年末から観始めた『コーヒープリンス1号店』もようやく第9話。全17話の折り返し地点に到達したのを機に、ここらでちょっと自分自身の頭の中を整理しておきたい。それと言うのも、ドラマについていくのが難しくなってきたからだ。

僕はこれまで韓国TVドラマというものを観たことがなく、これが初めての韓ドラ体験。正直、「韓国ドラマの何を楽しめばいいのか」がまだよくわかっていない(ただ、それを言うなら、僕には韓国ドラマだけでなく、アメリカのドラマも、日本のドラマですら観る習慣がないので、そもそもTVドラマの楽しみ方を知らない、とも言えるのだが)。正直、このドラマも主人公の女のコが(ルックス的に)バッチリ好みのタイプだった、という理由だけで観始めた(あと、まぁ、ただただ笑って観ていられる軽〜いラブ・コメディー(←こういうのをときどき観たくなる)なんだろうと思ったからなんだけど)。

韓国ドラマはその撮影の過酷さで有名(らしい)。それと言うのも、週1回の放送ではなく、週2回放送があるからだ。この『コーヒープリンス1号店』は「月火ドラマ」で、韓国では月曜と火曜に放送されていた(何故「月木」とか「火金」と散らさないのか不思議だ)。韓国ドラマは放送の途中でCMが入らないので、1時間ドラマだとしても、1回分の正味の長さは日本のドラマよりも若干長く、それが2日続けて放送されるわけだから、ドラマ制作中は休みなしの撮影がブッ続けで行われる(らしい)。しかも、視聴率競争がかなり激し(いらし)く、視聴者の反応次第でドンドン筋立てを変えていく(らしい)のでますます時間が足りなく、ドラマ放送1時間前まで編集作業が続けられる、なんてことすらあるのだとか。

そのため、実際のところ「韓国映画」と比べても「韓国TVドラマ」の質は低いように思う。時間合わせのような妙に間延びしたシーンが1話中のどこかに必ず数分はあるし、映像作品として見たときに、カメラの動きだとか構図だとか照明だとか「雑だなぁ」と思うことも多い。その場のノリでダラダラ続けられているように感じるセリフの応酬なんかも結構ある(それはそれで生の韓国語会話に近いような気がして、韓国語の勉強にはなるような気がするが)。視聴者の関心を次回までつないでおくために、毎回の放送の最後に物語の本筋とは関係のない「事件」が挿入されたりする傾向も強いらしい。
「それも含めて韓ドラだ」という意見はあるのだろうけれど、そういう部分が「韓国ドラマ独特の面白さ」を生み出している
わけではないのだから、それらが改善されれば映像作品としてもっと面白くなるのに、と残念に思う(僕が短所として挙げた特徴が失われたときに「韓国ドラマの魅力」も一緒に失われてしまうかと言うと、違うと思う)。「韓国ドラマ独特の面白さ」というものがあるのだとして、それを保持したまま、質を向上させることは可能だと思うのだ(現在の韓国TVドラマ制作を取り巻く諸々の事情がそれを許さないのかもしれないが)。

もちろん、いろいろな韓国ドラマを観てみれば、もう少し楽しみ方がわかってくるのかな、とも思う。僕は単純に、1話1話を階段をのぼるように観ているが、本来2日続けて放送されるものなのだから、2話を単位に観ていくべきものなのかもしれない。このドラマは全17話だが、17週間に渡って放送されたものではなく、半分の9週間で放送されたものである(そしてDVDは2話ずつ9枚のディスクに収められている)。月刊雑誌に連載されていた漫画を読むときに、単行本で一気に読んでしまうとそのリズムがわからないように、1話1話を単位として観ていては、このドラマのもつスピード感に乗り損ねてしまうのかもしれない。この辺りは、まだ僕の韓ドラ経験不足。そのうち調子がつかめるものなのかもしれない。

また僕は、例えば「緑の葉っぱが瑞々しく感じられない」という理由で、映像の質に対するこだわりの低さみたいなものを感じるのだが、これも何に由来するものなのかは実際はよくわからない。映像の質に対するこだわりの差なのかもしれないし、何を美しい色合いとするか、何を葉っぱの美しさと見なすかの文化的な価値観の違いなのかもしれないし、単に映像技術の違いなのかもしれないし、制作に時間をかけられない、という制作環境の違いかもしれないし…。韓国は日本と比べて乾燥しているはずだから、そもそも葉っぱが日本のような色をしていない、という単純な話なのかもしれない(植生だって違うはずだし)。

僕は2話前の第7話くらいから急に話についていけなくなってきたのだけど、たぶんそれはストーリーが急に動き出したからだと思う。動き出したというか、何かいつの間にか、主人公の女のコがもう1人の主人公の男性をすっかり愛しちゃってるみたいで。「初めは反発し合っていた2人だったが、お互いに徐々に惹かれていく」とか、そういうのがお決まりのパターンだと思っていたのだけど。2人の感情がどう変わってきたのか、それによって2人の関係性がどのように変わってきたのか、よくわかんないんだよなぁ…。これまではそれなりにストーリーについていけていたと思うのだけど、わずか数話で何かに乗り遅れてしまったような感じ。ここ数話、同じようなパターンのストーリー展開を何度も繰り返されているように思うし、コ・ウンチャンは泣いてばっかりだし、何かイライラするんだよなぁ(これは、僕が「女の涙」を見るとイライラしてしまうタイプだったりするからなんだけど)。
(ここまで読み直していて思いついたんだけど、ここへきて急に面白く感じられなくなってきたのは、ひょっとして僕が主人公の男に嫉妬しているせい? 嫉妬してるかな…? してるかもしれないな…。あぁぁ…、Shit!)

まぁ、たった1つのドラマを観ただけで(しかもまだ途中だし)、その印象を韓国ドラマ全体に当てはめてしまうのは間違いだとは思うのだけど…。それに、そもそももうすぐ40の(しかも日本の)オッサンが観て面白いドラマを作ろう! という気が、このドラマの作り手たちにもないだろうしなぁ…。まぁ、ただちょっとこのドラマを観続けるのがツラくなってきた、と。そういう、ご報告でした。
今日の一言韓国語は、「
내가 어디가 제일 예뻐요? 내가 언제 제일 예뻐요? 내가 진짜 동생으로서 좋아요?(ネガ オディガ チェイル イェッポヨ? ネガ オンヂェ チェイル イェッポヨ? ネガ チンッチャ トンセングロソ チョアヨ?)」=「オレのどこが一番可愛い? どんなときが一番可愛い? オレのこと本当に弟として好きなの?」 ここまで言われて、まだ本当に男だと思ってるのかーっっ!! (いろいろ言いつつ、ドラマの世界にすっかりハマっていて、我ながら恥ずかしい…。)

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