久しぶりの晴天の昨日、今冬、二回目の雪下ろしをする。
うっとうしい雪下ろしをせめて青空の下でやることで、なんとかやる気を絞り出してやる。安全ベルトに命綱をつけ、高さ8mでの作業。大雪になっている北海道で、今年の冬、雪に関する死者がすでに10人にのぼっているとのこと。足元に注意しながら作業をする。
2時間ほどで屋根の下地が見えるくらいに雪を落とすことができた。屋根のてっぺんに登ってみると、羊蹄山の山容が丸みを帯びていて、大雪が山の凸凹を包みこんだのだろう。
二十数年この屋根に登って雪下ろしをしているが、ここからの景色がここ数年でまったく変わってしまった。開発か自然保護かという議論もむなしくなる勢いでどんどん開発されている。
北海道の一部の都市以外、日本人には、とりわけ道民には、景色はすばらしいが寒くて大雪の降る住みにくい過疎の地域に、世界中の金が集まってくるようになり、自然保護よりどんどん開発し金を動かす方が優先されるというのも分からないではない。すでにニセコエリアのかなりの面積が北海道庁レベルで開発許可が下りているらしい。外資主導の開発はこれからも続いていくのだろう。
もう、33年前に住み始めていろいろな変化を見てきた日本人一住民の自分には、季節のうつろいの中での楽しさや苦しさなどの感情をはるかに超えた野望や欲望の舞台になろうと、いやもうすでになっているニセコをどうとらえていいのか、戸惑いながらの冬が過ぎてく。

雪原の向こうには、一棟数億の建物がズラッと並ぶ。買い物をする時に百円単位を逡巡する自分には、はるか遠くの額のお買い物をする目の前の住民の存在に頭がグラグラする。それも家主は、かつて日本が開発途上などと申していた国の人々だったりする。

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