『人生の逆転』
パク・ヨンウン (監督)
キム・スンウ (主演男優)
ハ・ジウォン (女優)
カン・ソンジン (男優)
キム・ソンギョン (男優)
2003年制作
2005年日本公開
★★★☆☆

『ホテリアー』『恋愛、その耐えられない軽さ』のキム・スンウ主演によるファンタジック(?)ラブコメディー。日本版DVDパッケージの写真を見て、『真実ゲーム』『
デュエリスト』のハ・ジウォンメインの、彼女が男を振り回すムチャクチャな女を演じる(『
彼女を信じないでください』『
恋する神父』みたいなテイストの)ラブコメディなんだろうと思っていたのだけど、ちょっと違った。彼女は普通の役で、完全にキム・スンウに焦点が当てられている。くだらないラブコメディなんだけど、意外と人生について考えさせる要素があるというか…。
中山秀征似のダメ会社員。散々な目に遭いヤケクソで車を飛ばしていてトンネルの壁に激突、意識不明に。目を覚ますと、そこは自分がゴルフのトッププロとして活躍しているパラレルワールド。戸惑う彼の前に現れた美女は、いきなり彼に離婚話を切り出す…。まぁ、こんな幕開け。
オリジナルタイトルは、「
역전에 산다(ヨ
クチョネ サ
ンダ)」。WEB上の翻訳サービスで訳してみたところ「逆転に住む」との訳が出た。「逆転世界に住む」とか「正反対の人生を生きる」というような意味なんだろうと思う。

この映画のテーマは、ずばり「人生のやり直し」。ダメ男の彼がパラレルワールドにやってきて、それで彼はゴージャスな人生を謳歌するのかというと、そうではない。スターの密かな苦労を味わって実は皆大変なんだと理解するという話かというと、それも違う。彼は突然放り込まれた新しい世界に何とか適応しようと頑張るだけだ。このパラレルワールドでの奮闘と活躍を、意識不明になっている間に見た夢の中の出来事、と考えてみてもいいと思う。夢の中で頑張った。目が覚めてみたら現実も少しはマシになっていた。そういう話。
この映画、考えてみれば、ダメ男が成功しているもう1人の自分の人生のほころびを直して去っていく、という話なんだよね。で、それは結局自分自身の人生なんだから、必死になったら多少事態が好転しました、という話に過ぎない。で、そんな話ちっとも面白いと思わないけれど、パラレルワールドに放り込まれるという設定によって上手に見せられてしまった、という感じ。「人生をやり直したい」というのは人間にとって普遍的なテーマでしょう。で、この映画のメッセージは「別に振り出しに戻って『やり直す』必要なんてない。人生は自分で作っていくものなのだし、どこからでも変わっていくものなんだから」というようなものなのだろうと思う。そういうテーマ性のある映画なんで、くだらない映画だけど星3つ。そういうテーマ性の皆無な『
ピアノを弾く大統領』なんかは星1つ。

実は最近、ハ・ジウォンってもの凄く可愛いんじゃないかと思い始めてきていたところで、この映画の彼女も期待に違わずとても可愛いかった(少なくとも『
恋する神父』よりは可愛い)。有名プロゴルファーのゴージャスな妻役も良かったが、元の世界の普通の女性役の方が僕は好きね〜。ちなみに、彼女の役柄は、人生をやり直さなければ絶対に手に入らないと主人公が思い込んでいる「夢のような人生」の象徴なんだと思う。彼は夢の中(パラレルワールドの中)で、彼女と出会い壊れかけていた関係を修復するのだけど、彼女がずっといつか出会うことを夢見ていた運命の女性なんだと気づいた直後に、彼女を残して元の世界に戻らなければならなくなる。そういう意味で、彼女は夢の中の絶対に手の届かない存在。ところがどっこい現実世界に戻ってみれば案外彼女はすぐ近くにいたのだ、というハッピーエンドになっている。夢だと思って何でもあきらめるな、と。
レンタルで借りてきたDVDには、韓国語字幕表示のオプションがあった。
今日の一言韓国語は「
죄송하지만(チュェソ
ンハヂマ
ン)」=「申し訳ないが…」。「申し訳ありません」の「
죄송합니다(チュェソ
ンハ
ムニダ)」の「チュェソ
ン」と、「でも、しかし」の「ハヂマ
ン」のくっついた言葉だと思う。「すいませんが…」みたいな感じ。「
저기요(チョギヨ〜)」と同じ具合に使っているのを1度だけ見たことがある。そのときは「
죄성하지만, 화장실이 오디예요?(申し訳ありませんが、トイレはどこですか?)」というふうに使っていた。
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Kota's Movie Review

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