2021/4/20

2021春アニメ オススメ  アニメ
しばらくアニメ熱が冷めていましたが、『スーパーカブ』を観て復活しました。
今期アニメもほぼ出そろいましたが、異世界物ばかりだった冬アニメよりもバラエティーに富んだ内容で楽しめます。

1話〜3話を観た時点でのオススメは・・・



『スーパーカブ』

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『スーパーカブ』より

親も居ない、お金も無い、やりたい事も無い、ないないずくしの女の子が、中古のスーパカブを買って通学する様になって、人生が動き始めた。

今期、この作品は他作品をグランド10周程度リードしています。

とにかく台詞が少なく、絵に語らせる手法は映像作品としての一つの理想形です。普通の脚本ならばセリフにしてしまう所を、ちょっとした所作や視線で代弁させ、それが徹底しています。

実はアニメやラノベ或いはマンガは子供向でも分る為に、「セリフで説明する」という手法に偏重しています。台詞やモノローグによって、「この時俺は〇〇と思った」といった感情の動き丁寧に説明する。

一方、大人向けの小説や映画などでは、説明は極力排除される事が良しとされます。行間や比喩表現から感情の動きを読み取らせる技術が作者にも、受けてにも要求される。それが鑑賞の醍醐味とも言えます。

新海誠の初期作品の様に、アニメなどでも「語らない作品」は存在しますが、全ての人に理解出来るものでは有りません。これは子供に限らず、安直なドラマに慣れ切った大人の方が感応力が麻痺しているので、共感出来ない。

現在の映像作品(映画やドラマも含めた)の中で、セリフで語る事と語らない事のバランスが突出しているのは『のんのんびより』です。だいたい1話が2部か3部構成になっていますが、1部は導入部で、登場人物達はテンポ良くセリフのキャッチボールをしています。2部、あるは3部は、それを受けての展開となりますが、だんだんと「しんみり」或いは「ほのぼの」とした温かい空気が満ちて来て、最後のセリフはあえて語られない事が多い。風景のロングや、空へのパンアップが、通常よりも長時時間を掛けて映し出され、エンディングタイトルに繋がる演出が多い。川面演出の真骨頂ですが、そこまで繋げる吉田玲子の脚本は神の領域に達しています。前期の『のんのんびより のんすとっぷ』の、第10話『寒くなったり暖かくなったりした』、そして第11話『酔っ払って思い出した』の2話はその中でも珠玉とも言える出来栄えです。11話のラストなどは気絶しそうな程素晴らしい!!

話が逸れましたが、『スーパーカブ』も「画に語らせる」アニメですが、この作品は「音楽と画面のリンク」や「セリフと各話タイトルのリンク」といった工夫がされています。これらは映像作品では珍しい手法ではありませんが、効果的です。さらに特筆すべきはさらには「彩度と主人公の気持ちのリンク」です。作品全体は彩度(鮮やかさ)が非常に抑えられていて、灰色の世界です。これは主人公の目から見た世界ですが、カブの乗って主人公の心が動き出すと世界の彩度が上ります。オープニングタイトルが分かり易い。

ただ、彩度を変化させる演出は、頻繁に行うと作為性が目立ってしまうので、ここぞという時にしか使えません。それゆえに作品全体はモノトーン的な灰色の世界になってしまう。

普通だと、重苦しい作品になってしまうところを、主人公の細やかな動作(所作)を積み上げる事で、繊細な時間の流れを作り出す事に成功しています。実写映画、特にヨーロッパ系のマイナームービーが得意とする手法ですが、主人公の大きな音で搔き消えてしまいそうな存在感と相まって、素晴らしい効果を上げています。

今期はこの作品を各話5回は繰り返して観ています。GWは自転車で聖地巡礼に行く予定。山梨県と長野県の県境の街「北杜市」には、原作組のバイク乗りが既に巡礼してYoutube動画をアップしていますが、アニメの忠実度はかなり高い。

