04年5月6日「徒然レビュー」執筆分より
「1対1対応の演習」数学B(東京出版)
今回の目玉はTAUB範囲の総仕上げとして収録されている「融合問題」。これが受験生からよく「こういうタイプの問題をきちんと解説した本はないですか??」と聞かれるところをうまく取ってきており、好感が持てる。もう少しネタが集まれば、この部分だけで1冊にしても、いや、むしろそちらの方が売れると思う。表紙の下に小さく書くだけにせず、いっそ本のタイトルを「数学B・数T〜B融合」と変えてしまっても良いぐらいだ。
「青チャート重要例題レベル」からの接続を考えると(あくまで「レベル」であることに注意されたいが)、各分野で難しい問題をピックアップしてくるか融合にチャレンジするかという2つの方向性があり、前者は旧課程版からこのシリーズで事足りていたが、後者でレベル的にも分量的にも良い本がなかなかなく、筆者も「志望校の出題傾向を見なさい」ぐらいのアドバイスで済ませざるを得なかったところだったので、今回の改訂は大変心強い。
難点があるとすれば、それは何をさておき薄すぎること(「融合問題」にも1章分を割いてあるとは思えない)。数列分野にせよベクトル分野にせよ、数学が得意でもこの分野だけは苦手という人も多い二大巨頭(?)なのだから、この改訂を機に、もう少し例題数を増やして、易しめから難しめまでフォローして欲しいのだが。
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ちなみに、旧課程版の数学Bの本が普通の分厚さなのは、「ベクトル」「複素数と方程式の解」「複素数平面」のほか「条件付き確率と乗法定理」「確率分布」まで扱っていたからだ。通常2分野しか学習しないところを3分野収録すれば、厚くなって当然である。妙に納得。