は、放射線に対する不要な不安を増大させた事でしょう。

■ 間違っては居ないが、反論を封じて一方的な情報しか与えないNHK ■

NHKの番組は、政府が「黒い雨」の影響を軽視してきた事を告発していて、この点は私も政府に問題があると思っています。

一方で、NHKは残留放射線の影響は無視出来ると主張する人達の人選を、アメリカ原子力委員会のかつてのメンバーや、放射線影響研究所の現所長など、明らかに「黒」と思われる人達に限定しています。

これでは視聴者達は「こいつらウソつきやがって!!」と怒りを覚えるのも当然です。

放射線影響研究所の所長は、「共同研究の前提は、黒い雨の残留放射線量の推測値を示せる事が前提」と憮然とした表情で答えています。

これは、共同研究の前提としては科学的に当然の事を言っただけですが、所長のお顔と、話しぶりで、視聴者の反感を買うものとなっています。

しかし、私は収録にあたり、取材陣が失礼な質問の仕方をして、この所長を怒らせたのでは無いかと邪推します。上記の発言をされている所長は、その前のシーンの口調よりは、明らかにご立腹のご様子だからです。

■ 無力な被害者を演じる「被害者の会の会長」 ■

番組の最後は、赤ん坊の時に母親の背中で黒い雨を浴び、その後、白血球の減少に苦しんだ、佐久間邦彦氏が、福島から避難してきた母親達に語り掛けるシーンで終わっています。

「被曝した状況をきちんと証明できなければ、後で政府との交渉で困ります」と説明されています。

この発言自体には、何ら問題はありません。
まさに、その通りです。

問題は番組の最後にこのシーンを持ってくるNHKの編集意図です。
「黒い雨」という被曝線量の高い被害と、福島という被曝線量の低い被害を並列に提示する事で、福島も同様に将来的に被害が出るに違いないと視聴者は勘違いします。
これは明らかにNHKの製作者の悪意を感じます。



ちなみに、ネットで佐久間邦彦氏を検索したら、彼は「広島市西区の己斐原爆被害者の会」の会長をされている様です。

番組中ではその事には一切触れられず、「黒い雨」を浴びた、可哀想な被害者の老人が、福島の避難民の為に活動しているという体裁を取っています。

ここにも製作者の不誠実さを感じます。

■ ドキュメンタリーというフィクション ■

私は以前、東京のローカル局のニュース番組に出演した事がります。

当時、家内の勤めていたベビーシッター会社が
レストランで食事を楽しむ間、子供の面倒を見るというサービスは始め、
そのサービスをTV局が夕方のニュースで特集するというので、
子供と一緒に「サクラ」として狩りだされました。

「このサービスはどうでした?」とレポーターに聞かれ、
「久し振りに夫婦で食事を楽しみました」
「こういうサービスがもって普及すると良いですね」などと
家内の会社の利益になる様な答えを返しました。

これが、ドキュメンタリーやニュースの裏なのです。

■ NHKは日本に不利益になる番組を作り続けている ■

NHKの番組は、かつては「ジャパンデビュー」というNHK特集で、台湾の方のインタビューを大幅に歪曲して放送して問題になるなど(多数の訴訟が発生しました)、被虐的歴史感を国民に植え付ける姿勢が顕著です。

KHKは先日も、ICRPへの取材結果を歪曲して放送した為、ICRPから提訴されています。

何故、NHKが日本の不利益になる放送を繰り返すのか、私には全く理解出来ませんが、原発停止は、シェールガス輸入という形で、アメリカの利益になる事は皆さん頭の片隅に・・・・。


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タグ: 原発事故

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