2015/11/14

三文オペラと三文ゴシップ・・・メディアと世界  音楽


■ 三文オペラ ■

ロイターのプーチンの娘の記事を読んでいて『三文ゴシップ』なる椎名林檎のアルバムタイトルがふと頭をよぎり、さらに『三文オペラ』へと連想ゲーム。

久しぶりに聴きたくなってネットで動画を検索していたら、日本語訳が付いていました。『マック・ザ・ナイフ』って『ドスのマック』って訳されているのですね。ちょっと意外でしたが、歌詞の内容を見て納得。・・・・こんな歌詞だったんだ。

■ ハル・ウィナーとクルト・ワイル ■

私が学生時代を過ごした80年代は、今思えば刺激的でした。「価値観の並列化」というか「面白ければ何でもアリ」といった「価値観の崩壊と再構築」が世界的に流行した時代とも言えます。

60年代、70年代という「暑い反骨の時代」はロック・ミュージックという一大ムーブメントを作り出しましたが、「ロックは死んだ」なんて言葉と共にロック本来が持っていた「反骨的」な精神は後退し、一方でMTVを始めとしてロックが商業化して本来の魅力を失って行く時代でもありました。

そんな80年代のミュージック・シーンですが、グスタフ・マラーの再評価が起きたり、NYアンダーグランドではグツグツの実験音楽のセッションが繰り広げられていたりと面白い事が沢山起きていました。

そんな「何でもアリ」の時代の空気を最も体現していたのがハル・ウィナーという音楽プロデュサーだったと思います。

大学に入学して「背伸び」していた当時の私は(今もですが)、生協主催のLPレコードの中古市でレコード・プレーヤーも持っていないのに、ハル・ウィナーのLPを買いました。(同時に買ったのはレオ・フェレとジョルジュ・ブラッソンだったか・・・勿論ジャケ買い)

クリックすると元のサイズで表示します

今を思えば、このLPが私とアンダーグランドミュージックとの最初の接点だったのですが、LPプレーヤーを持っていかった当時の私は、ジャケットを眺めて「どんな音楽が入っているんだろう」と想像を巡らす日々でした。

その後、ジム・ジャームッシュの映画にどっぷりハマって、そこからMYアンダーグランドシーンのミュージシャンを知るうちに、くだんのLPのアーティスト達がアンダーブランドシーンのミュージシャンだと知りました。

後にCDで買い直した『クルト・ワイルの世界~星空に迷い込んだ男』を聴いて私はショックを受けました。だって、ギンギンのアヴァンギャルドロックだろと想像していたCDからは、何とスタンダード・ソングが流れて来たからです。



実はこのアルバム、アメリカの音楽プロデューサーのハル・ウィナーがアンダーグランドシーンのミュージシャンを起用してクルト・ワイルの音楽を演奏させた企画物だったのです・・・。

上の『スラバヤ・ジョニー』はスラップ・ハッピーダグマー・クラウゼ。ドイツ人の彼女が英語で歌っているのがミソ・・・。



こちらはカーラ・ブレイ。アルバム・ジャケットで拝見するおみ足にホレていました・・・・。



これはミック・ジャガーの恋人だったマリアンヌ・フェースフル



出ました、ジョン・ゾーン。当時も今もビックリしちゃうトラックです。

このアルバムのはハイライトはル・リード『セプテンバー・ソング』でしょう。



■ 80年代のクルト・ワイルの再評価 ■

クルト・ワイルはドイツの作曲家( 1900年3月2日 - 1950年4月3日)。ブレヒトとの作品『三文オペラ』で一躍有名になりますが、ユダヤ人であった事から活動の場を奪われ、アメリカに渡ります。渡米後の彼はミュージカルの作曲家になり数々の作品を残します。

ミュージカルが、オペラ、オペレッタから大衆化した事を考えれば自然な成り行きですが、アメリカのミュージカルの発展に貢献した彼の功績はあまり評価されていませんでした。

「何でもアリ」の80年代の空気に、マーラやクルトワイルといった作曲家達はフィットしたのか、或いは時代が一巡して彼らがフューチャーされる時が到来したのかは良くわかりませんが、ハル・ウィナーに限らず、クラシック界からもクルト・ワイルを再評価する動きが現れます。