監督は藤井俊郎、『BORUTO』の監督の様ですが、あまりネットに情報が無い。脚本は根元歳三、派手さは無いですがベテラン脚本家ですよね。シリーズ構成も務めた『マクロス△』ではあまり良い印象が無いのですが、今作には驚きを禁じ得ない。


『SSSS.DYNAZENON』
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『SSSS.DYNAZENON』より

『SSSS.GRIDMAN』の雨宮哲監督、長谷川圭一脚本のコンビの第二弾。円谷に「ウルトラマンをアニメ化したい」と持ち掛けた雨宮監督に対して、「ウルトラマンはアニメ化が進行しているから、グリッドマンなら良い」と言われ作られたらしい『SSSS.GRIDMAN』。本家の『ウルトラマン』のCGアニメが酷い出来だったのとは裏腹に、『SSSS.GRIDMAN』は多くのアニメファンの心を掴んだ。やはり実写とアニメは描き方に大きな差があります。特にドラマシーンの演出が、アニメのキャラクターと実写では、視聴者の求めているものが違う。脚本の長谷川圭一はドラマパートに力を入れていていますが、なんとも言えな「脱力感」が魅力です。ヒーロだけども熱くない。

今作『SSSS.DYNAZENON』もドラマパートの「脱力」は健在です。「なんか戦っちゃてるよ俺?」みたいな乗りの搭乗者と、円谷構図でキレッキレのバトルをする怪獣のギャップが最高の作品です。声優さん達の「息を抜くセリフ回し」も素晴らしい。これ難しいですよね。台詞のタイミングからプレスコ作品かとも思いましたが、どうやらアフレコらしい。

ちなみに、脚本の長谷川圭一は『ウルトラマンティガー』で小中千昭とは別のタッチで、印象的な回を担当していましたが、子供の頃は「怪獣キチガイ」と呼ばれ石を投げられていたとか・・。




『さよなら私のクラマー』
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『さよなら私のクラマー』より

『四月は君の嘘』と同じ原作者だとは意外(新川直司)。全く期待せずに見始めのですが・・・3話まで観て、面白い。

実はサッカーアニメって観た事無かったですが、フォーメーションや細かな足さばきなどが「解説」されるので、ヘェーって感じで見入ってしまいます。

この作品、「どうしてこうなった???」って程作画のクオリティーがイマイチなのですが、ネットでは「爆死アニメ」扱いになってます。

でも、面白い。これ、アニメが面白いのでは無くて、原作が面白いのでしょう。弱小女子サッカーチームが勝ち上がって行く王道バターンですが、『四月は君の嘘』の原作者ですから、熱い展開とは別ベクトルの作品という事で、私的には期待大。


『戦闘員、派遣します!』
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『戦闘員、派遣します!』より

一言、「どこの80年代アニメだよ!」・・・でも面白い。私は下手に優等生の『無職転生』よりは、この作品を支持します。

アニメの本当に面白さは、紙芝居的な安っぽさの中に、ハッとする瞬間が散りばめられている事にあると私は常々考えています。菅野よう子も「俗の中の聖」といった表現をしていたと思いますが、完成度の高い作品ではこの「ギャップのお得感」は得られません。



『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』
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『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』より

こちらも「拾い物」と言うより、女子高生を拾った会社員の話。人気ラノベのアニメ化です。北海道から家出して来た少女は、街行く男性に声を掛けて一夜を共にする事で生きています。いわゆる「神待ち族」と呼ばれる、現実の存在としては「股のユルイ」女子ですが・・・そんな少女を拾った吉田さんは、真面目な大人。彼女にそれを強いた大人達に憤りを覚えます。一夜の宿のお礼に平気で体を差し出す女子高生を断固拒否し、それでも、しばらく世話をする事に。

「おいおい、吉田って神じゃね?賢者過ぎんダローー!!」って思わずモニターに突っ込みを入れてしまいしたが、吉田君・・・・意外にモテるんだよ・・・。「お前みたいな子供に興味は無い。俺の好きなのは巨乳のお姉さん」と言う吉田君・・・はたして彼はJKの魅力に屈する事は無いのか・・・。

