スープカレーを始めて食べたのは、会社員時代。三十数年前になる。
サラサラだが、その分、スパイスの香りがきわだっていて、なんの違和感もなく完食。店の人が「全部食べてくれてありがとう」と言ったのを覚えている。ルーカレー全盛時代だから、食べてくれない人も多かったんだろうなあと思う。うちもそうだったように。
本当に久しぶりに、北区にあるスープカレーの老舗に行ってみた。夕食時、もうすでに何組も食事をしている。
北区は、美術学校に通っていた頃のなじみのあるエリア。変わったところと変わってないところがあり、逆に変わってないところが強調されて「ああ、まだあった」と懐かしくなってくる。
カレーが運ばれてきた。スープカレーが札幌で人気が出始めた頃からの店は、スープとルーの中間的な位置づけのところがある。インド風だったり、欧風だったり。こちらは欧風。おいしければどの位置でもかまない。
最近、飲食店の投稿サイトなどを見ていると、「コク」と「粘度」をごっちゃにしてるところが見受けられる。「コク」>「粘度」で、サラサラでも「コク」は出せる、と思う。奥の深いスープ取りの世界で、小生が目指すのは、「サラサラのコク」なのであります。
でも、味は個人の好みそのもの。ファンのために、つぶれずにやっていくことが重要。すごく原価がかかり、それほど市場が大きくないスープカレーを看板に掲げてなくなった店がいかに多いか。
で、おいしく完食。
店を出たとき見上げた空は、秋の空のようでなんだか懐かしい気分になった。


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