04年7月26日「徒然レビュー」執筆分より
「試験に強くなる 数学T+Aの考え方解き方」(文英堂)
教科書レベルと入試標準をつなぐレベルの問題を集めた本。二重根号内に文字式が入った問題や、文字係数を含む2次関数の最大・最小など、教科書と傍用問題集に載るか載らないかのレベル、また大抵の本で扱ってはいるが難しいものに重点をおいている。
筆者がこの本をパッと見たときに、比較対象として真っ先に浮かんだのは、高校の演習授業で多く採用されている「10日あればいい 大学入試短期集中ゼミ 数学T+A実戦編」(実教出版)。新課程版で見比べてみたところ、「考え方解き方」は「10日」と同じかやや高いところを狙っていることがうかがえるが、使いやすさでは文句なしに上である。
基本事項のまとめ・説明のページもあるし、そのあとに「CHECK!」として軽い練習問題も収録してある。網羅系の例題レベルが仕上がっていることが前提となるが、例題枠に相当する「TYPE」の問題は栄養分が高い。節末の「EXERCISES」にもかなり多くの問題が収録されているが、多くの問題の問題文の近くに例題枠との対応が示されているので、見通しは良いほう。
ただ、どんなに工夫しようが、やはり人によって理解不理解の差が出やすいものを集めているということには変わりないので、扱いには注意が必要。とくに「CHECK!」で手いっぱいの人は使うべきではない(ただ、その本を使えるレベルにあるかどうかの判定が同じ本の中で容易にできるところは評価に値する)。時間がない人はとくに節末の扱いに注意しよう。もし使うなら、解ける問題だけを先にどんどん解いていき、残ったものをもう一度だけザッと流す感じで、先に進むべきであろう。
教科書学習時にこのレベルにまで手を出せたら、あとの入試演習がどんなに楽になることかと、筆者はこういう本を見ていていつも思う。