『恋と呼ぶには気持ちわ悪い』
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クリックすると元のサイズで表示します』より

こちらは女子高生にぞゾッコンになってしまったエリートサラリーマンの話。『髭を剃る・・』の逆バージョンですが、ライトなラブコメ。久しぶりの柿崎優子氏の脚本なので見始めましたが・・・これ今期の息抜き作品では最高です。


<span style="font-weight:bold">『不滅のあなたへ』
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『不滅のあなたへ』より

『聲の形』の大今良時原作の不思議なファンタージ作品が原作。私、原作読んでいましたが・・・最近挫折しました。「純粋な不死」の存在が、様々な経験から人間性を獲得して行く物語ですが、ちょっと原作は長すぎて息切れした感じ。まあ、この作品をアニメ化するのはNHKですよね。もう文化事業です。

ハッキリ言って、スゴイ作品ですが、見るにはそれなりの気合と覚悟が必要。



『蜘蛛ですがなにか』
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『蜘蛛ですがなにか』より

クモ子さん役の 悠木碧が一人で喋り尽くす作品ですが、これは面白い。元気が出ます。

監督はミルパンセの板垣伸。私、板垣監督のバネの利いた作品好きなんです。『COPCRAFT』のOPでも見せた視点移動の作画が魅力的な監督ですが、低予算ではコマを飛ばすしかない所を、CGアニメなら存分に絵を動かせます。もう、グルんぐるんしてしまいますが、その回し方にセンスを感じます。『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士 』の戦闘シーンも良かったですよね。

ある中学校の一クラスが突然異世界転生してしまいますが、「私」は何故か蜘蛛のモンスターに異種族転生してしまいます。それも、生まれたばかりの有象無象の子蜘蛛の一匹。弱肉強食の魔界で生き残る為に、知恵を絞り、スキル上げに精を出し、気付けばチートクラスのモンスターになっていた。この先、蜘蛛子さんは「魔王」になる様ですが、敵対する人間はかつてのクラスメイト。

蜘蛛子さんの時間と、人間側の時間に・・・・ゲフンゲフン。

人気ラノベの映像化ですが、私、蜘蛛子さんのフィギア・・・欲しいです・・。CGのクモのモンスターに萌えるなんて・・・アニメって恐ろしい・・・。



久しぶりに「今期アニメ オススメ」記事を書いてみました。興味のある方は是非!!
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2021/4/12

『劇場版エヴァンゲリオン』・・・必見  アニメ
 

「Q]の出来があまりにも悲惨だった為に、躊躇していた『エヴァンゲリオン新劇場版:||』をようやく観てきました。


未見の方が多いと思いますので、感想などは後日記事にしますが・・



必見です。


庵野は富野と宮崎を越えた!!





謎のまま放置プレーだと予想していたのですが、全てにケリを付けよう努力した庵野監督には拍手を送りたい。
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2021/4/9

抑制の美学・・・『スーパーカブ』  アニメ
 

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『スーパーカブ』より

■ アニメ熱が冷めている ■

最近、アニメが面白くない・・・。

家内と一緒にや『無職転生』や『五等分の花嫁』を楽しく観ているにも関わらず・・・。

『蜘蛛ですが、なにか?』は板垣 伸監督の高密度な演出は特筆に値いし、さらに家内がEDの『がんばれクモ子さんのテーマ』を必死で練習しているにも関わらず・・・。


『のんのんびより のんすとっぷ』や『ゆるキャン△』は、「さすがだな〜〜」と感心しきりで、『のんのんびより のんすとっぷ』の10話、11話は「驚愕の出来映え」ではあるにも関わらず・・・。

以前よりエグさがアニメの脚本向きだなと思っていた野島伸司の『ワンダーエッグプライオリティー』は、最近目立って来た実写ドラマの脚本家や、舞台の脚本家のアニメ進出というテーマで語れば面白いにも関わらず・・・。