■ テレサ・ストラータのクルト・ワイル名曲集 ■



クラシック界でクルト・ワイルの再評価の切っ掛けを作ったのはテレサ・ストラータスでしょう。NYメトロポリタンオペラの美人歌姫はドイツの作曲家の作品を取り上げる事が多かった様ですが、彼女はクルト・ワイルも積極的に録音しています。

そのアルバムジャケットがあまりクラシックっぽく無かったからか、彼女のワイルの名曲集は当時世界的に大ヒットしたと記憶しています。

クリックすると元のサイズで表示します

今、25年振り位に聞き直すと・・・・懐かしい・・・。
クルト・ワイルの楽曲って、キャッチーでメランコリックですよね。



と、ここまで散々書いていながら・・・『三文オペラ』も『七つの大罪』も見たことが無い・・・。


本日はいい加減な音楽記事でした。オペラ・ファンから怒られちゃいますね。


あれあれ、記事のタイトルにあった「メディアと世界」は、どこに行ったの・・・。

http://jp.reuters.com/article/2015/11/13/analysis-putin-daughters-idJPKCN0T20LA20151113

ロイターの上の記事から察して下さい・・・。


この記事の中でプーチン大統領の娘さんが世界大会で5位に入賞したという「アクロバット・ロックンロール・ダンス」なるもの動画を見てみました。ロックに乗って踊る「コサック・ダンス」みたいで面白い。





ドイツのクルト・ワイルがアメリカでミュージカルの発展に貢献し、アメリカのロックミュージックがロシアで受け入れられる・・・・。ギクシャクした国際関係とは別の次元で、文化を生みを超え、国境を越え、国家の対立を超えて浸透して行きます。素晴らしい事ですね。
2

2015/10/3

未完成の魅力・・・松崎ナオ 『川べりの家』  音楽
 



■ 『ドキュメント72時間』のテーマに採用された松崎ナオ ■

NHK大河ドラマ『花燃ゆ』をカミサンがワンセグで見ていた。(我が家にはTVが無いので)
かつての面影も無い松坂慶子がちらっと写っていたので、思わず『ウルトラセブン』に出演していた15歳頃の松坂慶子でも見て口直ししようとGoogleで「マツザ」まで検索ワードを打った所で候補一覧に松崎しげると一緒にチラリと表示された「松崎ナオ」に目が留まりました。

ああ、一時よく聴いていたなと思って松崎ナオを検索すると『川べりの家』の動画が大量にヒットしました。???

こんなマイナーな歌手に何で今頃注目が集まっているの?って不思議に思って「川べりの家」で検索すると、どうやら2013年から2期目が始まったNHKの『ドキュメント72時間』という番組のテーマソングに採用されて一部で話題になったらしい。(テレビ無いので見れませんが・・)

この曲、2006年発売の『Flower Source』というアルバムの2曲目に収録されていたのですが、何で今更・・・・。
ちょっと調べたら、NHKのこの番組のプロデューサがCDショップで掛っていたこの曲が『ドキュメント72時間』のイメージにピッタリだと感じで製作会議で決定したのだとか。発売あから時間も経っていたので、月に数枚しか売れる事の無かったこの曲にシングルは1000枚のバックオーダーを抱える事になったとか。メデタシ、メデタシ。

■ 未完成の魅力 ■

松崎ナオの魅力は何と言っても「触れれば壊れてしまいそうな不安定さ」です。繊細というよりは「ネジが緩んでいる・・」と言うか「暴走しそう・・・」と表現した方が的確なある種の未熟さが初期のアルバムにはありました。一言で言えば「イタイ」のが魅力のミュージシャンです。

クリックすると元のサイズで表示します
風の唄  松崎ナオ

デビューアルバム(ミニアルバム?)の『風の唄』の各曲は「普通の言葉」で書かれているのに不思議に心に浸透する力を持っています。


『花びら』  『風の唄』より


不思議な事に、歌はいたってシンプルなのにアレンジが超ぶっ飛んでいるのが松崎ナオの初期のアルバムの特徴です。


『白い』  『風の唄』より


私は2枚目のアルバムの『正直な人』が彼女の最高傑作だと思います。

クリックすると元のサイズで表示します
『正直な人』 松崎ナオ

一曲目の『true colors』が好きな曲ですが、あいにくネットに音源が見つからないので、2曲目の『哀しみが止まらない』を紹介します。これもシンプルな名曲かなと。


