(
続き)
おそらく28km地点辺りで、折り返してきた先頭のランナーと擦れ違った。彼らにとっては42km地点辺りだろうから、僕より14km先を走っていることになる。多くのマラソン大会では、トップの人と最後尾の人とでだいたい2倍の差がつくように思う。では今、最後尾の人は21km付近を走っているのか? おそらくもう少し進んだ地点にいるのではないかと思う。そう考えると、この大会ではトップと最後尾との差がそれほど開かない、ということなのか。
ロードバイクで初めて試走した時からのお気に入りの「漁川(いざりがわ)」を超えると、30kmエイドまであと少し、500mほど続く直線的な上り坂の先から「パフパフパフ」とクラクションを鳴らしている音が聞こえてくる。

漁川(2013年07月13日(土))
25kmエイドは混雑していたが、その後の下りでペースが上がり、周囲のランナー密度が少し薄くなっていた。30kmエイドは空いていて、ボランティアスタッフと少し会話する余裕があった(BGMはVan Halen "Jump"!)。
ボランティアの方には道中何度となく「寒くないですか?」と訊かれた。僕が着ていた半袖Tシャツはピタッと身体にフィットするコンプレッションタイプの白いTシャツで、ハッキリ言って下着みたいに見える(僕も、ルックス的にちょっとなぁ、とは思っている)。その上にゴミ袋を被っているだけなので、寒そうに見えるのかもしれない(ただし、「寒くない?」というのは、言葉そのものの意味で「寒くないか」と質問しているワケではなく、ランナーに(「あなたのことを気にかけていますよ」と安心感を与えるべく)かける常套句なのかもしれない。韓国語会話の「飯食ったか?」みたいな)。
「いつもこんな天気なんですか?」と訊いてみると、雨が多いとのこと(すかさず「誰か雨男がいるんだ」と横槍が入る)。「でも、さすがにこんなにヒドいのは…」とも言っていたので、やはり今回は特別なようだ。午後、気温が下がってくると、この格好では寒いかもしれない…。元々はこの格好で最後まで走り切るツモリだったが、スタート前に着替えた時に脱いだTシャツを中間地点行きの荷物の中に入れておいた。寒くなりそうだったら、それに着替えるか。しかし、ゼッケンを付け替えている時間が惜しい…(タイムを気にしているワケではなく、単に面倒臭い。僕は手先がかなり不器用なので…)。
30kmエイドを過ぎれば、湖畔まで5kmの下りが続くことはあらかじめわかっていた(10km地点で一時並走した小樽のランナーが去年飛ばしてしまったのはここの区間だ)。折り返してくるランナーと擦れ違う間隔はどんどん短くなってきた(ランナー数のピークは、この時点で僕の5〜6km先くらいのところにあったのではないか)。
30km地点:28分38秒(5分43秒/km) 3時間37分57秒
・急な下り
・上りあり
・30kmエイド滞在時間を含む
30kmエイドを出て1kmほどで30km地点、腕時計のストップウォッチは3時間38分前後を示していたので、まぁ30分かかって4時間10分で中間地点(35km)に到着か。倍にして8時間20分なら想定通り。中間地点のエイドで多めに休んで、後半ペースが落ちたとしても、8時間台でゴールできそうだ。
ところが…、この坂は僕のようなロードバイク初心者でも時速60kmくらい出てしまう(そのため、5〜6kmを5〜6分で下り降りてしまう)ようなかなりの坂で、こんな急な下り坂を(脚で)走ったことがないものだから、どんどんドンドンペースが上がってしまう。仕舞いには、自分でも「ちょっと危なくないか?」と感じるほどペースが上がってしまった。落ち葉や枯れ枝を踏んづけて滑ったら転倒してしまう。しかし、これだけ急だとペースを抑えることが逆に難しい。コントロール不能になっているワケではないが、転ばないように走ることで精一杯で、スピードを殺すことまではできなかった。
支笏湖を望む展望スペース直後のヘアピンカーブにこの日はお花が供えられていなかった(ロードバイクで試走した際には3回とも供えられていた)。おそらく死亡交通事故現場なのだろう。「南無阿弥陀仏」と唱えながら通り過ぎる。