『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』も同様に他業界からアニメ脚本参入組の面白さが光る作品にも関わらず・・・・。

『無限のリヴァイアス』や『コードギアス』の谷口悟朗監督と、『グレンラガン』や『キルラキル』の脚本の中島かずきのコンビによる『バックアロー』は、期待と裏腹にグダグダな時の富野を模倣する様な作品になってしまっているにも関わらず・・・。

『弱キャラ友崎くん』にガッツリ嵌り、ラノベ全巻を一気読みしてしまい、TVアニメを3回も見直してしまったにもかかわらず・・・。

『ワールドトリガー』にドハマりして、原作大人買いを必死で堪えているにもかかわらず・・・。

アニメがアニメである事に、少し飽きてしまったのかも知れません・・・。


■ 『スーパーカブ』の1話が心に響いた ■

もうアニメでは感動できないのかもしれない・・・。そんな不安を感じている時に『スーパカブ』に出会いました。

彩度を抑えた映像、日常をただスケッチしただけの演出。一見、新海誠の『彼女と彼女の猫』を彷彿とさせますが、煩わしいモノローグによる説明も一切無く、一人暮らしの女子高生の日常が淡々と進行してゆきます。

川面真也監督の『ココロコネクト』の1話冒頭や、『のんのんびより』の1話冒頭にも似ていますが、表現は圧倒的に抑制されています。

女子高生が、学校まで遠いので自転車通学からバイク通学に変えようと思い立ち、バイクショップで中古の1万円のスーパーカブを手に入れます。免許を取って、キックスタートの要領を教わり、家に帰って・・・夜にコンビニにスーパーカブで出かける。そしてガス欠・・・。

ただ、それだけの話を、説明も、モノローグも無く、淡々と描く・・・普通なら作品として成立しないハズなのに、私は強烈な感動に襲われてしまった・・。

20代の頃、ヴィム・ヴェンダースの初期3部作や、サタジット・レイの大地の歌三部作を映画館で見た時と同じ衝撃を55歳のオヤジが受けてしまった。

何も起きていないのに、モニターの中に空気が充満していて、その中で女子高生が生きていると思える・・・生なましさとも違う、ある種の実在感。そして、それが「物語」としてしっかりと1話の中で完結している奇跡。


多分、抑制された色彩は現在の彼女の目を通した風景で、スーパーカブに乗る事で、彼女に世界が広がり、友人が増えるにつれて、世界はカラフルなものに変化してゆくのでしょうが、新海作品の様に美しい景色に依存する事無く、1話を描き切る手腕に、ただただ驚きを禁じ得ません。

物語が動き出すと、「良く出来たアニメ」に収まってしまうと思いますが、この1話だけは「映画の最良の遺伝子」をアニメが引き継げる事を実証するという意味において、私の記憶に刻み込まれました。


監督の藤井俊郎、あまりネットにも情報は在りませんが、注目です!!


アニメ『スーパカブ』PV


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2021/3/22

「ワールドトリガー」にどハマり中  アニメ
 

ブログ更新が滞っています。

原因は「ワールドトリガー」

コンビニで見かけた表紙に惹かれて、

アニメ第一期を見始めたら、

寝食を忘れる面白さ。

「鬼滅」も「呪術」も全く面白いと感じない私ですが、

「ワールドトリガー」を観ると脳が興奮します。



集団戦闘、それも、三つ巴、四つ巴のチーム戦って、

戦況が絶えず動いていて、原作者の頭の中スゲー!!


そして、モブですら一瞬でキャラ立ちする凄さ。

更にテンプレ感皆無。


群像劇としては「無限のリバイアス」並に面白い。



「絵が下手〜」ってアニメを敬遠している作画厨

君らには100年早い作品だよ。



因みに「会議が一番面白いシーン」ってどんな作品なんだよ!!

