1週間くらい前に知人に単純作業のアルバイトを頼まれ、今日はその仕上げの作業に1日を費やした。
僕はすぐ気が散ってしまうタイプで、BGMがかかっているとこのブログに書いているような文章ですら書けなくなってしまう。ところが今日の作業は全く頭を使わない単純作業だったので、もう15年近く前に買った(その日がダイアナ妃の亡くなった事故の起こった日であったことはよく憶えている。札幌では北海道マラソンが開催されていた)ポータブルのMDプレイヤー(充電池が死んでてACアダプターなしでは動作しないので、全く「ポータブル」の名に値しない。充電池だけ買おうと探したことがあったけれど、もう生産されてないみたいだった)を久し振りに引っ張り出してきて、10年以上昔に聴いていたMDをBGMとしてかけていた。部屋がシンとしていることをときどき寂しくも思うのだ。
そんなMDの中にaikoのCDを録音したものがあった。僕は意外とaikoの作る曲や彼女のヴォーカルが好きである。
僕がaikoを知ったのは…、会社を辞めた直後の冬だから、今から11年前の年末だったのかなぁ…。
当時、北見在住の女のコと付き合っていた。会社を辞めて時間のあった僕はスノーボードを抱えて彼女の住む北見に向かった。朝、彼女の車を運転し彼女を職場まで送ると、僕はそのまま北見市の隣の端野町(その後合併し今は北見市の一部)のスキー場に行く。営業開始と同時に滑り始め、「もう限界」というところまで滑った。夕方までに彼女のアパートに帰ってきてシャワーをすませ、彼女からの連絡を待つ。それで職場までまた迎えに行ったんじゃなかったかな? そんな年末を過ごしていた。とにかく「限界まで」ひたすら滑った経験はあれが最初で最後じゃないかなぁ。
そのスキー場はリフトが1〜2基しかないような小規模なスキー場だったが、まぁガラ空きだった。そして不思議だったのが、場内でかかっていた音楽が広瀬香美ではなく、椎名林檎の『本能』、小柳ゆきの『あなたのキスを数えましょう』、爆チュー問題の『でたらめな歌』、そして、aikoの『カブトムシ』のヘビーローテーションだったことだ(今調べてみると、4曲とも1999年の秋から冬にかけて発売されたシングル曲)。本当にこの4曲しかかからなかった。
スキーやスノーボードというものは、本来独りでやるべきものではない。万が一のとき独りじゃどうしようもないからだ(例えば、骨折したらどうする?)。それに、仲間を待っていたり、おしゃべりしたり…、といったことでちょこちょこ休憩時間がとれる。ところが、独りで滑っていると、本当に全く休憩なしで数時間強迫的に滑り続けることになる。グルグルぐるぐる、同じコースを回り続ける。BGMも全く同じ4曲がひたすらかけられ続けた。それでまぁ、単純接触効果だとは思うのだが、気に入っちゃったのが椎名林檎の『本能』とaikoの『カブトムシ』。札幌に帰ってきた後、レンタル屋でCDを借りてMDに録音したのだろう。
椎名林檎に関しては、その半年くらい前から気に入っていたように思う。これもあれだなぁ。彼女との想い出があるなぁ。彼女が札幌の僕の家(当時、物置小屋みたいな家に住んでいた。もともとは母の実家でちゃんとした一軒家だったのだが、市の道路拡張に引っかかって家の大部分を壊さなければならなくなった。裏口と風呂、洗面所、台所だけが残った平屋に5年くらい住んでいた)に遊びに来たことがあって、一緒にレンタル屋に行った記憶がある。映画『ブエノスアイレス』(ウォン・カーウァイ監督 1997年)を一緒に観たのかな?(いや、あれは別の時だ。)とにかく一緒にレンタル屋に行って、何故か椎名林檎のアルバム『無罪モラトリアム』を借りてきた。翌日それを録音したカセットテープをBGMに小樽にドライブに行った。このアルバムは今でも好きで、たまにMDを引っ張り出してきて聴く(あれ? カセットテープとMDの両方に録音したんだな。当時自由に使わせてもらっていた会社の車のカーステレオには、ラジオとカセットテーププレイヤーしかなかったのだ)。
aikoの作る曲は本当に信じられないくらいワンパターンだと思う。そして彼女のヴォーカルスタイルもまたワンパターンで、ちょっとでも聴けばすぐに「aikoだ」とわかる。そして僕は最初にも書いた通り、彼女の作る曲とヴォーカルが何故か好きなのだ。どんなにワンパターンでも全く飽きない。中でも一番好きなのが、最初に知った『カブトムシ』。
歌詞は聴き取れないけれど(笑)。
たぶん彼女の、あれだけブルーノートを多用しているにも関わらず全くブルージーにならない(笑)、あの感じが好きなのだろう。
そう言えば、6月のサロマ湖100kmウルトラマラソンのための道東遠征時に、件のスキー場の横をバスが通った(今年はどんな曲がかかっているのだろう?)。隣には温泉施設がある。10年前、僕は温泉にはそれほど興味はなかったんだけど、あの温泉や美幌町の温泉施設にはまた行きたいな。今度サロマを走るときには…。

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