ここに越して来た当時、お隣には「ポン」という犬がいました。外で飼われていた・・と言うより、放し飼い状態でした。でも、お隣の方が「ポ〜ン」と呼ぶと、どこからともなく現れ、ご飯をもらっていました。
今のように車の往来が激しい頃ではないので、あたかも道路も自分のテリトリーのように、真ん中を悠々と歩いていました。ある時などは、スキーバスが急ブレーキをかけ道をふさぐように斜めに止まったその前を、「ポン」が悠然と歩いていました。
ナイターの明かりが光々と輝き、スキー場に人があふれていた時も、うちにはお客は誰もいない日が続き、気が滅入っていた夜、ふとベランダを見ると、「ポン」がじっとこちらを見ていました。なんだか慰めにきたような感じでした。
ポンが死んだのは15年前の8月31日。そしてちょうど2年後の8月31日に「ポロ」がうちにやってきて、その「ポロ」も死に、「ポコ」の代になりました。


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