約1年前にモニター商品として、スポーツ用のデジタル心拍計を手に入れた。「スポーツ用」としては、ストップウォッチにラップタイム計測機能がない、ラップごとの心拍数データを後で見返すことができない、という点が大いに不満だが、まぁ「スポーツマン気分」を楽しむためのアイテムとして使用している(当然、この商品が1万円近くするというのは高過ぎると思っている。6000〜6500円くらいが妥当なところではないか)。
しかし、データもそれなりに蓄積されてきたので、ちょっとここで、僕自身のその日のジョギングのペース(平均速度)と心拍数との関係を見てみよう。
記録が残っている期間はそれほど長くはなく、コイツを手に入れた直後の2011年7〜8月のデータ(ジョギング32回分の記録が残っている)と、今年(2012年)の4〜6月のデータ(ジョギング41回分)とがある。これを期間別に色分けし、平均速度(横軸)と平均心拍数(縦軸)の散布図を描いてみた。
第1印象は「綺麗に相関するものだな」というもの。グラフの一番上のピンクの点4つと左下の1点を除けば(←これちょっとインチキ(笑))、残りのデータはかなり強い直線的な相関を示している(全73データに対する相関係数r=0.61、上述の5点を除いた68データに対する相関係数r=0.81)。当たり前と言えば当たり前だが、ペースが遅ければ心拍数は少なく、ペースが上がれば心拍数も増える。非常にダイレクトな関係。
ちなみに、ここでは、その日のジョギングの距離については一切考えていない(10kmしか走ってない日もあれば、60km走った日も含まれている)。また、当然、ペースは逐次変化している。スタート時に6分/kmペース(10km/h)であっても、ジョギング終了直前には4分半/kmペース(13km/h前後)までスピードが上がっていることはよくある。当然、走り初めの心拍数は少なくとも、最後はかなり上がる。また、最後にバテてペースは落ちても、心拍数は落ちない、ということもある(こういう場合、一度立ち止まってリセット(?)しないと、心拍数は落ちてくれないように思う)。そういうのを全部無視して、その日の平均の速度と平均の心拍数の関係を図示したのが、上のグラフだ。
最大心拍数というものは、加齢に伴って減少してくる。僕の場合、年齢から180bpm(Beats Per Minute)前後と推測される(もちろん個人差がある)。また、普段運動を行っているジョガー・ランナーの最大心拍数は少なめであるという話も聞いたことがある(普段のトレーニングにより、脈拍1回当たりの血液拍出量が増加するため)。「1200m全力走直後の心拍数が最大心拍数」という話も聞いたことがある。その方法だと僕の最大心拍数は174bpmということになる。いろんな話を総合すると、たぶん僕の場合174〜182bpm辺りが最大心拍数なのだろう。
さて、心拍トレーニング(心拍数を意識したトレーニング)について書かれたWEBページなどを見ると、ウォーミングアップ・クールダウン等は最大心拍数の60%以下の運動強度で、LSD(Long Slow Distance)のような無理のない運動は60〜70%で、それなりに運動するつもりなら70〜80%で行うのが良いようだ。最大心拍数の80〜90%の運動強度となると、「かなりキツいトレーニング」と言えそうだ(僕が本気でフルマラソンやハーフマラソンの自己ベスト更新を狙うなら、この強度で走る必要があるだろう)。
で、僕の場合、計算してみると、だいたいこんな感じになる。
6分〜5分半/km(10〜11km/h) 135〜145bpm(75〜80%)
5分半〜5分/km(11〜12km/h) 145〜155bpm(80〜85%)
5分〜4分半/km(12〜13km/h) 155〜165bpm(85〜90%)
こうして見ると、僕の心臓は弱いのかな?という気になる。すぐに心拍数が上がってしまうからだ。例えば、LSDなどに適した運動強度(最大心拍数の60〜70%、僕の場合110〜125bpm)で走ろうにも、そんな値は1度もとったことがないのだ! 60km走時に7分/km、時速にして8.5km/hという超スローペースで走った時ですら(それが、グラフ左下の「外れ値」的なピンクの点である)、心拍数は135bpm前後(最大心拍数の75%)であり、これ以下の数値はとらないようなのだ。
おそらく自分にとってのトレーニングとして最も適切な135〜145bpm(最大心拍数の75〜80%)の運動強度の範囲で走ろうとすると、それに対応するペースは6分〜5分半/kmということになる。これは僕としてはジョギングの出だしのウォーミングアップ的なスピードで、5kmも走ればモノ足りなくなってくるペースだ。やはり5分/km前後が一番調子良く走れるように思うのだが、それだと最大心拍数の85%くらいに達しており、「心拍トレーニング」的にはもう少し遅くても良いようだ。5分/kmを切るペースになると、主観的にはそれなりにキツい。心拍数も最大心拍数の85%を上回っており、「かなりキツいトレーニング」という表現には納得がいく。90%超えたらヤリスギ。
ちなみに、グラフ中で最も上方に位置しているピンクの4点は、いずれも165bpm(最大心拍数の90%)を超えており、まさに「ヤリスギ」。ペースが速かったワケでもないのに、何故こんな数値をとっているのか不思議だが、この4点はいずれも4月中旬(11日、12日、16日、19日)のジョギング時のデータで、路上の雪が完全に解け、本格的に走り始めた時季に当たる。気候や服装やシューズ、走り方が大きく変わった時季なのかもしれない。
さて、本来なら、サロマの本番も心拍計の数値を見ながら走るべきだ(例えば、心拍数が145(最大心拍数の80%)を超えないようなペースで走る、等)。データだけとってそれを活用しないのなら意味がない。しかし、本番は心拍測定はしないつもり。
理由は2点あって、1つは心拍測定用の胸バンド(チェストベルト)をつけて走ることが、おそらく本番には煩わしくなるだろう、ということ。もう1つは、ペースと心拍数がこれだけ直線的に相関しているとすると、心拍数の値を気にする代わりにペースを気にすることで全く同じ効果が得られること、だ。僕は7分/kmのペースで走るともう決めている。心拍数の値は130〜140bpmの範囲内(最大心拍数の75%前後)におさまってくれるだろう。

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