『哀しみが止まらない』  『正直な人』より

このアルバムもアレンジが超ヘビーで、アルバム1枚を通しで聴くとゲッソリします。

このアルバムが発売された1998年は椎名林檎がデビューした年です。彼女の『無罪モラトリアム』(1999年)も衝撃的でしたが、亀田誠治のプロデュースはヘビーかつポップですが、松崎ナオのこの初期のアルバムはもっとヘビー&ディープ。デビューアルバムのプロデュースは渡辺善太郎と松本靖雄。渡辺善太郎は「詩人の血」のギタリスト。CHARAの『やさしい気持ち』のアレンジなど多くのアーティストを手掛けていますが、ちょっと腐ったポップスと言うかデカタンスを感じるアレンジが多い様です。

■ シンプルさの獲得 『虹版』 ■


『月と細胞』  『虹版』(2001年)より

続く3枚目のアルバム『虹版』は、一転してシンプルなアレンジ。このアルバムをベストに挙げる方が多いのではないでしょうか。

■ 椎名林檎との奇跡のコラボ 『木綿のハンカチーフ』 ■

『虹版』は松崎ナオをメジャーに押し上げても良い内容だったのですが・・・こういうミュージシャンって本当に売れないんですよね・・・。

そんな折、奇跡の様な出来事が・・・

椎名林檎のカバー曲アルバム2枚組の『歌い手冥利』(2002年)の中の一曲『木綿のハンカチーフ』で林檎ちゃんが何と松崎ナオとデュエットしています。原曲の良さを残しながらも現代的に生まれ変わったこの曲ですが、何で松崎ナオなの・・・って疑問は置いとく事にします。しかし、林檎ちゃんと一緒に歌うと、松崎ナオは至って普通。林檎ちゃんの非凡さが引き立つ結果となりちょっと微妙ですが・・・。

youtubeに何故かパフュームの映像と一緒にアップされていましたので、ちょっと拝借します。アレンジは亀田誠治ですね。



■ メジャーアルバムから離れていた時期 ■

その後2003年に4thアルバムの『FLOR TREM』を発表します。このCD,タワーレコードの限定販売でした。多分、この時期にエピックとの契約が解除されたみたいで、その後はインディーズレーベルからアルバムを発表しています。

クリックすると元のサイズで表示します

このアルバム、今までとガラリと趣が変わり、「ロハス」なんて言葉を連想させる自然でシンプルな肌合いの演奏になっています。




冒頭で紹介した『川べりの家』は、その後に発表された『Flower Source』の2曲目に納められています。アルバム全体としては「普通」になってしまった感じがして、これから後のアルバムは持っていません。

松崎ナオの魅力は「未熟な不安定さ」にあるので、をれをいつまでも保ち続ける事はなかなか難しいのでしょう。似た様なタイプに小島真由美が居ます。

松崎ナオ、小島真由美、小谷美佐子・・・ここら辺が私のかつてお気に入りでした。ちょっと「イタイ」タイプですね。ここに初期の林檎ちゃんを加えると、完璧。




5

2015/10/2

リストの『超絶技巧練習曲』とウクライナ・・・マゼッパ  音楽
 

クリックすると元のサイズで表示します

■ リストの『超絶技巧練習曲』■

古いLPレコードを整理していたら、昔ジャケ買いしたリストの『超絶技巧練習曲集』が出て来ました。実は『ラ・カンパネラ』が欲しかったのですが、この曲は『超絶・・』の曲では無かったのですね。だから、このレコードは長い間、聴くことも無く眠っていました。

こんなレコードいつ買ったっけ・・・なんて思いながらレコード針を落としてみてビックリ、まさに『超絶技巧』の演奏が飛び出して来ました。演奏しているのは旧ソ連のピアニストのラザール・ベルマン(Lazar Berman 1930-2005年)という人。1963年の録音ですから、私の生まれる前の演奏です。

Youtubeに音源がアップされていたので第4曲『マゼッパ』をちょっと聴いてみましょう。



左手の和音が混濁しがちと言われるこの曲ですが、フォルテシモはまさに雷鳴の様。ダイナミックなスケール感と繊細さを合わせ持つ素晴らしい演奏です。

この曲、どこかで聞いた事が有るなと思い「これって水谷豊が弾いていたやつ?」って聞いたら、カミサンは英雄ポロネーズのフレーズを歌い出した・・・。「うーん、それじゃなくて・・」