湖畔に辿り着き、腕時計を見て驚いた。まだ4時間経ってない…。20分強で5km弱を走ってきてしまったようだ。あぁ〜、やり過ぎた!
35km地点(中間地点):30分55秒(6分10秒/km) 4時間08分53秒
・急な下り
・中間地点(35km)エイドの滞在時間(10分程度)を含む
・トイレ(小)タイムを含む
中間地点に着いて、荷物を受け取り、まずトイレ(小)へ。本当、今日は何回トイレに行くのか。荷物の中に入れておいた、アミノバリューサプリメントスタイル1包み飲みとビタミン剤の錠剤を2個飲もうとしたら…、錠剤を1個地面に落としてしまった! 「勿体ない」精神が上回って、砂を落として飲み込んでしまったが、この後1時間ほどの間お腹が痛くならないか心配だった(笑)。
中間地点エイドでも提供されていた給食をいろいろとって食べて、もうお腹いっぱい。それなのに、自分の荷物の中に入れておいたミニ大福2個も「せっかくだから」と食べてしまった。これは食べ過ぎだった! 水やスポーツドリンクも飲んだので、しばらくお腹がタプタプ言っていた(笑)。
結局10分近く中間地点に滞在し、後半戦へ。ウェアやシューズ等は替えなかった(単にトイレ(小)行って飲み喰いしただけで10分!)。(当然だが)前半の下りで追い抜いてきたランナーと次々と擦れ違う。25〜30kmの間に追い抜いたランナーとは既に15〜20分ほどの差がついているようだった。ウルチャレマスター(この大会を10回以上完走している強者ランナー)には「速いねぇ」と誉められた(と言うか、擦れ違うランナー全員にそう声をかけているのでは!?)。やたら楽しそうに走っている揃いの青色Tシャツを着た男性4人組、小樽のランナー(今年は完走できたかな?)、70番さん、しばらくして最終ランナーとも擦れ違った。
ふと気付くと、雨が上がっていた。腕時計を見ると正午12時半頃。僕は37〜38km地点の坂道を上っていた。気温も更に上がったように思う。手袋を脱いで、ウェストポーチのポケットに突っ込んだ。
前半の山場が10〜25kmの上りなら、後半の山場は35〜40kmの上りである。サロマの経験を活かし、おそらく中間地点後の再スタート後しばらくは脚が全く動かないだろうと覚悟して、ユックリ上っていく。ここは自転車でだって25〜30分かかる上り坂なのだ。まぁユックリ行こう。
40km:35分41秒(7分08秒/km) 4時間44分33秒
・キツい上り
ひょっとすると、脚で走っても自転車で上ってきてもタイム的には変わらないのでは!?と思っていたが、やはり自転車よりは遅かった。ただ、肉体的な辛さは自転車の方が上のような気がする(脚で走る方が楽)。5km上ってくると言っても、湖畔から最初のT字路までで1km、展望スペースまでで更に1kmあるので、残りは3kmしかない。意外とアッサリと40km地点を通り過ぎた。

この辺り。(2013年09月09日(月))
前後にランナーの姿が見えず、たった1人で40km地点エイド(往路では30kmエイド。BGMはSPEED "Body & Soul"!)に辿り着くと、拍手喝采で迎え入れられた。テントには男性2人しかいなかったが(コース脇に更に2人)、ヨサコイの鳴子のようなものをカチャカチャ鳴らしていて、4人くらいに拍手されているように聞こえる。マラソン大会に参加していて声援を送られることはあるが、拍手されることってあまりない。
ふぅと一息ついて、一口ゼリーに手を伸ばす。ついついマッタリとおしゃべりに興じてしまう。彼らは「もう後半の山場過ぎたでしょ?」とノンビリ言うが、あとまだ30kmもあると思うと僕にとってはまだまだ「中盤」が始まったばかり。とてもとても「終盤」に近づいたとは思えない。「パフパフ」というクラクションに送られて、再びコースに復帰する。
(
続く)

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