この作品を観ると「エヴァがハリボテで中身がスッカラカン」な事がよく分かる。


因みにちーちゃんとキトラちゃんは俺の嫁。



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2020/12/24

今期アニメ・ベスト  アニメ
 
今期アニメも残り1話という作品が多くなっています。そこで、恒例の極私的ベストの発表




第1位  『無能なナナ』

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『無能なナナ』より

実は1話30秒で切った作品でした。「なーんだ『僕のヒーローアカデミア』の劣化コピーじゃん」って思わせる内容だったから。

ところがネットで評判なので一昨日から見始めました・・・。これ、面白過ぎです。『コードギアス』系の面白さ。それが分かり易く、テンポ良く展開する。

1話最期に「ええええーーーー」って仰天する内容ですが、視聴者がそこまで1話を観てくれるかどうかが勝負の作品。

『涼宮ハルヒ』シリーズの最新刊は「推理小説とは何か」という谷川流の解説本となっていますが(面白いけれど、作品としてはどうよ・・・)、ハルヒ最新刊よりも100万倍は面白い。

内容は一切掛けません。だって知ってしまったら面白くないから。コミックガンガンに原作が連載されている様ですが、日本の漫画文化って本当に奥が深い。

今回はこの作品を上位にする人は少ないと思うので、あえて1位としました。


第2位 『100万の命の上に俺は立っている』

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『100万の命の上に俺は立っている』より

「別冊少年マガジン」に原作が連載されている様ですが・・・・これ、スゴイな・・・。

百花繚乱と言うか、愚作のゴミ箱状態の「異世界転生モノ」ですが、とうとう異常進化の作品が出て来ました。

「異世界転生モノ」のファンは「RPGゲームの中に入って仲間と旅をしたり、敵をぼっこぼこに倒したい」と潜在的な願望を抱えています。要はツマラナイ日常を逃避してゲームの世界に行きたいと願っている。

ところがこの作品は、強制的に異世界に召喚させられ、ムリゲーをプレイさせられた上に負けたら実際の命が失われるという「異世界のデストピア」みたいな設定。生き残る為なら、非情に仲間を見捨てる事が必要。誰かが生き残ってミッションをクリアすれば、全員生き返るから。

これだけなら、ちょっとヒネクレタ作品という評価しかしませんが、実は召喚された異世界とは・・・というオマケ付き。ヒントは『僕らの』。

この作品も一般の評価が不当に低いと思いますので、私としては上位にランクインさせました。



第3位 『体操ザムライ』

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『体操ザムライ』より

シリーズ構成は『ゾンビランドサガ』の村越 繁、制作も同じくMAPPA。

昭和のホームドラマの様式で、充分に魅力的な作品が作れると証明した作品。ポイントは「しっかりとした構成」と「ディテールの積み上げ」。

引退に追い込まれた体操選手が復活するまでの物語ですが、それぞれの人物の骨格がしっかりしています。そして、その人物達が自然に物語に絡む事で、全体の大きなストーリーが動いて行く。まさに脚本のお手本と言うべき作品。

現在の漫画もアニメもドラマも「驚き」と「裏切り」で視聴者の興味を惹く事に腐心しています。一位に挙げた『無能なナナ』や、2位の『100万の命の上に俺は立っている』は、その様な作品です。

刺激的なコンテンツがインフレを起こした現代において、物語の作者達は、より刺激的である事を求めて日夜知恵を絞ります。一方で『鬼滅の刃』が国民的な人気を集めた様に、視聴者が支持するの「物語の作法に忠実な作品」です。

世界の多くの神話が似たような「ストーリー」を持つ様に、「根本的に人が感動する物語=神話の原点」は意外にもシンプルです。「努力の結果、仲間と敵を倒す」・・・ジャンプ作品の王道的ストーリーはテッパンなのです。

但し、それは「大きな物語」を持つ作品のケースで、「日常系=小さな物語の集積」的な作品は「小さな共感の集積」によって人々の心を掴みます。「あ、これ、あるよね・・」的な共感。「こういうのホッコリするよね」という共感を丁寧に積み上げる事が大事。