ネットで調べてみたら、水谷豊が『赤い激流』で弾いていたのは次の曲目だった様です。

1次予選:ショパンの「英雄ポロネーズ」
2次予選:リストの「ラ・カンパネラ」
本選:ベートーベンのピアノソナタ「テンペスト」

ちなみにピアノ演奏は羽田健太郎が担当しています。

■ フランツ・リストは現代のビジュアル系ロックスターの元祖 ■

リストの『超絶・・』は、昔は多くの演奏家がチャレンジしていたと記憶していますが、最近は演奏される機会が減っています。(私は30年程前にリヒテルの人見記念講堂の演奏会で聴いたと思い込んでいましたがどうも記憶違いでした・・・。)

確かに演奏は難しく超絶技巧を要求するのですが、曲としての出来栄えはショパンの方が優れており、技巧的にもショパンの方が実は難しいというのが、評判が落ちた理由の様で、最近ではコンテストの課題曲にもんならないとか・・・。

ネットの質問箱を覗くと「超絶を弾きたいのですが」という若い子の質問に、「手を壊すだけで全然良く無い。古典からしかりと練習しなさい」などという回答が書かれていたりします。

すっかり評判が下がってしまったリストですが、『ラ・カンパネラ』の演奏などを見るとカッコイイ!!・・・しかし、良く見るとこれって右手で弾く所をワザワザ左手を交差させて弾かせてないか・・・。

そう、リストの超絶技巧の曲ってカッコよく「見せる(魅せる)」為に書かれているのです。まさに「ビジュアル系」の元祖。

クリックすると元のサイズで表示します

実はリスト本人はチョー・イケメンで、演奏会でご婦人方が失神する程のスーパースターだったのです。さらに現代でも彼を超えるピアニストは居ないと言われる「ピアノの魔術師」でした。

ですからリストのピアノ曲は生の演奏会で「見て」ナンボのものなのかも知れません。

■ ウクライナの第二の英雄、イヴァン・マゼーパ(マゼッパ) ■

クリックすると元のサイズで表示します

ところで前出の『超絶技巧練習曲集』の第4曲『マゼッパ』ですが、ちょっと変な曲名なので気になって調べてみました。

イヴァン・マゼーパ(Jan Mazepa Kołodyński 1639 - 1709年)はウクライナのコサックの棟梁だった人物です。ロシアのコサック兵で有名なコサックは、ウクライナがまだ荒野だった15世紀半ばに草原地帯で勃興した武力集団だそうです。自由と独立を重んじるその気風からリトアニア王国の影響力が及ばない地域で自治制を有していました。ただ、援軍として数々の戦闘で勇敢に戦った様です。

マゼッパはウクライナ・コサックの勢力拡大に尽力した人物としてウクライナ人に人気が有り、ロシアのピヨトル1世に背いてスエーデンと組み、ロシアと戦おうとしますが、ポルタヴァの戦いで敗れ、マゼッパはトルコに敗走します。その後ロシアはウクライナへの影響力を強め、コサックの自治も廃止されます。

ウクライナはその後ロシアやオーストリアの影響下に置かれますが、18世紀に勃興した民族主義によって独立の気運が高まり、ついに1917年、ろしあ帝国の滅亡によって独立を勝ち取ります。しかし、社会主義政権となたキエフ政府は1919年以降ロシアの傀儡政権と化し、ソビエト連邦時代にも事実上ロシアの支配を受ける事になります。

この様に、ウクライナの歴史は周辺諸国による占領の歴史、とりわけロシアの支配下に置かれた時代が長く、現代のウクライナ国内でロシア人の排斥が起こるのは当然の事とも言えます。コサックの子孫達はロシアは歴史的に敵視しているのです。


現在も民族主義が台頭するウクライナですが、リストの時代にはスラブ系民族を中心として民族主義が台頭し、リストと同時代の作曲家達の中にははスメタナやドボルザークの様な「国民楽派」と呼ばれる民族主義を象徴する人達が活躍します。リスト自身はドイツロマン派に分類されますが、『マゼッパ』を題材に取り上げている事からも、この時代の民族主義と無縁では居られなかったのかも知れません。(民族主義がロマンチックと受け止められていた影響が大きいと思いますが)



