(
続き)
42.195km:5時間00分27秒(ウロ憶え)
42.195km地点には「ようこそウルトラの世界へ」という看板が立っていた。そう、ここから先がウルトラマラソンの世界なのだ。この看板は毎年設置されているらしく、過去の参加者のブログで写真を見たことがあった。「ふふふ」とニヤニヤしてしまう。「ウルトラの世界」…、そうここはウルトラの世界。僕もあっち側(こっち側?)の世界の住人なのだ。タイムを計測しなかったので秒まではウロ憶えだが、5時間00分ピッタリだったのは憶えている。サロマ前に平地で単独60km走をやった時も、42km地点の通過タイムは5時間前後だった。激しいアップダウンがあることを考えれば、上出来上出来。
何を考えていた時だったが憶えていないが、突然「あっ!」と思い出した。中間地点で受け取った荷物から缶コーヒーの(空の)ボトルを取り出すのを忘れていた。170mlのフタ付きのアルミボトルで、空のままウェストポーチのポケットに突っ込んで走り、ノドが渇くようなら途中のエイドでスポーツドリンクを入れて貰おうと思っていたのに。
ウルチャレのパンフレットにはワザワザ「山岳路ではアップダウンがきついため、水分補給用のボトルポシェット等の携行をお勧めします。」と書かれていた(この文言、論理的には何かおかしいとは思うが)。アップダウンがキツく、しかし市街地ではないので自動販売機のようなものは一切ない(全体の印象としては、サロマのコースよりもない)。5kmおきのエイドでは間隔が開き過ぎなのかもしれない。
ただ、僕は普段のジョギングでは全く水を飲まずに走るし、現にサロマの100kmマラソンでもボトルを持たずに走って後悔したことはない(むしろ水は重いのでなるべく持ちたくない)。ボトルポーチを腰(腹?)に巻き、水の入ったペットボトルを入れて走ると、上下に揺れて非常に走り辛い。それで、後半だけ小さな(空の)ボトルをウェストポーチのポケットに入れて走ろうと考えていたのだ(これなら全く揺れないのは実証済み)。それをスッカリ忘れていた。
ただ、実際のところ今回のウルチャレではボトルは必要なかった。天気が悪くて直射日光を浴びなかったせいかもしれないが、5kmごとのエイドでスポーツドリンクやコーラを飲むだけで事足りた。今後参加する時もおそらくボトルは持たずに走るだろうと思う。
45km:35分50秒(7分10秒/km) 5時間20分23秒
・キツい上り
・下りあり
・40kmエイド滞在時間を含む
45kmの距離表示を通過して、数十秒後にストップウォッチのボタンを押した。看板は目に入っており、「45km通過!」と認識しているのに、ボタンを押すのを忘れていた(疲れてくると、だんだんこうなってくる)。この大会に参加するランナー集団の分布は大きく2山に分かれるのではないかと思う。1つは速いランナーの山で、8時間以内にゴールする集団。もう1つは遅いランナーの山で9〜10時間でゴールする集団。僕は往路では、この遅い方の集団の真ん中よりも後の方を走っていた。25kmからペースアップして、前の集団を追いかけている形になっているが、この時点では前の集団から落ちてくるランナーはまだほとんどいなかった。そのため、前にも後にもランナーの見えない単独走の時間が長かった。それでますます「自分の世界」に入り込みやすい状況だったのだろう。
ただ、これは僕にとって好都合とも言えた。僕は普段から独りで走っているので、どちらかと言えば、独りで走る方が楽なのだ。周りに他のランナーがいる方が、自分のペースが乱されやすい。単独走でボーっとしていても、モチベーションが落ちていたワケではない(と思う)。
45kmエイド(往路では25kmエイド)の「みたらし団子」は残り僅かになっていた。ボランティアスタッフの男性は「食べちゃっていいよ」と言うのだが、まだまだランナーは来るハズで…。躊躇していると、「この後来る人は、帰りにはもうないってわかってるから」。なるほど、サロマのお汁粉みたいなものですね。「そうそう、よくご存知で」。本当にここは「ウルトラの世界」だ。「サロマのお汁粉」が何のことなのか、皆わかってるんだもん!
僕は使わなかったが、ここのエイドにはエアサロンパスも用意されていた。
「金山覆道」直後の下り坂は、「えっ、こんなに急だったっけ?」というほどの傾斜だった。さっき上ってきたときには気が付かなかった。と言うか、ロードバイクで車道を飛ばしている時にも気付かなかった。もうバッタバッタともの凄い足音を立てて駆け下りていく(実際、踵では着地できておらず、ほぼ足裏全体で着地していたのでもの凄い音だった。前のランナーが振り返るほど(笑))。姿勢はもの凄い後傾で、せめて斜面に対して垂直に立ちたいと思っていたが、上半身は完全に置いていかれておりどうしようもなかった。いったいこんな走りでいつまでも足首やフクラハギがもってくれるものか…。
普段北大周辺の早朝ジョギングでよく擦れ違うベテラン女性ランナー(だと思う)にここで追いついた。中間地点前後で擦れ違ったタイミングから考えると、15分くらいの差を詰めたのかな?
50km:27分36秒(5分31秒/km) 5時間47分59秒
・急な下り
・45kmエイドの滞在時間を含む
50km地点を過ぎて500mほど進むと50kmエイド(往路では20kmエイド)。ここにも1人で辿り着いた。(凄い勢いで駆け下りてきたので)スポーツドリンクを飲み干して魂の抜け殻のように放心していたら、「何食べますか?」と穏やかに声をかけられた。ただ、既にいろんなエイドで食べ過ぎていて、お腹が少々重くなっていた。そんなおしゃべりをして、エイド裏手のトイレで「(小)」。結果的にこれが最後のトイレになった。
前述のランナー集団の2つの山だが、前の方の山から落ちてきた人たちがようやくポツポツと見えてきたのは、この50kmエイドを過ぎてから。彼らを1人1人パスしていく。中間地点からここまでで抜いたのは10人弱? 結局この後ゴールするまでの間に20人くらい追い抜いたか。僕を追い抜いていったのは1人だけだったかなぁ…?
と言うワケで、結構な勢いで55kmエイド(往路では15kmエイド)に到着(おそらく50kmエイドと55kmエイド(往路では、15kmエイドと20kmエイド)の間は4kmほどしか離れておらず、往路も復路も下り坂があるのですぐ現れる)。ここでも拍手喝采で迎え入れられる。ここで念願の「コーヒーとロールケーキ」だ! 「まぁ、ホットと言うほど温かくはないんですが…」と言いながらコーヒーを出してくれたが、電気もない山の中で(発電機も使ってなかったと思う)、コーヒーで一息ついてロールケーキやバウムクーヘンをほうばる幸せ(笑)。マイカップの紙コップはもう限界だったので感謝して処分。以降は用意されていたプラスチック製の紙コップを2代目マイカップとして用いることにした。
(
続く)

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