『ゾンビランドサガ』は「売れないローカルアイドルのロードムービー」という小さな共感の集積で、「ゾンビがアイドルユニットを組む」というムチャクチャな設定をしっかり支えていた。『ラブライブ』もこれに類する作品です。

『体操ザムライ』も「体操選手の家に突然外人のニンジャが居候する」というハチャメチャさが物語を駆動する装置として利用されていますが、その違和感を小さな共感が徐々に取り払って行く。ニンジャは物語に不可欠な存在になって行きます。そしてニンジャは物語の核心と繋がっている。構成の上手さに舌を巻きます。


第4位 『トニカクカワイイ』

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『トニカクカワイイ』より

命を救ってくれた美少女に恋をした少年が、美少女と再会して結婚生活を送るという・・・『おくさまは18才』かよーーー! ってツッコミたくなる作品。(若い人は知らないだろうなーー。『なんたって18才』って続編もあったような・・・石立鉄男って存在自体がマンガ的でしたよね。)

これも「小さな共感」を積み上げる作品。要は「日常系」と言われるジャンルですが、若い夫婦がイチャイチャするだけで、どうして心がこんなにホッコリするのだろう?

イチャイチャと言っても手を繋いだり、キスをするだけでエッチはお預けですが、視聴者もエッチは望みません。キスだけでキャーってなってしまうから不思議。今時の「草食系男子の鏡」の様な主人公に、女性も男性も共感してしまう・・・まさに時代を反映した作品とも言えます。


第5位 『神様になった日』

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『神様になった日』より

「泣きゲー」のカリスマ麻枝唯とPA・WORKSがタックを組むシリーズの第三作。

ゲームブランド「Key」の企画、シナリオライター、作詞、作曲とマルチな才能を発揮して数々の「泣きゲー」の傑作を世に送り出した麻枝唯。

私、ゲーマーでは無いので麻枝唯という名前を先日知ったのですが、アニメファンとして『Angel Beats!』『Charlotte』の評価を相当に高い。

これらの作品、実は何が良いのか説明出来ないのです。ただ、最後にワーーーと感動が押し寄せて来る。涙腺が暴力的に緩んでしまう・・・。

『体操ザムライ』で構成の確かさという事を書きましたが、麻枝唯作品の構成はかなり強引です。コアなファンの方は「絵は不要」と評する程、ゲームでは会話の強度が高い様ですが、アニメではセリフは普通の感じます。むしろ展開の強引さが目立つ。コメディータッチで物語はスタートして8話辺りでどんでん返しと、舞台の裏が明かされ、そこからは怒涛の展開。そして、才顔は涙でモニターが滲む。

分岐構造を持つゲームと、一本のストーリーしか持たないアニメでは、物語の演出方法がともかく違うので、麻枝唯のアニメがゲーム的であるかと言えば、至って普通のアニメです。ただ、人と人との関係性の構築がエグイ。家族や疑似家族の絆は、かなり強引に結ばれます。そして、「死」或いは「記憶の喪失」がそれを分かつ事で、最大のエモーションを引き出す。

麻枝唯の思うように視聴者は泣かされる訳ですが、それをエグイと思いながらも、心の奥が揺さぶられてしまう・・・。

ゲームはアニメなどに比べてもリアリティーに低いジャンルです。そんな表現分野で如何にプレーヤーを感動させるか、日々切磋琢磨した人が作り出した「感動の方程式」は実は「神話の原点」に近いのかも知れません。


第6位 『安達としまむら』

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『安達としまむら』より

実は6話から先は観ていません。『ケムリクサ』などもそうですがストーリーの希薄な作品はアニメとしては見続けるのが辛くなる。

では何故、5位なのか・・・。やはり、「言葉にならない何かを描く」事に最大限の努力を惜しんでいない作品だから。『神様になった日』の様な強引さも無く、『体操ザムライ』の様な安定感も無く、ただフワフワしたものをフワフワと描く。これは実に難しい。

『安達としまむら』は、女子高生の体温や臭いや息遣いをアニメでどう表現するかと言う点においうて、既存のどの作品よりも突出しています。もうそれだけ・・・されど、それだけ!!