本日はお蔵入りしていたLPレコードを聴きながら、ウクライナの歴史をちょっと勉強してみました。
10

2015/3/14

もうカッコ良過ぎて気絶しそうだ!!・・・ティム・バーン  音楽
  



本日の動画は大音量で聴くか、それとも音を消すかはあなた次第。



人は音楽を何故聴くのか・・・。
多くの人が「楽しいから」とか「気持ちが良いから」と答えるハズ。

ただ、世の中には正反対の嗜好を持った人も少なからず居る訳で、
私などは「ノイズの波で溺れ死にたい・・」と思う人種です。

ノイズミュージックと言うとほとんどの方が「ウルサイ音楽」と思われるでしょう。
しかし、ノイズにも様々な種類が有って、私が好きなノイズは「物語の有るノイズ」。

所謂フリージャズ系の油ぎったノイズは嫌いです。
パンクやフリー系のノイズも体育会系で嫌いです。

私の好きなノイズは、見通しの良いノイズ。
見通しが良いからと言ってスカスカな訳では無く、
ノイズの構成がしっかりとしている系統のノイズが好きえす。

・・・全く理解不能かと思いますが、
要は上で紹介したアルトサックス奏者のティム・バーンの作り出すノイズが大好きです。

この人の音楽って構成がしっかりしていて、芯が硬質。
この硬質といる所が大変重要で、いわゆるフリージャズ系の軟体動物的な世界の対極。
「結晶化されたノイズ」と言ったら良いのでしょうか。

ミクロに見ると緻密な構造をしているのですが、
それが全体では複雑に絡み合っていて
さらに大きな視点で見ると巨大構造物を構築している。

・・・・意味不明ですね。



共演はドラムがジム・ブラック
現代最重要ドラマーでしょう。
パワフルかつ変幻自在。
もう変拍子と言うよりも時間軸がウネウネを歪んでいる様なドラミングです。


ギターはロックバンドのWILCOのギタリスト、ネルス・クラインですね。
WILCOは元々はオルタナティブ・カントリーとしてスタートしていますが、
私が知ったのはヴェンダースの映画だったか・・・覚えていないや・・。
2枚組のCDを持っていますが、あまり聴いてないな。

ティム・バーンのバンドには、その時代の最高のドラムとギターが揃っています。

以前はドラムはジョーイ・バイロンでした。
そしてギターはビル・フリーゼル、その後がマルク・デュクレと変わって来ました。

ティム・バーン独特のロングトーンを、
ジム・ブラックのドラムが時間軸を歪ませる事で「ゆらぎ」を作り出し、
そしてギターの鋭い音がカットアップして行きます。

ギタリストには一瞬で場の雰囲気を変える能力が要求されます。
とにかく「強い」フレーズというか音を出せるプレイヤーが必要。

デビュー当時から方法論はあまり変わっていませんが、
JMTレーベル時代のある種の喧騒感は次第に後退し、
現在は、氷付く様な結晶化したノイズに進化しています。

Youtubeの映像は1/5〜5/5まで有りますが、
フリーフォームの1/5に始まり、ロック色の濃い2/5、
端正なジャズを聴かせる3/5、実験音楽的な4/5など
トリオとは思えない様々な演奏を繰り広げています。

3人とも普通の楽器の演奏の仕方はしていません。
特にドラムとギターのトリッキーな事といったら・・・
CDを聴いただけでは、どうやってそういう音が出るのか想像すら出来ないでしょう。

これが現代最高のノイズミュージックであると私は確信しています。
そして、もし、この時代にレニー・トリスターノが生きていたならば、
彼はティム・バーンと行動を共にしていたであろうと妄想してしまいます。



リー・コーニッツとウォーン・マーシュとの六重奏による1949年の録音だと思いますが、この時代に彼は既にフリー・フォームの演奏をしています。クール・ジャズなどという括りで語られがちなレニー・トリスターノですが『鬼才トリスターノ』では遅いテンポで録音したものを2倍速で再生したものをレコードにするなど(音質が硬質化する為?)、とにかく実験的なミュージッシャンでした。リズム隊には徹底してリズムキープに徹する事を求めた様ですが、「身体的なジャズ=グルーブ」を否定しながらも、一方で「構造的なグルーブ」を追及したかたのでは無いかと思います。

こういうクール(カッコイイ)なフリージャズは、オーネット・コールマンに受け継がれ、現代のフリージャズシーンが有るのかもしれません。



オーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」。この人、黒人ですが感性は白人。
情感に溺れる事の無いジャズがクール(カッコイイ)。


本日は、完全に独り善がりの記事。
でも、たまに、こういう記事に反応される方がいらっしゃるので・・・・。




このティム・バーンの映像に対抗出来るのは・・・
ビル・ラズエルの「Last Exit」くらいしか思い浮かびません。

ギター       ソニー・シャーロック
ドラム       ロナルド・シャノン・ジャクソン
テナー・サックス  ピーター・ブロッツマン
ベース       ビル・ラズエル




こちらのコアはやはりビル・ラズエルですね。
彼のベースがある種のルールで猛獣たちを操っています。

ただ、こうやって改めて聴き比べてみると、音楽の方法輪が全く異なります。
Last Exitはオーソドックスなジャズの方法論に近く、
それぞれのメンバーのソロという見せ場があって、
集団演奏とソロの関係性は希薄です。


一方、ティム・バーンのトリオの演奏は、ソロとい概念が無い。
たとえソロ的なパートでも、他の二人は決してバッキングには成りません。
昔の大編成のバンドでは分かり易いのですが、
7人編成の場合は、ソロ、デユオ、トリオなど様々なパートが現れては消え、
それぞれが絶えず緊密の連携して、音楽の姿がシームレスに変化して行きます。

ティムのバンド演奏はスコアーがきちんと書かれていて、
フリーに聞こえる部分でも、スコアーを見て演奏されている場合が多いようです。



こちらは彼の現在ノレギュラーグループの「SNAKE OIL」の演奏。
ECM盤の評判が高い様です。
6

2014/12/26

映画並みのクオリティー・・・『野狐禅』の初期作品PV  音楽
 



野狐禅の記事を書いたついでにネットを徘徊していたら、竹原ピストルがメジャー再デビューを果たした事を知りました。ついでに最新アルバムをポチットしてしまいました。

クリックすると元のサイズで表示します

冒頭のRainは「え、これが竹原ピストルル?!」って驚く程スマートな曲調とアレンジ。70年代に活躍したフォークシンガーが、シャレたエレクトロニックなアレンジでお化粧直しされてヒットを飛ばした80年代のアメリカを思い出してしまいます。ただ、彼らはMTVブームが去るとギター一本のシンプルなステージに戻って行きましたが・・・。

『カモメ』や『不完全燃焼』など過去の名曲が散りばめられたベストアルバムですが、軽いノリの曲も多いので、かつての野狐禅のアルバム程、お腹イッパイにならない点は一般受けするのかなとも思います。


ただ色々と人生経験を積んだであろう彼の歌を聴いているうちに、やはりデビュー当時のPVを観たくなってしまうのは何故なんだろう。

PVの監督は「ぴあ」のフィルムフェステバルでデビューした熊切和嘉(帯広出身)。海外の映画祭で評判の高い監督です。日本映画のエッセンスが凝縮された様なPVは再編集されて短編映画の『遡河魚』としてDVDとして発売された様です。

この3本のPV、凄いですよ。下手な映画なんて目じゃない。

特に『カモメ』は、短編映画賞を差し上げたい程の出来栄え。
主演は寺島進さんですね。このヤサグレタ感じ・・・たまりません。小物のチンピラを演じさせたら彼の右に出る人は居ないのではないでしょうか?

共演は私のNO1日本映画、『帰郷』(監督:萩生田宏治)で西島秀俊と共演していた片岡玲子。

『ぐるぐる』



『かもめ』



『東京紅葉』



誰か、高画質でお願いします!!



ちなみに短編映画の『遡行魚』はこちら。

http://nviewer.mobi/player?video_id=sm1804783


「鮭」を「タイ」と読み違えたシーンが、前半の映像に繋がっていて・・・涙腺を直撃します。上のPVは時系列で並べてみましたが、『遡行魚』は現代から過去に時間と川を遡って行きます。
3


teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