年末のアニメ閑散期にじっくり観ようと、大事に取ってある作品。


第7位 『いわかける!』

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『いわかける!』より

『弱虫ペダル』の女子スポーツクライミング版。それだけと言えばそれだけですが、男子サイクリストのモッコリジャージよりも、女子高生クライマーの方がセクシー。

インドア系女子が、ゲーム的センスでスポーツクライミングの才能を開花させると言う点が、インドア系オタクにも受け入れやすい。

以外と堅実な作りで、良作です。


第8位 『君と僕の最後の戦場あるいは世界が始まる聖戦』

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『君と僕の最後の戦場あるいは世界が始まる聖戦』より

評価ポイントは「異世界もので無い」。以上!!

実は結構好きな作品です。オーソドックスなラブロマンスですが、こういう作品があっても良い。「ロミオとジュリエット」的な「敵同士の許されざる愛」の物語ですが、悲壮感は一切ありません。だって、「会ってはいけない二人」は、毎回会っていますから。美術館に行ったり、劇場に行ったり、パスタを一緒に食べたり・・・時々一緒に戦闘したり・・・。

ところで、パスタを良く茹でる事を「ベンコッティ」って呼ぶの知ってました。硬茹の「アルデンテ」の逆。ベンコッティを知っただけ、このアニメのポイントがウナギの滝昇り!デス!!


第9位 『魔法科高校の劣等生 来訪者編』


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『魔法科高校の劣等生 来訪者編』より

お兄様無双が過ぎて評価が低かった作品ですが・・・女性陣がどんどん可愛くなって行くので評価が上りつつあります。鈍感お兄様が紳士な所も好印象。

お兄様の鈍感って・・多分、精神改造の副作用なんですよね。そんなお兄様も最近では結構空気が読める様になって来ました。10氏族の背景も少しずつ明かされて来て、世界観がしっかりして来たので作品としても面白くなって来ました。

魔法が成立する背景をしっかり説明?しているので、「単に魔法が存在する世界」の異世界モノよりも私的には評価が高い。SFに分類されるべき作品だと思います。



オープニング賞 『体操ザムライ』『トニカクカワイイ』『神様になった日』



オレンジレンジの懐かしい曲に乗って妙なダンスが繰り広げられますが・・・これ中毒性がスゴイ。『BREECH』の第一期のオープニングのテーストですね。



これは曲の勝利。「Future Bass」と呼ばれるジャンルだそうです。細分化されたリズムの上の、ゲームな様なシンセサイザーが被せてあります。ドラムン・ベースの進化系とも言えますが、作曲者のYunomiという方は、若い人のファンも多いらしい。日本では「Kawaii Future Bass」と呼ばれる事もあるジャンルだそうです。




麻枝唯と「やなぎなぎ」のコラボはテッパンです。我が家ではヘビーローテーションしています。やなぎなぎは初代スーパセルのゲストボーカリストですが、柔らかく透明感のある声が魅力。とにかく、歌詞がスーーと心に入って来る。ドラウタで強引に歌詞を押し付ける歌手の多い現代で稀有な存在。彼女のアニメソングの数々は名作しか無い。

一見、シンプルな曲ですが、コーラスとの立体的構造が革新的だと感じています。コール&レスポンスは同じ時間、同じ空間で成り立ちますが、これは多層的にコーラスとボーカルパートが呼応している。チェホフの劇空間の様に、位相の違う世界と呼応するというか・・・。




エンディング賞 『呪術廻戦』



これはスゴイ。OPは凝っている割に面白く無いのにエンディングは神ですね。エ、作品はランクインしないのかって・・・。なんか、新しく無いんだよね・・。驚きが少ない。

個人的には作品の内容より、この動画の評価が高い。





以上、今回も、独断と偏見と勢いでベスト10を選んでみました。年末の休みに「イッキ観」されては。旅行にも行けない正月休みになりそうですから。
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